SANRIZUKA 2007/09/15(No735 p02) 
|









週刊『三里塚』(S735号1面1)(2007/09/15)
農地死守!42年目の三里塚 10・7全国集会の成功へ(下)
経済財政諮問会議 「農業を捨てる」の暴論
「貧困」と一体の農業破壊と闘う
労働者と農民の団結で市東さんの農地守ろう
10・7三里塚〜11月日比谷へ

(写真 この農地守れ きゅうりの収穫をする市東さん【8月25日】)
参院選での農民の反乱を無視して、自民党安倍政権は、大資本の延命のために民営化路線と一体で農業を一掃する決断を下した。農地法の廃止に向けて強まる攻撃はその象徴だ。10・7総決起集会は、この農業破壊と最先頭で対決する市東孝雄さんの農地を守る集会だ。全力で成功させよう。
安倍首相が推進する経済財政諮問会議・専門調査会の本間正義・東大教授は、最近、公然と「日本に農業はいらない」と主張し、「農地のない都市国家であるシンガポールのようになってもいい」旨言い出している。
農業のない社会は歴史上ありえなかったし、今後もありえない。シンガポールなどの諸都市国家は、社会としては完結していない。
しかし、この「農業のない社会」を、現在の安倍政権―経団連御手洗体制が、トヨタ、キヤノンなどの巨大資本の延命のためにのみ、本気で作り出そうとしているのだ。
農業のない社会を想像できるだろうか。田んぼも畑もないのだ。あるのは原野、荒地だけである。自然が生み出す生命力や大地がもたらす恵みなどまったく感じられない。「人間存在になくてはならない身体の一部が破壊された社会」とでも言えばいいだろうか。そんないびつな社会を安倍政権や御手洗体制は本気で考えている。
実におぞましい発想だが、農業を破壊し、農産物市場をすべて破壊して、自動車や電気製品を売り込まなければ成り立たないほど、現在の日本帝国主義は末期的危機だということである。そして、この問題は、若者を部品のように使い捨てる貧困の攻撃と表裏一体の関係だ。
農林水産省は8月10日、昨年度の食料自給率が40lを割り込んだ、と発表した(写真)。現在の新農基法では2015年までに自給率を45lに引き上げる計画になっているが、事実上放棄したということだ。そもそも「自給率40l」という数字自体が異常で、いわゆる先進資本主義国では日本だけ。
現在の農業切り捨て農政は”最後の砦”であるコメ市場を最終的に明け渡そうとするものだ。その結果の自給率は「12l」と試算されている。
農林水産省は8月24日、「農地政策に関する有識者会議」に対して、戦後農地法の最大の原則である「自作農主義」「耕作者主義」を廃止して、「企業が何の制約もなく農地を賃借できる法律に改変する」「そのために農地優遇税制を見直す」旨の農地法改悪案を提案した。(記事別掲)
昨年5月に財界の政策提言機関である日本経済調査協議会が「農地法廃止」の方向を打ち出したが、わずか1年余りでそれを法案化しようとしている。1961年の農業基本法以来果たせなかった「農地の集約化」をついに課税によって強行するということである。
農村で食えなくなった若年労働者が資本の搾取の対象となっている。農業問題と低賃金問題はメダルの裏表だ。300万農民の反乱は不可避である。
(写真 農業破壊を許すなと立ち上がった1万人の沖縄の農民【6月16日】)
司法反動の先兵・千葉地裁 10・30行訴第1回弁論
市東さんの耕作権裁判において、異例の反動的な訴訟指揮がつづいている。6月18日の弁論で菅原崇裁判長は、退廷を含む強圧的な攻撃に出てきた。これは三里塚闘争が、改憲・司法反動攻撃との対決点になっていることの表れだ。
反対同盟顧問弁護団は「現在、千葉地裁は司法反動全体の先兵になっている。特に、三里塚裁判闘争が切り開いてきた地平を破壊しようとしてきている」と指摘する。
最高裁は、司法エリートの中山隆夫を千葉地裁の所長として送り込み、三里塚裁判闘争を破壊しようと狙っている。その下で各裁判長が反動的訴訟指揮を強行している。
三里塚闘争は、裁判闘争の分野でも巨大な勝利を切り開いてきた。東峰十字路裁判闘争の実質勝訴、最高裁大法廷で弁論を開かせ成田治安法裁判、そして長期審理の民事訴訟の数々。こうした人民の陣地を破壊するために、三里塚裁判への攻撃が打ち出されている。
市東さん裁判を先頭とする三里塚裁判を日帝・安倍政権の司法反動攻撃との対決として全力で勝利させよう。市東さんの行政訴訟の第1回弁論が10月30日に決まった。傍聴闘争に集まろう。
