中国侵略戦争と経済の軍事化に突進 労働者階級の死活と命運かけ 高市打倒・反戦闘争に総決起を
中国侵略戦争と経済の軍事化に突進
労働者階級の死活と命運かけ
高市打倒・反戦闘争に総決起を



日帝の中国侵略戦争突入が登場させた高市「戦時内閣」
7月20日の自民・公明の参院選大敗から3カ月、石破おろし―自民総裁選での高市早苗当選―公明党の連立離脱という日本帝国主義政治委員会の危機と混迷を経て、10月21日、自民・維新連立(閣外協力)による中国侵略戦争突撃の「戦時内閣」=高市新政権が発足した。
日帝は米帝・トランプによる「アメリカを再び強大に(MAGA)」の実現をかけた激しい争闘戦の展開、中国侵略戦争・世界戦争の推進に激しく揺さぶられ、国内では経済的行き詰まりと物価高・生活苦にあえぐ労働者人民の不満と怒りの高まりに直面し、帝国主義体制としての存立の危機(「未曽有の国難」)にあえぎ続けている。この日帝の危機突破の唯一の道は、米帝と一体となり「最前線」に立って中国侵略戦争を遂行する以外にないが、いよいよ「戦争そのもの」に突入する時が迫った。この日帝にとっての断絶的な飛躍性こそが、日帝の政治支配を根底から揺るがし、26年間続いた自民・公明連立体制を崩壊させ、「改憲・戦争の突撃隊」「自民別働隊」としての「日本維新の会」との連立による高市政権を登場させた。
日帝が日帝として延命しようとする限り、支配階級の選択は「安倍を引き継ぐ高市のような人物を中心に自民党の一層の極右政党化を進め、中国侵略戦争突入の挙国一致体制を築くこと以外にない」(本紙第3407号夏季アピール)ことは明白だった。帝国主義が行き詰まって体制崩壊的な危機に直面し、なおかつ帝国主義として延命しようとするならば、排外主義・国家主義を扇動して階級闘争を圧殺し、外に向かっての侵略戦争・帝国主義戦争をやるしかない。それが帝国主義の基本矛盾の爆発だ。そして実際に、米帝も日帝も中国侵略戦争に完全に踏み切っている。このことを直視しなければならない。
中国侵略戦争突撃内閣としての高市政権の発足、10・28高市・トランプ会談(さらにトランプの横須賀基地演説)と並行して、20日から31日にかけて過去最大規模の陸海空3自衛隊の実動訓練「自衛隊統合演習」が、文字通りの中国侵略戦争実動訓練として行われている。3月に発足した「統合作戦司令部」の指揮下で、陸海空自衛隊5万3千人、艦艇60隻、航空機310機、そして米軍5900人、オーストラリア軍230人が、「戦域」として設定した九州・鹿児島から沖縄・琉球弧(南西諸島全域)で展開し、中国軍と戦闘を行う「訓練」だ。この訓練では、これまでの「日本が盾(防御)で、米軍が矛(攻撃)」などという「役割分担」は完全に吹き飛び、自衛隊が九州―南西諸島の「戦域」での戦闘主力を担い、米軍はそれを「補助」するとなっているのだ。戦場となるのは直接の戦域(沖縄県―南九州)だけではない。日本全土の基地、民間空港・港湾が戦域への戦力投入の拠点となり、「この基地がミサイル攻撃で使用不能になったらこの民間空港を」などという想定をして、周辺住民の犠牲などおかまいなしの軍事作戦の実動訓練をやっているのだ。また戦傷者・戦死者の後方輸送、医療物資の戦場への投下、戦時医療訓練も含め、徹底的にリアルに戦争をやることを想定している。
「闘う中国・アジア人民と連帯し、日帝の中国侵略戦争突入を革命的内乱に転化せよ」のスローガンを文字通りに実行しなければならない時が来ている。石田一派のように「血債の思想」や「連帯し、侵略を内乱へ」のスローガンを観念的にのみ確認し、それを実践的に貫くための全面的宣伝・扇動、革命的行動への移行、そのための組織をつくり出す闘いを真剣に具体的に推し進めない者は革命家でも革命党でもない。われわれは11・2労働者集会を動労千葉とともに、高市打倒・中国侵略戦争阻止の革命的大衆行動、中央政治闘争として闘い取り、「連帯し、侵略を内乱へ」の基本路線を実践的に貫徹していかなければならない。
以上のことを強力に確認した上で、中国侵略戦争に突入する以外にない日帝の絶望的危機を根底的に規定している日帝経済の崩壊的現実、そして日帝の中国侵略戦争突入と経済の軍事化・戦争経済化の相互促進的な過程が不可逆的に激しく進行している現実を暴露し、すべての労働者階級人民に死活をかけて中国侵略戦争を阻止する反戦闘争に総決起することを訴える。
