ZENSHIN 2012/12/03(No2563 p08) 
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週刊『前進』(2563号1面1)(2012/12/03 )
全原発廃炉・改憲阻止
非正規職撤廃・大量解雇阻止へ連合打倒、労働組合運動再生を
闘う労働者党の建設かちとろう

(写真 徳島、沖縄を始め全国の救援会が登壇。星野同志奪還へ全人民的な大運動をつくり出そうと決意を新たにした【11月23日 東京・赤羽】)
民主党政権の崩壊と12月総選挙への突入を受けて、日本階級闘争は今や巨大な革命的激動に突入した。日本帝国主義の政治支配の崩壊はもはや果てしなく進み、追いつめられた日帝ブルジョアジーは新自由主義攻撃の激化と戦争・改憲に絶望的にのめり込んでいる。これに対する労働者階級の回答はただ一つ、プロレタリア革命への総力を挙げた前進以外にない。今こそ職場に闘う労働組合を打ち立て、それと一体で、資本の支配を根底から転覆するために闘う労働者階級の党を建設しよう。12月を、時代認識と路線で武装し、この激動情勢を階級的労働運動の一大飛躍に転化する組織決戦として闘おう。
巨大な革命的激動の時代が始まった
12・16総選挙とは何か。いくつもの政党・党派が次々と名乗りをあげては消え、あるいは野合して、12月4日の告示日当日まで、その数も公約も定まらない。この中に、もはや労働者人民を支配する力を失いながら、なおも必死に人民をだまして延命を図ろうとする全政党と日帝支配階級のぶざまな姿がさらけ出されている。
日帝の危機は本当に全面的で、根底的だ。今や乱立する諸政党のほとんどは極右・改憲勢力であり、労働組合の絶滅と階級的なものの一掃、圧殺を叫んで登場している。ブルジョアジーの非常な焦りと、労働者階級の革命的決起への恐怖がそこに示されている。だが連中には何の展望もなく、力もない。逆に大失業・非正規職化の攻撃と原発再稼働、大増税、戦争・改憲への突進に対してますます高まる大衆的怒りを前に、ひたすら危機感をつのらせて醜悪なあがきを繰り返している。
こうした支配階級の分裂の一方で、「労働者の味方」を装ってきた体制内指導部の正体もまた、闘う全人民の前に暴露されている。口先だけの政治はもう通用しない。「国会議員など全員うそつきだ。誰も信用できない」――これが労働者階級の大多数の心底からの声であり、怒りである。
起きているのは巨大な革命的激動情勢だ。最末期帝国主義の絶望的延命形態である新自由主義の大破産がついに、帝国主義とスターリン主義による戦後支配体制そのものを最後の崩壊局面にたたき込んだ。ブルジョア議会制度の崩壊は、労働者階級人民の怒りと決起をこの体制の枠内に封じ込めてきた最大の装置が崩れ去ったことを意味している。
労働者人民の未来は今やその一切が、資本家階級との絶対非和解の激突にかちぬく労働者階級自身の団結と行動にこそかかっている。世界を動かしている力は今、どこにあるのか。アメリカ大統領選挙を直撃した、民営化・労組破壊と闘うストライキや、11月14日にヨーロッパ23カ国で闘われたゼネストの力だ。それはエジプト・タハリール広場での新たな決起へ、ガザへ、さらに中国へと広がっている。
10・1JR外注化阻止の国鉄決戦−11・4労働者集会を闘った力は、11・11反原発国会包囲行動に対する国家権力のデモ禁止攻撃をも軽やかにのりこえて、雨天の中、20万人決起を実現した。この胸の熱くなるような自己解放的決起こそ、腐りきった社会を根底から変えて、原発を実際になくすことのできる力なのだ。
職場に闘う労働組合をよみがえらせよう! それと一体となって闘う真の労働者の党を、労働者階級自身の手で建設しよう。12月を、この闘いに青年労働者・学生、すべての労働者階級人民を組織する決定的な闘いの時としよう。これが12・16総選挙への労働者階級の回答だ。