反乱開始した300万農民 「三里塚は合流する」
市東孝雄さんへの農地取り上げ攻撃は、安倍―御手洗体制が進める農民切り捨ての最先端だ。「農地法による農地取り上げ」などというありえない法の破壊がなぜ市東さんに襲いかかるのか。
1970年代初頭、「日本農民の名において収用を拒む」として、農民階層総体の怒りを体現した三里塚闘争が、参院選で示された農民反乱と合流することを恐れているからだ。
反対同盟の萩原進事務局次長は、「農民が階層として絶滅させられようとしている」「高齢化を考えればここ5年が勝負だ」「農業を破壊しなければ成り立たない日本の資本主義を労農の力で打ち倒そう」と各地で労農連帯を訴え、農民自身の決起を呼びかけている。
攻撃の矢面に立つ市東さんも「1億8千万出すから農業を放棄しろという攻撃にがまんがならない。農民の誇りを金に替えることはしない」「法律が私を守ってくれないのなら自分の力で守る」と闘いの立場を表明している。
日帝・国家権力と41年ものし烈な実力闘争を勝ち抜いた反対同盟はその試練に耐え、今、日本の農業・農民が危機に立たされている時、既成指導部を乗り越え農民全体に号令を発し始めた。動労千葉を先頭とする労働者階級に「ともにこの腐り果てた資本主義を倒そう」と連帯を求めるに至った。
この三里塚農民の闘魂と300万農民の反乱が実体的に結びつくことをこそ、安倍政権は恐れているのだ。特に、「農地法の破壊」を開始した今、市東さんの耕作権取り上げ問題を焦点に闘いが爆発することに恐怖している。
そしてこの闘いは「生きさせろ」と決起を開始した青年労働者の闘いと連帯し、憲法改悪・民営化・戦争国家化と正面から対決するものだ。10・7全国集会は、市東さんの農地を理不尽極まりない取り上げ攻撃から労農学の力で守りぬく決意を宣言する集会だ。大結集を勝ち取ろう。
(写真 昨年の食料自給率が40パーセントを切ったことを報じる新聞【日本農業新聞 8月14日】)
------------------------
---------------------------
週刊『三里塚』(S735号1面2)(2007/09/15)
「企業の賃借自由化(!)」農地法廃止攻撃
耕作者主義を放棄
教育、労働地方、農地 戦後憲法の転覆4本柱
「集約化」のペテン
背景に「ゲートウェイ」
農林水産省は8月24日、農地制度の見直し案を「農地政策に関する有識者会議」(今年1月30日に農林水産省が発足させたもの)に提出した。そして同会議の検討を踏まえて、今秋にも新しい農地政策をまとめ、来年の通常国会に農地法の改正案を提出しようとしている。
昨年5月に財界の政策提言機関である日本経済調査協議会が「農地法廃止」の方向を打ち出したが、わずか1年余りでそれを法案化する攻撃にうって出てきたのだ。1961年の農業基本法以来追求して果たせなかった「農地の集約化」を課税によって暴力的に強行しようという、一種のクーデター的やり方である。
農地法は教育基本法、労働法制、地方自治と並んで戦後民主主義の骨格をなしてきたものだ。その農地法の廃止がついに日程に上ろうとしている。戦後民主主義の根幹をひっくり返す攻撃が、農業の分野でも始まったのだ。
農地法の第1条では「農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認める」とうたわれている。戦後の農地解放は、戦前の地主制度による土地所有を解体し、小作農の大半を自作農に変えた。
これをうけて1952年に制定されたのが農地法だ。耕作者の権利=農民の権利を保護するというもので、まさに戦後民主主義の大きな柱だった。
ところが今回農水省が提出した見直し案は、耕作者主義、自作農主義といった農地法の基本理念を完全に踏みにじり、企業の賃借=参入に大きく道を開こうというのだ。
現在、法人の農地の所有に関しては、主たる事業が農業とその関連事業かどうかなど、一定の要件を満たさなければならない。
見直し案では「所有から利用へ」なるフレーズのもとに、賃借権に関する規制を原則自由にする、としている。
これによって企業等の参入を促進し、2007年3月現在206法人であるところを4年後の2011年3月には倍以上の500法人にすることが目指されている。
農地制度を見直す理由として、農水省は遊休農地や耕作放棄地を無くして農地を有効活用するのだというが、耕作放棄の責任を農民に押しつけた上で、企業に差し出させようという、許しがたい農業破壊だ。