経済・金融・財政の総崩壊に突入する日帝の絶望的危機
東京の株式市場の株価は、10月10日の公明党の連立離脱や米トランプ政権の対中国100%追加関税発表で一時急落したが、高市政権の登場による積極財政への期待、アメリカを中心に膨張し続けるAI・半導体バブルにあおられ、10月20日には4万9000円台を突破し、21日にも5万円台に迫る史上最高値を更新している。だが、この株価高騰は1980年代から90年のバブル以上に日帝経済の実態を一切反映しない正真正銘のバブルである。
日本の実質成長率の推移をみると(図1)、90年のバブル崩壊以降は低成長が続き、2008年のリーマンショック・大恐慌でマイナス成長に転じ、その後は一層の低成長に陥っている。24年の名目GDP=国内総生産が初めて600兆円を超えたというが、物価上昇の影響を除いた実質GDPは557兆円で、前年比伸び率は0・1%増に過ぎない。GDPの半分以上を占める個人消費は名目で2・2%伸びたが、これも実質では微減だ。GDPも消費も実質では伸びがゼロに近い。「経済成長」など誰も実感しないのは当然だ。
日銀の資金循環統計によると、日本企業の資金余剰は24年度に25兆6千億円にものぼる。日帝ブルジョアジーは、労働者への低賃金、物価高の中での実質賃金切り下げによって強搾取しため込んできた巨額の資金をひたすら自社株買いに回している(24年の上場企業の自社株買いは前年比7割増、過去最高の約17兆円)。そもそも過剰資本状態(投資を拡大しても利潤が出ない)であり、トランプ関税発動と保護主義、米中対立、世界経済分裂、新たな金融・経済危機と大恐慌爆発の現実性を前にして、一部のAI・半導体関連などを除けば企業は設備投資どころではなく、結局、株バブルに乗じて自社株をつり上げることでもうけを出すほかないのだ。この日本企業の自社株買いと外国人投資家の投機とが、過剰資本・低成長下での「史上最高値」を更新する日本株バブルをつくり出している。だがこんなことはいつまでも続かない。
労働者の雇用と賃金は悪化の一途である。非正規雇用は90年代から30年間で2割から4割に増え、23年には2124万人、全雇用者の37・1%で高止まりしている。女性労働者の半数以上が非正規職で、4割以上の女性が非正規職のパートである。労働者の実質賃金は22年から3年連続でマイナスであり、中小・零細企業では最低賃金の水準で働く労働者は、04年度の1・5%から現在は2割、5人に1人以上に及んでいる。
労働者人民の生活苦は我慢の限界を超えている。家計の消費支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」は24年に28・3%と43年ぶりの高水準に達し、G7の帝国主義の中で一番高い。可処分所得に占める食料・水光熱費の割合は、年収最上位20%の世帯が27・6%なのに対して、年収最下位20%の世帯では51・2%と、収入の半分以上を占める。高市政権下で円安による輸入物価上昇、インフレ高進はますます進み、生活苦はいっそう重くなる。
こうした日帝経済の行き詰まりと労働者人民の困窮激化への不満と怒りの高まりの中で、政府は財政支出の拡張を続け、そのために国債の大量発行と日銀による国債購入を続けてきたが、それも完全に限界に達し、財政・金融の破綻は決定的段階に入っている。
25年3月末の国債残高は1054兆4760億円(時価総額)で、長期国債(償還期間1年以上の国債)の残高のうち51・7%の545兆5980億円を日銀が保有している(図2)。25年のGDPに対する政府総債務の比率は249%となる見通しで、米国124%、英国104%などの倍以上である。
25年5月、国債の主要な買い手だった生命保険・損害保険会社と日銀が買い入れを減らす中で、20年債などの超長期国債(償還期間10年超の国債)の入札が記録的不調となった。30年物、40年物の国債の金利も急騰し、価格はともに史上最安値を更新した。
超長期国債市場では海外投資家の存在感が強まっており、売買高全体に占める割合は約5割と国内勢を引き離す。短期的な金利変動で収益を稼ごうとするヘッジファンドが中心であり、ますます国債市場を投機的にする。この状況で高市政権がさらに「積極財政」と大軍拡へ舵(かじ)を切れば国債下落・金利急騰・株価暴落・インフレ・財政破綻という本格的な恐慌の爆発を引き寄せるだけだ。