外注化阻止決戦は日帝との全面激突
労働組合再生の鍵を握るのは、4大産別をはじめ全産別における外注化阻止・非正規職撤廃の闘いである。とりわけ国鉄決戦は、そのより本格的で全面的な第2ラウンドの決戦に突入している。この12月から来春にかけて、ここでの勝利を絶対に押し開こう。
11月28日、JR京葉線の車両事故で乗客1500人が1時間半も車内に閉じ込められたうえ、線路に降りて避難する大事件が起こった。これが10・1外注化の結果だ。
国交省によれば、2011年度に運休または30分以上の遅れの発生したJR東の在来線車両故障事故は190件。私鉄15社総計の24件の実に12倍近い発生率だ。またJR北海道では、車両3100両のうち約900両が一部検査を省略して走行していた事実が判明している。車両メンテナンスを全面外注化したJR四国でも987両の違反が発覚した。
なぜこんなことが起こるのか? JR総連や国労本部の外注化攻撃への屈服が、安全無視の野放しを許したからだ。
JR総連は東労組を先頭に、JR資本の大合理化攻撃に一貫して率先協力してきた張本人だ。国労本部もまた屈服に屈服を重ね、ついには一昨年の4・9政治和解=国鉄1047名解雇撤回闘争解体攻撃を受け入れるまでに転落した。その行き着いた先が、外注化を丸のみして10月23日に国労東日本本部とJR東会社との間で締結された「総合労働協約」だ。だが動労千葉は、外注化攻撃との12年にわたる絶対非和解の闘いを貫いて、10・1外注化阻止・非正規職撤廃の決戦を大爆発させた。新たな強制出向者49人という身を切る闘いを必死の団結で貫徹し、労働者側の主導権を確保して第2ラウンドの闘いに突入したのだ。
この動労千葉・動労水戸・動労総連合や国労郡山工場支部を先頭とした現場の闘いが、平成採の青年労働者の怒りと結びつき、偽装請負拒否を始め、労働組合の枠を超えて職場に闘いが次々とよみがえり始めている。
この闘いは日帝の国家戦略である「原発・高速鉄道・水道」輸出政策と激突する闘いとなる。これらはすべて「パッケージ輸出=国家的フルアウトソーシング」であることが特徴だ。JR東は常磐線でのCBTC(無線で列車運行管理や自動運転、自動停止を行う)試験計画を公表した。運転さえも外注化・無人化する攻撃だ。怒りをたたきつけ、絶対阻止しよう。
12月17日には、動労千葉鉄建公団訴訟の控訴審が開始される。6・29判決で東京地裁に国鉄分割・民営化の不当労働行為を認定させる大勝利をかちとった地平を引き継ぎ、国鉄改革法そのものを打ち破る巨大な展望をこじあけよう。解雇撤回・JR復帰を求める署名運動を各界各層に広げ、東京高裁を包囲する大闘争をつくりだそう。
これらすべてを、職場の団結拡大、青年労働者への組織拡大を焦点に、白熱的に闘いぬこう。
機関紙を党と労働組合建設の武器に
外注化・非正規職化攻撃は、全産別・全産業に及んでいる。これと一体で労働者の大量解雇、賃金の大幅切り下げ、諸権利の剥奪(はくだつ)、すさまじいまでの労働強化が全職場を一斉に襲っている。郵政職場では、年賀状のノルマ2万枚(100万円分だ!)というとんでもない「自爆営業」が強制された事例さえある。これへの職場の怒りの爆発、青年労働者の歴史的決起もついに始まった。
1枚のビラを重視しよう。宣伝・扇動に力を尽くそう。職場に渦巻く怒りを組織しよう。団結して闘えばどんな攻撃も打ち破る道を切り開けることを、全労働者に真っ向から訴えよう。
反原発の街頭行動を真に100万人規模の大行動に発展させよう。その核心は、福島の怒りの圧殺を断じて許さず、福島と心をひとつにして闘う労働者の職場からの決起にある。ここにとことん確信を持って、12・8もんじゅ現地闘争、12・14〜16原子力安全福島閣僚会議粉砕闘争を闘おう。