そのために農地制度の規制の撤廃とセットで税制の見直しが検討されている。
現在相続税の優遇措置として、農地を相続した人が20年間農業を続けることを条件に、まず納税を猶予し、最終的には免除する仕組みがある。新たな優遇制度案では相続した人が農業を続けなくても、農地を企業や大規模農家に貸し出せば、優遇措置を受けられるようにする。
一方、土地の有効利用につながらない税優遇は減らすというのだ。もし遊休農地について優遇措置が撤廃されれば、固定資産税は数十倍にはね上がり、農地を保有することは不可能になる。
新たな農地制度がまかり通ったら、ことは耕作放棄地だけにはとどまらない。大規模な農地を賃借しやすくするために、農水省は農地の「面的集約」ということを掲げている。農地の貸し手と借り手を仲介する機関を全国の市町村に設置し、地域で貸し出される農地をこの機関がまとめて借り受ける。それを大規模農家や企業に再配分して、分散のない農地にするという。
まとめられればまとめられるほどいいのだ。税制の見直しとともに、この制度が小農家への圧力となって、いやがおうでも農地を手放させていくことは、火を見るよりも明らかだ。財界の言う「300万農家を14万経営体に」という事態を許すのか否か、まさに瀬戸際にある。
背後にあるのはアジア・ゲートウェイ戦略にもとづく農政の大転換だ。「攻めの農業」と称して農業を国際的に競争する産業と位置づけ、競争力のあるものだけが生き残ればいいということだ。
しかし、農業に競争力という概念を持ち込むこと自体がまちがっている上、「農地を集約化すれば競争力ある農業を作り出せる」という主張もペテンだ。現在大規模農家ほど倒産の危機に直面している現実を完全に無視している。参院選で示された農民の総反乱は必至である。
農業の主人公は農民であり、農地は農民のものだ。戦後勝ち取ってきたこの当たり前のことがひっくり返されるかどうか、市東さんの農地取り上げをめぐる攻防にそれがかかっている。
まさにこの時代の最先端の攻防だ。市東さんの農地を守る運動を全国の労働者、農民、市民の間に広げよう。
今こそ農民と労働者が手を結んで時代を変える時だ。
------------------------
---------------------------

(写真 今年も実りの秋 9月2日、萩原進さん宅で稲刈りが行われた。収量も味も上々。萩原さんの意気は上がっている)
------------------------
---------------------------
週刊『三里塚』(S735号1面3)(2007/09/15)
10・7総決起集会招請状
三里塚芝山連合空港反対同盟
全国の労働者・農民、闘う仲間のみなさん。三里塚芝山連合空港反対同盟は、十月七日に三里塚現地で全国総決起集会を開催します。この集会は市東孝雄同盟員の農地をなんとしても守りぬくための決起集会です。そして、参院選で惨敗しながらも、改憲と民営化、戦争への道をひた走る安倍内閣と対決する総決起集会です。反対同盟はあらためて、三里塚闘争が果たすべき役割の大きさを強く感じています。動労千葉をはじめとする全国の労働者、農民、学生、市民が守りぬいてきた反戦・反権力の砦に、いま安倍内閣が牙をむいて襲いかかっています。十・七全国集会はこの現実を跳ね返す新たな出発点を築く集会です。
今年五月、安倍内閣は劣勢にあるアジア市場の巻き返しをかけて、新たな侵略のための「アジア・ゲートウェイ構想」を発表しました。FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)による大資本の生き残りに全力をあげると表明しました。その中心的政策として「航空自由化と成田空港の拡張」を真っ向から打ち出しました。政府・NAA(成田空港株式会社)は、早くも暫定滑走路の「3500m化」を公言しています。
他方で、安倍内閣は「攻めの農業」を掲げています。自由化の推進で食料を海外に求め、国内農業を切り捨てる政策(食料自給率12%=農水省試算)です。そしてついに「農地は耕作者のものである」という戦後の農地制度(農地法)の大原則を放棄する方針を決定し、農地優遇税制の廃止でこれを強引に進める構えです。
「農地法で農地を取り上げる」という市東さんの農地取り上げ攻撃は、農地から農民を引き剥がす農業つぶしの先取りでした。三百万農家切り捨ての象徴といえる事態です。