08年大恐慌後、日銀は株式(上場投資信託ETF)の買い入れまでやって日帝資本を延命させてきたが、今年の9月になってようやくその売却開始を決めた。日銀が保有するETFの時価総額は85兆7千億円(9月時点)に達し、日銀が株式を10%以上間接保有する企業は71社に及ぶ。そこには売上高1兆円を超す「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングまで入っている。資本主義としてありえない状態だ。
しかも日銀の植田和男総裁自身が、日銀保有のETFの全売却に「100年以上かかる」と言っているように、日帝経済はこの「異常な」状態から事実上「永久に」抜け出ることができないのだ。
トランプ関税に直撃される日帝最後の砦=自動車産業
さらにこの日帝に重くのしかかっているのがトランプ関税であり、米帝が中国侵略戦争と一体で仕掛けてきている帝国主義間争闘戦の攻撃である。
米帝は中国スターリン主義をたたきつぶす中国侵略戦争・世界戦争を通して、内戦的危機にまで陥っている米帝の国内支配体制を立て直し、米帝による中国と世界の再編・再分割をやろうとしている。この戦争は米帝にとって日帝や欧州帝国主義に対する争闘戦でもあり、日・欧など「同盟国」を最大限に動員し、酷使してやろうとしているのだ。トランプ関税は、この中国侵略戦争・世界戦争への踏み切りと一体で、中国のみならず全帝国主義、全世界に対して戦争的な暴力性をもって仕掛けられている。その激しさにアメリカを含めて世界の金融・株式市場は動揺し、中国スターリン主義は米帝・全帝国主義にとって死活的なレアアースの規制をも武器に全力で対抗してきた。その結果、トランプは関税率を一定引き下げざるをえなくなった。それでも関税障壁を基本的になくしてきた戦後の自由貿易体制は決定的に崩れ去り、帝国主義の基軸国・アメリカが保護貿易の先頭に立って世界経済の分裂を促進し、1930年代の大恐慌を激化させたスムート・ホーリー法以来の高関税を当たり前のようにかけ、それを財政破綻状況にある米帝の「主要財源」に組み込んでしまったということは、歴史的事態である。もはや世界は「トランプ関税以前」には決して戻らないのだ。
トランプ関税は日本の25年実質GDP成長率を0・4%程度押し下げると試算されているが、これは実質成長率のプラス部分をほぼ帳消しにするということだ。また、輸出の伸び率は1・3㌽低下すると試算されているが、特に対米輸出依存が大きい自動車産業に決定的打撃を与える。
9月16日、トランプは、日帝が「対米投資80兆円」「米からの武器・エネルギー・農産物購入拡大」等々の要求を丸のみすることを条件に、日本からの輸入車への関税率を27・5%から15%に引き下げた。だが、それでも従来の関税率2・5%の実に6倍もの関税をかけられることになる。日本の自動車大手6社の関税コストは年2兆6千億円も増えるが、その価格転嫁は容易ではなく、営業利益は大きく圧迫され続ける。合理化や現地生産の拡大も限界がある。日帝の最大の基幹産業であり最後の砦(とりで)をなす自動車産業には、部品製造など関連企業を含む約560万人の雇用と、家族なども合わせれば1120万人以上の生活がかかっており、ここが根底から揺らぐことは日帝にとって国内階級支配の危機、体制的危機に直結する問題にもなるのだ。
日帝は1980年代から90年代にかけて、自動車・鉄鋼から半導体、金融にいたるまで、まさに今の中国のように米帝をしのぐような勢いを示したが、圧倒的軍事力をバックにした米帝の激烈な対日争闘戦の前に屈するほかなく、徹底的に没落させられた。
そして今日、日帝が延命する道は、米帝の経済的・軍事的諸要求を全面的にのみつつ、米帝と一体となって中国侵略戦争を自らの帝国主義としての存立をかけた戦争として遂行する以外にない。それがどんなに矛盾的で危機的で破産的であろうとも、この戦争をやれなければ、帝国主義として完全にふるい落とされ、体制的崩壊に向かうしかないのだ。
防衛力強化「有識者会議」と安保3文書改定の「前倒し」