「アーミテージ・ナイレポート」は、原発こそ日米安保=戦争体制であることを突き出した。改憲とオスプレイ反対、沖縄・星野・三里塚との固い連帯をかけて闘おう。
怒りを力に、2013年の闘いを決する規模の圧倒的な冬期カンパ闘争に立ち上がろう。労働者の新聞『前進』を読み、全労働者の中に拡大しよう。党と労働組合の一体的建設に全力で総決起していこう。
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週刊『前進』(2563号1面3)(2012/12/03 )
前進速報版から
▼サンヨン自動車支部労働者が高空籠城闘争に突入/韓国▼日系・矢崎総業自動車部品工場で大ストライキ/中国▼矢崎総業スト続報
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週刊『前進』(2563号2面1)(2012/12/03 )
動労千葉鉄建公団訴訟控訴審 12・17東京高裁包囲へ
「解雇撤回! JR復帰」へ職場・地域で大署名運動を
不当労働行為認めた一審
動労千葉鉄建公団訴訟控訴審が、いよいよ12月17日から東京高裁第12民事部(難波孝一裁判長)で始まる。国鉄1047名解雇撤回・JR復帰に向けて、さらには公務員360万人首切りを始めとする「国鉄型」解雇攻撃を打ち破るためにも決定的に重要な闘いだ。
担当する難波裁判長は、東京地裁裁判官時代の05年9月15日に、国労鉄建公団訴訟で「解雇有効」の反動判決を出した人物だ。その後、熊本地裁所長を経て今年8月末に東京高裁に異動した。
一審での6・29判決(東京地裁第11民事部、白石哲裁判長)のポイントは以下の3点だ。
不採用基準策定は不法と初認定
第一に、被告である旧国鉄(現鉄道運輸機構)が動労千葉や国労に所属する組合員を不当に差別することを目的に不採用基準を策定・適用したことを初めて認定したことだ。つまり、JRの本州3社と四国は定員割れだったにもかかわらず、「停職6カ月以上、または停職2回」という不採用基準を急遽(きゅうきょ)策定し、当初は採用候補者名簿に登載されていた原告を名簿から削り落とし、JR不採用としたことは国家的な不当労働行為であると明確に断罪したのだ。
第二に、この不採用基準が策定されていなければ原告は「JR東日本に採用されたはずである」と述べ、JRに在職したら得られたであろう賃金の3年分と清算事業団賃金との差額の支払いを被告に命じたことだ。これは、賃金上は原告をJRに在職したものとして扱ったことを意味し、JRに法的な責任があることを実質的に認めたもので、きわめて重大だ。
第三に、名簿作成という採用手続きの要をなす過程での不当行為を認定した以上、原状回復=JRへの採用を命じる以外にないにもかかわらず、あくまで“国鉄とJRは別法人”という国鉄改革法の虚構にしがみつき、「90年4月の清算事業団解雇は有効」としたことだ。断じて許せない反動判決なのだ。
10・11鉄運機構控訴審判決弾劾
本控訴審は、あらためて不当労働行為を認定させ、解雇撤回・JR復帰の判決を出させる闘いだ。被告には、不当労働行為の結果生じた事態を解消する義務、JRに原告を採用させる義務があることは誰が見ても明らかなのだ。
この闘いの最大の焦点は、国労秋田闘争団の小玉忠憲さんを原告とする鉄道運輸機構訴訟での10・11控訴審判決(東京高裁第14民事部、設楽隆一裁判長)をいかにぶち破っていくのかにある。10・11判決は、不採用基準を「客観的かつ明確なもの」「相応の合理性がある」と言いなし、消滅時効が成立しているとして損害賠償請求も退けた。6・29判決の全内容を覆した極反動判決だ(判決内容は本紙2557号参照)。
この大反動をぶち破るためにも12月17日、一審を上回る一大結集で東京高裁を包囲しよう。
国鉄改革法23条打ち破れ