さらに改憲攻撃と一体で、成田空港は朝鮮有事に五十万米兵の受け入れ拠点とされています。この成田空港の防衛のために、米軍再編の一環として、核先制攻撃のためのミサイル防衛システムが陸上自衛隊習志野基地に配備されようとしています。
三里塚闘争は、四十一年闘い続け、ふたたび国策のための農地取り上げ攻撃と真っ向から闘う新たな段階を迎えました。失効した土地収用法に代えて、農地法で農地を事実上収用することはあからさまな憲法違反です。市東孝雄さんはその違憲性を真っ向から問う行政訴訟を提起して不屈の決意を示しました。
攻防は激しさを増しています。国交省・NAAは、暫定滑走路北延伸完成予定の〇九年から逆規定して、工事をなりふり構わず推し進めています。地区住民の声を押しきって、入会地である「東峰の森」を破壊しました。延伸に係わる裁判(天神峰現闘本部裁判、市東さんの耕作権裁判、一坪共有地裁判)の早期結審路線との闘いが激しさを増しています。
全国のみなさん。市東さんの農地の取り上げは形を変えた代執行攻撃です。これを打ち破る数千数万の陣形をうち立てるために、反対同盟は一歩も引かずに闘います。参院選における自民党の惨敗は、地方と農業・農民切り捨てに対する農民の大反乱であり、労働者の怒りそのものです。沖縄や北海道で、農業つぶしに対する大規模な反対行動も始まりました。働きたくても職のない青年労働者、医療も介護も奪われる高齢者、政治とカネをめぐる底なしの腐敗。労働者、農民、人民の怒りは地を覆っています。反対同盟は、闘う労働者との連帯を強く呼びかけます。この北総台地から全国の農民に闘いへの決起を促し、先頭で闘う決意です。
十・七全国集会はその画期を記す集会です。全国のみなさんの大結集を呼びかけます。
二〇〇七年九月二日
------------------------
---------------------------
週刊『三里塚』(S735号1面4)(2007/09/15)
日程 10・7全国総決起集会
暫定滑走路北延伸阻止・市東さんの農地を守ろう
憲法改悪絶対反対 成田を軍事基地にするな
10・7全国総決起集会
10月7日(日)正午
成田市東峰 同盟員所有地
《主催》三里塚芝山連合空港反対同盟
------------------------
---------------------------
週刊『三里塚』(S735号1面5)(2007/09/15)
中央即応集団の中東出兵弾劾
成田から制服姿で
派兵基地化に反撃を
陸上自衛隊の「中央即応集団」が、8月24日、ゴラン高原派兵部隊(PKO)として制服を着たまま、成田空港から中東に出発した。くり返される自衛隊部隊の成田空港軍事使用を徹底弾劾しなければならない。
「中央即応集団」とは「対テロやゲリラ」として新設された”精鋭”部隊で、海外派兵されるのは初めて。小倉好文隊長(3等陸佐)以下24人が成田空港を出発した。(写真)
日帝・自衛隊は現在、実戦部隊化に向けた策謀を強めており、PKOや「復興支援」の現場がその舞台になっている。
元イラク先遣隊長の佐藤正久は、派兵時、「駆けつけ警護」を強行して、自衛隊部隊を実戦に投入しようとしていたと、インタビューで語った。
「駆けつけ警護」とは、他国軍隊が攻撃を受けた時に駆けつけて援護する戦闘行為で違憲である。しかし佐藤はこの違法行為をわざと強行して、暴力的に自衛隊の実戦部隊化を進めるつもりだったと語っているのだ。PKOは今や、実戦部隊化の先頭に位置づけられている。
国民保護計画に基づく成田の軍事基地化と対決し、「自衛隊の成田からの出兵を許すな」の闘いを強めよう。
------------------------
---------------------------
週刊『三里塚』(S735号1面6)(2007/09/15)
コラム 