こうした状況で、日帝ブルジョアジーの「唯一の希望」となり、にわかに「活気づいている」のが軍需企業、軍需生産である。「安保3文書」(日帝支配階級自身は「戦略三文書」と呼ぶ)が出された翌年の2023年、日本の大手兵器メーカーの国内受注は前年の2~4倍になった。戦前の財閥時代からの最大の軍需企業・三菱重工の24年度防衛・宇宙事業の受注高は過去最高水準の1兆8768億円、売上収益も8276億円で最高額を更新した。株価も25年には22年から約8倍以上に急騰した(図3)。日英伊による次期戦闘機の共同開発は30年の初飛行を目指しており、三菱重工が設計・製造の中核を担う。原子力潜水艦の保有検討も重要事態だ。フィリピンへの護衛艦6隻の輸出契約、インドネシアへの高速警備艇の供与、オーストラリアとの新型フリゲート艦の共同開発など、本格的な武器輸出も加速する。
この日帝ブルジョアジー中枢の軍需依存、日帝経済の軍事化は、中国侵略戦争への踏み切りである安保3文書から一気に進行しはじめた。その中で9月19日に発表された「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」(座長の経団連名誉会長・榊原定征や三菱重工名誉顧問、NTT会長、読売新聞社長ら日帝ブルジョアジー中枢と東大の御用教授ら)の報告書は、中国侵略戦争突入下での経済の軍事化、戦時経済への転換を真っ向から打ち出したものであり、日米開戦直前に日帝が掲げた国家構想である「高度国防国家」(国家の全活動の目標を国防の充実に置く)の現代版というべきものだ。この報告書では、以下のようなことを臆面もなく展開している。
▽「戦略三文書を踏まえ、我が国の安全保障政策を全うした上で、安全保障と経済成長との間の好循環を追求することも求められる歴史的転換点に入った」
▽「防衛支出は、国民にとって単なるコストではなく、国の将来を守るための投資である。経済活動のベースには安全保障があることや、経済の活性化によって財政基盤が強化され、また防衛力も維持できる」
▽「防衛と経済は、『大砲かバターか』という言葉に代表されるような二者択一のものではない。防衛費の増額はあくまで防衛力の抜本的強化を目的としたものであるが、防衛産業の強化につながり、生産ライン構築や雇用など下請けを含めた波及効果が見込まれる」
▽「防衛力の抜本的強化を進めれば日本経済の課題の解決にもつながり得る」
▽「防衛費増額は......防衛産業の成長や雇用創出、地域経済活性化、デュアルユース(軍民共用)技術を含むイノベーション(技術革新)の喚起にもつながりうる」
▽「国がコントロールしつつ民間資金や投資を呼び込むための『防衛公社』の設立といったアイデアや、公的な防衛ファンド(基金)の設立」
▽「強い防衛力を持つことが経済活動や経済主体を守り、国際的な発言力と影響力を高める」
「有識者会議報告書」は、これからの日帝の基本的なあり方をまさに国防・軍事・軍需を中軸とするものに転換することを、ブルジョアジー中枢の意思として示している。日帝は自民・維新連立合意書で確認した安保3文書の改定前倒しや、トランプ・高市会談で軍事費を2倍どころか3倍、5倍へと引き上げていこうとしている。そのときに、必ず起きる軍拡とそのための増税・負担増への反対世論に対して、この報告書は防衛費増額は「コスト・負担増」ではない、防衛費増額は経済を活性化させる、技術革新が進む、軍需生産で雇用が増える、財政基盤も強化されるとまで言って「反論」している。排外主義・国家主義の扇動の上に、「地域経済活性化のため」「雇用のため」という論理(基地・原発を地方に押しつけるために使ってきた)を労働者人民全体にふりかざし、大軍拡そして戦争そのものにも積極的に賛成するような世論を形成しようとしているのだ。「軍拡・戦争で経済がよくなる、雇用が増える、賃金が増える、国が栄える......」----帝国主義は最後の最後にはこういうことしか言えなくなる。そして恐るべき破滅への道に労働者人民を引きずり込むのだ。
だが日本の労働者階級人民は、この道が中国・アジア人民2千万人虐殺と沖縄戦、ヒロシマ・ナガサキにまで行き着いた地獄への道であることを歴史的に経験し、知っている。高市政権も、軍需・原発に期待する連合指導部も、労働者階級の敵、打倒対象としての姿をますますむき出しにせざるをえない。動労千葉を先頭に階級的労働運動を再生させ、巨大な反戦闘争を爆発させる現実性はまさに今こそある。11・2労働者総決起集会―改憲・戦争阻止!1万人大行進をもってこの現実性を現実そのものとしなければならない。