不当労働行為に対する救済措置は原状回復が原則だ。不当な解雇は撤回されなければならないし、不当労働行為によって生じた損害はそっくり賠償されなければならない。戦後革命期以来の営々たる先達の闘いと膨大な裁判闘争・判例を通して築き上げられてきたこの大原則を、根底から破壊するために作られたのが国鉄改革法23条だ。
当時首相の中曽根康弘を先頭とする国家権力中枢と「改革派」と呼ばれた国鉄官僚(現JR経営陣だ!)は、「国鉄とJRは別」というフィクションを作り上げ、「どんな組合差別や不当解雇があったとしてもJRには何の関係もない」と強弁し続けてきた。こんなことがまかり通るなら、労働3権(団結権、団体交渉権、団体行動権)など絵に描いた餅でしかない。最高裁を始めとする司法権力は、この「JRに法的責任なし」の大ペテンにお墨付きを与え続けてきた不当解雇の張本人だ。
国鉄分割・民営化攻撃の渦中に制定された労働者派遣法(86年7月施行)もまた、労基法や職業安定法などに定められた直接雇用の原則を破壊し、実際の使用者が労働者に対して負うべき責任の一切から資本家たちを解き放った。これによりどれほど多くの労働者(とりわけ青年労働者)が超低賃金の無権利労働を強制され、理不尽きわまりないいじめを受け、解雇され、生活も、未来も、命さえも奪われてきたのか。
国鉄改革法23条をあらためて階級闘争の戦場に引きずり出し、全労働者の怒りの総決起で粉砕しつくさなければならない。国鉄1047名闘争は、まさに現在の雇用関係と社会のあり方を根底から問う闘いであり、労働者派遣法粉砕・非正規職撤廃の闘いと表裏一体の関係にある。同時に、すべての公務員労働者にこれから本格的に襲いかかろうとしている「いったん全員解雇、選別し新規採用」の国鉄型解雇・社保庁型解雇、総非正規職化を絶対に許さない闘いそのものでもある。
全職場・地域で判決の学習会を
6・29判決をきっかけに、解雇撤回・JR復帰の高裁判決をかちとるための署名運動が開始され、どんどん広がっている。国鉄闘争に心を寄せ続けてきた多くの人びとが次々と名乗りをあげ、呼びかけ人・賛同人は2カ月で2倍になった。国鉄闘争全国運動の事務局には連日必ず、賛同署名が入った郵便が届く。
この闘いは、大恐慌下の大量解雇と大失業、公務員バッシング、そして新自由主義に対するあらゆる怒りと結びつく巨大な可能性を持っている。従来の国鉄闘争支援陣形にもう一度大胆に分け入るとともに、その枠組みを越え、ここから「新しい国鉄1047名闘争陣形」をつくる構えで本控訴審と新たな署名運動に取り組もう。
とりわけ、業務全面外注化攻撃に怒りを燃え立たせているJRの青年労働者の結集をかちとろう。外注化阻止・非正規職撤廃闘争の今ひとつの大きな柱は、この1047名解雇撤回闘争だ。
またそのためにも、すべての労働者に「これはおれたち自身の問題だ」「すべての労働者の力を集めて絶対に勝たなければならない闘いだ」ということが伝わるような宣伝物の工夫、飛躍が早急に求められている。
動労千葉顧問弁護団長である葉山岳夫弁護士が月刊『労働運動』10月号、『序局』3号に寄せた6・29判決についての論考は最良のテキストだ。地域・職場で6・29判決学習会を網の目のように開催し、署名運動の年内1万筆達成へ運動を広げよう。
すべての職場・地域から12月17日、控訴審第1回口頭弁論に大結集しよう。
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動労千葉鉄建公団訴訟
控訴審第1回高等弁論
12月17日(月)午前11時 東京地裁
※午前10時、裁判所前に集合
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週刊『前進』(2563号2面1)(2012/12/03 )
動労千葉鉄建公団訴訟控訴審 12・17東京高裁包囲へ