安倍内閣直属の「アジア・ゲートウェイ戦略会議」が航空自由化政策への転換を打ち出し、成田空港の「拡充」を20年ぶりに政権の正面課題とした。いまなぜ「航空自由化」なのか▼成田にも頻繁に離発着する米航空運輸企業・フェデックスの売上高は約5兆5千億円。同じく米企業のUPSや欧州ドイツ・ポスト(民営化されたドイツ郵便局)傘下のDHLを合わせた3社で、日本発の国際小口貨物市場の7割を独占する▼フェデックスの保有機は679機。UPSもチャーター機を合わせて600機を超える。対して日本の国内最大手であるJALの貨物専用機はわずか12機。差は歴然だ▼フェデックスは昨年末、24億円を投じて一時間に約6000個の貨物処理能力を持つ、アジア最大級の物流拠点を都内に開設した。日本発の小口国際貨物市場で首位のDHLも、日本での事業展開に110億円の追加投資を決めた▼中国を中心とするアジアの国際航空市場は、ここ20年で300%も拡大した。中国国内〜アジアの各地に凄まじい勢いで巨大空港が次々と建設されている。このアジアの航空市場争奪戦で、日本が決定的に出遅れた問題は日帝資本にとって致命的なのだ▼JALのようなフラッグ・キャリア(国策航空会社)が消えてなくなる可能性すらある。一昔前まで想像出来なかった事態だ。安倍政権が三里塚闘争を目の敵にする所以である。三里塚はなおも帝国主義の危機の発火点なのだ。
------------------------
---------------------------
週刊『三里塚』(S735号1面7)(2007/09/15)
闘いの言葉
存在するのも難しい日本で安心して生きていける人間は何人いるのか。若者を使い捨てる経営者も国際競争で追いつめられ疲弊しているに決まっている。
『ワーキングプアの反撃』雨宮処凛
------------------------
---------------------------
週刊『三里塚』(S735号2面1)(2007/09/15)
イラクはいま世界を揺るがす
米軍兵たん線、南部でも崩壊の危機
アンバル州の米軍式「復興の実験」も失敗
給油85%がイラク向け
インド洋の海自を撤退させよ
米国式「革命」の現実
ファルージャなどがあるアンバル州では、自らを「アンバル州再建会議(議会)」と名づけた親米部族連合が権力を握っている、とされてきた。 ところが、現在でもアンバル州はレジスタンスの実質支配下にある事実が明らかになった。イラクの親米系新聞によると、現在米軍はアンバル州で約250のイラク再建事業を行っている。アメリカ企業が元請となり、地元の業者が下請けとなる。地元業者が安全に仕事を行うためには、「テロリスト達(米軍、警察、部族長、レジスタンスなど)」にそれなりの金を払わなければならない。何しろ、道路はいまだに「テロリスト(レジスタンス)」に支配されているからだ。地元業者は、安全の保障を盾に取り、半年前の4倍の契約料を要求している。
駐イラクアメリカ大使館は、先月アンバル州での再建事業の業績を発表した。3億6300万ドルを投入した3300の事業が完成し、さらに、3億5300万ドルを投入した250の事業が進行中だという。これだけ多額の資金が、政府も存在しないところに投入されれば、当然腐敗と汚職が蔓延する。学校や発電所、浄水場などの完成写真がある。外側だけで内装のない学校、電線が乱雑にうち捨てられた発電所、つぎはぎだらけの浄水場という具合だ。多額の「再建資金」は、米軍高官と州政府幹部ら「テロリスト」たちに分配されてしまうのだ。
アンバル州で最大のドレイミ部族は、1920年の反英武装蜂起で南部のシーア派と連携して戦った歴史を持つ。このドレイミ部族がついに反米の旗幟を鮮明にした。8月11日、ファルージャ近郊で、アンバル州革命警察と名乗る親米派部族1000人とレジスタンスが交戦して以来、アンバル州でのレジスタンスの活動が再び活発になっている。14日には、米軍輸送ヘリが撃墜され、15日には米軍の兵たん輸送部隊が壊滅した。
アメリカが、「アンバル州方式」として賞賛していたものの中身はやはり腐敗と汚職であった。
*
バグダッドの生活
前号で暴露した通り、バグダッドの生活は危機的状況だ。電力と飲料水の供給が破綻したのに続き食糧配給制度が崩壊してしまった。この2カ月ほとんど配給がない。「イラクの声」紙によれば米1`500ディナールが1000ディナール、野菜は750ディナールが2000ディナールに高騰している。このままでは餓死者が出てもおかしくない。
この中で21日、サドルシティーで、数万の市民が反占領集会とデモを行った。参加者は、イラク国旗を掲げて反アメリカ、反シオニスト体制、反占領とサドルシティーへの米軍爆撃を非難した。参加団体も多彩で部族長、夫人、医者、学生などバグダッドの各地域から参加した。米軍は、過去3週間サドルシティーを爆撃して、「テロリスト」として市民を虐殺している。
レジスタンスの活動は、治安作戦の強化にもかかわらず活発化しており、30日にはバグダッド国際空港を飛び立ったアメリカの国会議員団を乗せたC−130輸送機が、レジスタンスの地上からの攻撃によって被弾。危うく撃墜されるところだった。
(写真 レジスタンスに攻撃された英国軍【バスラ】)
*
カルバラなどの南部情勢
28日、ついに英軍が、バスラ市内の英軍本部、前の大統領宮殿から撤退を開始した。BBC放送によると常駐していた500人は、バスラ空港の英軍基地に移動した。英軍はバスラ空港に拠点を絞るようだ。これでバスラ市内の英軍拠点はなくなった。英軍撤退後、緑色のシーア派の旗が、大統領宮殿に掲げられた。一部には、マフディー軍が占拠しているとの情報がある。
同日、カルバラでシーア派同士の戦闘があった。ロイター通信によれば、戦闘に巻き込まれた巡礼52人死亡、143人が負傷した。カルバラでは、シーア派の祭典が行われており、バグダッドなどから100万人の巡礼が訪れていた。
戦闘の後、警察は全市に外出禁止令を布告。およそ100万の巡礼者にたいして、2日以内にカルバラから離れるように勧告した。
この銃撃戦を受けて、BBC放送は、サドル師が、マフディー軍に6カカ月間の活動停止と再建を指示したと伝えている。この指示を受けて、サドルシティーでは、マフディー軍の姿が街頭から消えたが(AFP)、南部では、バドル旅団とマフディー軍の激しい戦闘が続いている。
カルバラでは、サドル派に対する逮捕が続き、200人の支持者が逮捕された。バグダッドのサドルシティーでも米軍の爆撃が続いている。サドル派は「政府が、弾圧をやめないのならば攻撃を再開する」としている。
米軍は、西部と北部において、レジスタンスに兵站通信線を破壊された。これに続いて、ついに南部でもクウェートからの陸路の兵站通信線が危機に陥っているのだ。
*
内部から崩壊する米軍
イラク南部での治安作戦「マリーネの明かり」は停滞しているが、第3歩兵師団第3旅団戦闘団3800人が動員されている。6月からの戦果は、レジスタンス86人射殺、186人逮捕、爆弾50発を処理、100隻の小船を破壊というものだ(AP)。100隻の小船はティグリス川で漁をする漁民の財産だ。それを「テロリストが、河を使って武器を密輸する」という理由で破壊しているのである。
このような作戦は、米軍兵士の精神を確実に蝕んでいる。米陸軍82空挺師団の現役兵士7人がNYタイムスに投稿。「イラク人にとって、我々を占領軍と呼び撤退を迫る実力闘争こそが、自分達の尊厳を取り戻す唯一の方法だと気づいた。レジスタンス運動が今後は現在より強力になるだろう」「占領の継続は、イラク人にとってもアメリカ人にとっても展望がない」としている。
報道によれば、テロ特措法でインド洋に派遣されている海上自衛隊の補給艦が、「イラクの自由」作戦に向かうアメリカ軍艦に給油していたことが暴露されている。しかも、85パーセントがイラク侵略戦争のために使われたという。軍事機密を盾に取り、戦場で軍部が勝手に戦争に突入する。まさに戦前の盧溝橋事件と同じだ。直ちにテロ特措法を廃棄し海・空自衛隊を撤退させよ。
〈イラク豆知識〉
グリーン・ゾーンとは?
チグリス河西岸の一等地約10平方キロの「多国籍軍管理地」のこと。バチカン市国と同じ広さの土地に、アメリカ大使館、米軍司令部中枢、日本、イギリスなどの大使館、アメリカ企業、イラク国民議会議場などが集中している。住んでいた数千人の住民は追い出された。バグダッド市民が飢餓にあえいでいる一方で、占領軍幹部やイラク人政治家が腐敗した暮らしを送っている。人々の憎しみの的だ。
------------------------
---------------------------
週刊『三里塚』(S735号2面2)(2007/09/15)
蘇るむしろ旗 三里塚闘争40年の真実(52)
理不尽な国家犯罪露呈
暫定路開港したけれど
「40b飛行」に立ち向かう
オーバーラン…事故続発
総裁「北延伸を」/アジアで空港続々
2002年4月18日、暫定滑走路は開港した。しかし「飛ばせば落ちる(屈服する)」はずの空港反対農民の闘争意志は衰えなかった。
萩原進さんは「要するに闘いの力関係の基本が変わらないのだから、飛ばして脅すだとか、ジェット噴射でいやがらせをするだとかやっても結局、小手先なわけだよ。『頭上40bの飛行』に耐えるのは簡単じゃない。しかしわれわれはやり切った。そして苦闘を重ねた末に、われわれ反対同盟および連帯する全国の労農学の陣形が『力による空港建設』を打ち破ってしまった。強制収用は不可能になった、というこの冷厳なる現実をだれもごまかせないということだ」と解説してくれる。