「解雇撤回! JR復帰」へ職場・地域で大署名運動を
不当労働行為認めた一審
動労千葉鉄建公団訴訟控訴審が、いよいよ12月17日から東京高裁第12民事部(難波孝一裁判長)で始まる。国鉄1047名解雇撤回・JR復帰に向けて、さらには公務員360万人首切りを始めとする「国鉄型」解雇攻撃を打ち破るためにも決定的に重要な闘いだ。
担当する難波裁判長は、東京地裁裁判官時代の05年9月15日に、国労鉄建公団訴訟で「解雇有効」の反動判決を出した人物だ。その後、熊本地裁所長を経て今年8月末に東京高裁に異動した。
一審での6・29判決(東京地裁第11民事部、白石哲裁判長)のポイントは以下の3点だ。
不採用基準策定は不法と初認定
第一に、被告である旧国鉄(現鉄道運輸機構)が動労千葉や国労に所属する組合員を不当に差別することを目的に不採用基準を策定・適用したことを初めて認定したことだ。つまり、JRの本州3社と四国は定員割れだったにもかかわらず、「停職6カ月以上、または停職2回」という不採用基準を急遽(きゅうきょ)策定し、当初は採用候補者名簿に登載されていた原告を名簿から削り落とし、JR不採用としたことは国家的な不当労働行為であると明確に断罪したのだ。
第二に、この不採用基準が策定されていなければ原告は「JR東日本に採用されたはずである」と述べ、JRに在職したら得られたであろう賃金の3年分と清算事業団賃金との差額の支払いを被告に命じたことだ。これは、賃金上は原告をJRに在職したものとして扱ったことを意味し、JRに法的な責任があることを実質的に認めたもので、きわめて重大だ。
第三に、名簿作成という採用手続きの要をなす過程での不当行為を認定した以上、原状回復=JRへの採用を命じる以外にないにもかかわらず、あくまで“国鉄とJRは別法人”という国鉄改革法の虚構にしがみつき、「90年4月の清算事業団解雇は有効」としたことだ。断じて許せない反動判決なのだ。
10・11鉄運機構控訴審判決弾劾
本控訴審は、あらためて不当労働行為を認定させ、解雇撤回・JR復帰の判決を出させる闘いだ。被告には、不当労働行為の結果生じた事態を解消する義務、JRに原告を採用させる義務があることは誰が見ても明らかなのだ。
この闘いの最大の焦点は、国労秋田闘争団の小玉忠憲さんを原告とする鉄道運輸機構訴訟での10・11控訴審判決(東京高裁第14民事部、設楽隆一裁判長)をいかにぶち破っていくのかにある。10・11判決は、不採用基準を「客観的かつ明確なもの」「相応の合理性がある」と言いなし、消滅時効が成立しているとして損害賠償請求も退けた。6・29判決の全内容を覆した極反動判決だ(判決内容は本紙2557号参照)。
この大反動をぶち破るためにも12月17日、一審を上回る一大結集で東京高裁を包囲しよう。
国鉄改革法23条打ち破れ
不当労働行為に対する救済措置は原状回復が原則だ。不当な解雇は撤回されなければならないし、不当労働行為によって生じた損害はそっくり賠償されなければならない。戦後革命期以来の営々たる先達の闘いと膨大な裁判闘争・判例を通して築き上げられてきたこの大原則を、根底から破壊するために作られたのが国鉄改革法23条だ。
当時首相の中曽根康弘を先頭とする国家権力中枢と「改革派」と呼ばれた国鉄官僚(現JR経営陣だ!)は、「国鉄とJRは別」というフィクションを作り上げ、「どんな組合差別や不当解雇があったとしてもJRには何の関係もない」と強弁し続けてきた。こんなことがまかり通るなら、労働3権(団結権、団体交渉権、団体行動権)など絵に描いた餅でしかない。最高裁を始めとする司法権力は、この「JRに法的責任なし」の大ペテンにお墨付きを与え続けてきた不当解雇の張本人だ。