「飛ばしても落ちない」空港反対農民とその堅固な闘いに対して、政府・国土交通省、空港公団に何か手段があるのか。本質的にはない。しかし、「成田空港建設を途中で放棄します」という選択肢もありえない。
結局、地上げ屋的脅ししか、彼らに方法は残されていなかった。
暫定滑走路の開港でも闘争陣形を崩すことはできない、と見てとった国交省官僚は、早くも次の手段を考えざるをえなくなった。それが「北側への延伸」攻撃だった。
暫定滑走路が開業する4月の冒頭、国土交通省の官房審議官・伊藤鎮樹は、東峰区の空港反対農家に手紙を出した。「平行滑走路の用地売却に応じないなら北側に再延長する……(!?)」
権力を嵩に着たこういう物言いがどれほど空港反対農民の怒りに火を注ぐものか、官僚という者はまったく学べない人種らしい。
萩原さんは暫定開港を迎え撃つ4・14全国集会においてこの策動を暴露し、一蹴した。
同盟が予告していたとおり、暫定滑走路は開業したことによって破たんを増幅させていった。
同滑走路の進入表面を食い破っている立ち木が南北に存在することが暴露された。
市東さん宅のジェット噴射被害に対しては「対策フェンスを建設せよ」という同盟あげての闘いが成田市空港対策部への要求という形で粘り強く展開された。
6月24日、東峰神社裁判の第1回弁論が行われ、東峰区は「神社の底地も立ち木も部落の総有だ。だから部落の総意なしに売買はできず行った契約は無効だ」という正論が公団側を圧倒した。
この背後で実は、アジア地域をめぐる航空争闘戦が激化の一途をたどっていた。韓国の仁川国際空港は2001年3月に開港し、4000b滑走路の増設が計画されていた。1999年には中国上海の浦東空港も開港し、増設・拡張にむけた計画が進行していた。
政府・国交省、公団は追いつめられていた。日本の空港政策の中心中の中心である成田空港問題の解決なしには、空港政策全体が進行しない。
7月26日、公団の総裁が中村徹から黒野匡彦に代わった。中村は退任するあいさつで「北側延伸計画」に初めて言及した。この時点から、三里塚闘争は北側延伸をめぐるつばぜりあいの攻防に入っていった。
●「謝罪」のウソ
就任した黒野匡彦総裁は、「北延伸と両にらみでいく」と公言、「用地買収に応じなければ北側に延伸する」との脅しを強めた。
同時に、北側延伸に関連して「西側に新誘導路を造る計画がある」などという荒唐無稽なデマを流して、空港反対農民をかく乱しようと試みた。
しかし反対同盟の団結はますます強まっていった。10月13日秋の全国集会を盛大に開催し、「『飛ばせば落ちる』という暫定開港の攻撃を完全に粉砕した」と勝利宣言を発した。
萩原さんは当時語っていた。「この半年間の闘いは地味に見えるけど歴史に残る勝利だよ。『平行滑走路の当初計画復帰』なんて金輪際不可能であることを空港公団につきつけてやった、胸のすくような勝利だ」「暫定路自体の破たんも大きい。便数は増やしたけど乗客は増えない。空域も地上も混乱して、離陸の遅れが慢性化した」
そして、公団が最も恐れていたことが勃発した。12月1日、ついに航空機同士の接触事故が起きたのだ。03年1月27日には大惨事一歩手前のオーバーラン事故だ。「暫定滑走路を閉鎖せよ」という声が大きな世論にまで高まろうとしていた。ここまで追いつめられても「反省」ということをしないのが政府・公団なのだ。
12月24日、反対同盟の持つ8カ所の一坪共有地に対して何と「民法で取り上げる」という前代未聞の民事訴訟を提起してきた。特に求めたのは誘導路を「へ」の字に曲げている現闘本部わきの北原鉱治事務局長名義の一坪だった。
2003年になると黒野社長特有の支離滅裂な懐柔と攻撃がつづいた。1月12日、東峰に新たな貨物基地を造るという「貨物基地構想」なるものを打ち出した。これは、空港の敷地の外側に住む農家も含めて東峰部落丸ごと買収してしまおう、との意図から出された珍無類の切り崩し攻撃だったが、部落によって一蹴されると計画自体が消えてなくなった。
次に行ったのが「東峰区の皆さまへの謝罪」と称する黒野社長じきじきの「謝罪声明」だった。「皆様の人間としての尊厳を踏みにじった」「2度とこのようなことは致しません」うんぬんという歯の浮くような空疎な言葉の羅列だったが、事実、その後の行動で黒野は自らの言葉を裏切っていった。
こうして、硬軟両様の攻撃のすべてが破たんした。手段に窮した空港公団は一種のダッチロールに陥ったのだ。
すべての手立てを失った政府・空港公団に残された攻撃は暫定滑走路の攻撃の二番煎じすなわち「北延伸」攻撃だけだった。2003年5月「北延伸」が動き出した。
(つづく)
(写真 東峰神社すれすれを飛ぶジェット機)
●世相 有事3法提出……
2002年は、小泉政権によって武力攻撃事態法など有事3法案の国会審議が始まり、戦争国家化攻撃が一線をこえた年だった。一方、「対テロ戦争」を口実にして実は石油利権を求めるためのイラクへの戦争挑発が、アメリカ・ブッシュ政権によってエスカレートしていった。
------------------------
---------------------------
週刊『三里塚』(S735号2面3)(2007/09/15)
北総の空の下で
哲子さん悼む
長寿あやかりたい
8月18日、萩原進さんの母・哲子さんが93年の生を全うし、永眠されました。
故作治さんとともに東峰の地に入植して以来、一家の屋台骨として萩原家を支え続けた生涯でした。
戦争、開拓、空港闘争と「いくさに明け暮れた」が口癖だったと進さん。進さんの指名手配、4度の逮捕にも動ずることなく、テキパキと指示を出す気丈な人でした。
空港闘争のさまざまな局面で一家を守り、支援を励まし続けてくれた哲子さんの大きさを改めて思わずにはいられません。哲子さんに買ってもらったモンペや手差し(腕カバー)などは今も農作業で活躍しています。
90歳になっても庭の草むしりをし、新聞には隅々まで目を通す達者ぶりでしたが、脳梗塞をわずらってからは、家族の手厚い介護のもと、自宅療養を続ける日々でした。
哲子さんの逝去は残念ですが、ひ孫たちが戯れる部屋でセミ時雨に包まれて、静かに最後を迎えた生涯に悔いはないと思います。
やりきったということでは、一分一秒でも長生きしてもらおうと手を尽くした萩原静江さんにも心からご苦労様と言いたい気持ちです。告別式に駆けつけてくれた関西実行委の松原康彦さんが「静江さんが良い顔してたんで安心した」と一言。
「長寿 萩原哲子93歳」と書かれ、500円玉の入った祝い袋が、告別式のお返しと一緒に配られました。あやかりたいものだと、袋のまま取ってあります。(北里一枝)
------------------------
---------------------------
週刊『三里塚』(S735号2面4)(2007/09/15)
三芝百景 三里塚現地日誌2007
8月22日(水)9月4日(火)
●「自作農主義を放棄」
農林水産省は、新しい農地制度を検討する有識者会議に対し、自作農主義を放棄し、企業に農地を集約しやすい内容に農地法を改悪する提案を行った。一般企業の農地借り入れ制限なども撤廃する。有識者会議での承認を経て「来年の通常国会に農地法改正案を提出する」としている。(24日)
●鈴木いとさん、婦民全国協総会へ 兵庫県神戸市のシーパル須磨で行われた婦人民主クラブ全国協議会の第24回総会に反対同盟婦人行動隊から鈴木いとさんが参加してあいさつした。鈴木さん夫婦の持つ一坪共有地の裁判について「都合が悪くなったら法律も無視する。裁判所はさっさと権力に都合のよい判決をだす。これはもう民主主義とは言えません」「世の中をひっくりかえす闘いをやる以外にないと思います」とアピールした。(25、26日)
●市東さん行政訴訟,10月30日に 7月27日に堂本千葉県知事を相手取って提訴した「耕作権解約処分取り消し訴訟」の第1回弁論が10月30日、千葉地裁民事第3部で行われることが決まった。(29日)
●「首都圏空港の拡充進める」 国土交通省は、来年度予算の概算要求を発表した。それによるとアジア・ゲートウェイ構想に基づいて、羽田空港の再拡張に1248億円、成田暫定滑走路の北延伸に874億円(成田空港会社負担分含む)を要求した。また、航空自衛隊百里基地の軍民共用化も進める、としている。(29日)
●市東さん、群馬集会へ
市東孝雄さんは「市東孝雄さんの農地を守ろう!群馬集会」に参加して、理不尽な農地取り上げ攻撃を弾劾した。特に昨年9月14日の農業会議で、農地課の職員が「補償するんだから何の文句があるのか」という発言を批判した。(9月2日=写真)
●萩原さん宅で稲刈り 敷地内東峰の萩原進さん宅で稲刈りが行われた。天候と田の条件にめぐまれ、午前中に作業を終了した。(2日)
------------------------
---------------------------