国鉄分割・民営化攻撃の渦中に制定された労働者派遣法(86年7月施行)もまた、労基法や職業安定法などに定められた直接雇用の原則を破壊し、実際の使用者が労働者に対して負うべき責任の一切から資本家たちを解き放った。これによりどれほど多くの労働者(とりわけ青年労働者)が超低賃金の無権利労働を強制され、理不尽きわまりないいじめを受け、解雇され、生活も、未来も、命さえも奪われてきたのか。
国鉄改革法23条をあらためて階級闘争の戦場に引きずり出し、全労働者の怒りの総決起で粉砕しつくさなければならない。国鉄1047名闘争は、まさに現在の雇用関係と社会のあり方を根底から問う闘いであり、労働者派遣法粉砕・非正規職撤廃の闘いと表裏一体の関係にある。同時に、すべての公務員労働者にこれから本格的に襲いかかろうとしている「いったん全員解雇、選別し新規採用」の国鉄型解雇・社保庁型解雇、総非正規職化を絶対に許さない闘いそのものでもある。
全職場・地域で判決の学習会を
6・29判決をきっかけに、解雇撤回・JR復帰の高裁判決をかちとるための署名運動が開始され、どんどん広がっている。国鉄闘争に心を寄せ続けてきた多くの人びとが次々と名乗りをあげ、呼びかけ人・賛同人は2カ月で2倍になった。国鉄闘争全国運動の事務局には連日必ず、賛同署名が入った郵便が届く。
この闘いは、大恐慌下の大量解雇と大失業、公務員バッシング、そして新自由主義に対するあらゆる怒りと結びつく巨大な可能性を持っている。従来の国鉄闘争支援陣形にもう一度大胆に分け入るとともに、その枠組みを越え、ここから「新しい国鉄1047名闘争陣形」をつくる構えで本控訴審と新たな署名運動に取り組もう。
とりわけ、業務全面外注化攻撃に怒りを燃え立たせているJRの青年労働者の結集をかちとろう。外注化阻止・非正規職撤廃闘争の今ひとつの大きな柱は、この1047名解雇撤回闘争だ。
またそのためにも、すべての労働者に「これはおれたち自身の問題だ」「すべての労働者の力を集めて絶対に勝たなければならない闘いだ」ということが伝わるような宣伝物の工夫、飛躍が早急に求められている。
動労千葉顧問弁護団長である葉山岳夫弁護士が月刊『労働運動』10月号、『序局』3号に寄せた6・29判決についての論考は最良のテキストだ。地域・職場で6・29判決学習会を網の目のように開催し、署名運動の年内1万筆達成へ運動を広げよう。
すべての職場・地域から12月17日、控訴審第1回口頭弁論に大結集しよう。
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動労千葉鉄建公団訴訟
控訴審第1回高等弁論
12月17日(月)午前11時 東京地裁
※午前10時、裁判所前に集合
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週刊『前進』(2563号2面2)(2012/12/03 )
11・4労働者集会報告集が発刊
11・4全国労働者総決起集会実行委員会が集会報告集を発行した。生き生きした写真とあわせて集会での全発言が収録されている。主要発言は3言語で掲載されている。
集会での全発言を読み返すと、この1年間の各職場での実践でかちとられた豊かな地平が手応えをともなって伝わってくる。とりわけ、その闘いを最先頭で切り開いてきた呼びかけ3労組の発言は、階級的労働運動復権への最良の指針だ。
外注化阻止・非正規職撤廃の闘いの本格的な発展に向け、『前進』読者のみなさん、11・4集会に参加したみなさんに、ぜひもう一度じっくり読み味わっていただきたい。
◆注文先 動労千葉:千葉市
中央区要町2−8DC会館
TEL 043-222-7207
FAX 043-222-7197
E-mail/doro-chiba@doro-chiba.org
B5判50n/頒価500円
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週刊『前進』(2563号3面2)(2012/12/03 )
プロレタリア革命の時代切り開く絶大なカンパを
『前進』読者のみなさん! 闘う労働者・学生・市民のみなさん! 労働者階級が新自由主義の攻撃を打ち破り、社会の主人公となる新しい時代が到来しました。この情勢にあたり、革共同は自らの革命党としての重大な責任を厳粛に確認します。この歴史的・階級的責務を果たす革命党建設ために、革共同への絶大なカンパを要請します。
解散・総選挙と、石原慎太郎都知事の辞職・都知事選が示している事態は、日本帝国主義の政治支配システムの完全な崩壊です。野田も石原も労働者人民の闘いによって打倒され、権力の座から追放されました。10万人、20万人の反原発国会行動は、非正規職の青年労働者が抱く現実への怒り、オスプレイ沖縄配備に対する怒り、それらと福島の怒りが渾然(こんぜん)一体となって爆発を続け、野田を追いつめました。新自由主義の権化として都知事の席に居座り続けた石原も、都労連(東京都労働組合連合会)に結集する労働者の団結破壊・労組解体を貫徹することはできませんでした。階級的労働運動の前進と闘う労働組合の再生こそ、総選挙・都知事選情勢に対する労働者階級と革共同の回答です。
国鉄闘争の大前進
これらの闘いの中心軸にあるのが、国鉄決戦−外注化阻止・非正規職撤廃、1047名解雇撤回を掲げた階級的労働運動であり、われわれ革共同はその最先頭で闘いぬいています。
JR東日本による業務全面外注化の阻止へ最先頭で闘う動労千葉をはじめとする国鉄労働者の闘いは、動労水戸の被曝労働拒否闘争と一体で、JRで働く青年労働者獲得への大きな展望を切り開いています。
その結晶が、11・4全国労働者総決起集会への5800人の結集です。外注化阻止・非正規職撤廃、解雇撤回の闘いが、世界中の労働者が直面している攻撃との闘いとひとつであること、したがって労働者の国際連帯を創造していける闘いであることも明確になりました。
外注化阻止決戦は第2ラウンドに突入します。国鉄をはじめ4大産別、さらにはあらゆる職場で外注化・非正規職化と闘いましょう。職場において新自由主義を粉砕し、職場支配権を奪還していくことこそ、階級的労働運動の真価が試される闘いです。革共同は階級的労働運動の路線に確信をもち、党と労働組合の一体的建設に全精力を注入して闘います。
反原発の最先頭で
反原発闘争も大きな転機を迎えています。
11・11国会前100万人大占拠行動におけるデモ禁圧攻撃は、原発絶対反対の闘いが国家権力の支配の根幹と激突する課題であることを突き出しました。
反原発の街頭行動を真に百万人の大行動に飛躍させるためには、原発労働者との団結・連帯をすえながら、職場生産点から「全原発の即時停止と廃炉」を掲げて立ち上がっていくことが不可欠の課題になっています。
12月16日投開票の総選挙―都知事選挙に向かう過程は、反原発闘争をめぐる激しい党派闘争の場でもあります。日本維新の会代表に就任した石原慎太郎は、多数の外国人記者を前にして「核兵器に関するシミュレーションくらいやった方がいい」と核武装への野望をあらわにしています。原発再稼働、高速増殖炉もんじゅ試運転、フルMOX燃料の大間原発新設、核燃サイクル維持と、原発にしがみつく支配階級の狙いはここにこそあります。新たな反核闘争の構築が求められます。
福島現地では、政府・県・山下俊一ら御用学者が一体となった被曝隠し・被曝強制の攻撃に対し、労働者人民の団結の力で子どもたちの命を守る新たな闘いが始まっています。福島の怒りの圧殺を断じて許さず、連帯してともに闘いましょう。
私たちは、反原発闘争の高揚を膨大な労働者人民とともにさらに推進していく中で、革共同をさらに豊かで、柔軟で、強靱(じん)な労働者党として鍛えていく決意です。これまでをひとまわりもふたまわりも超えるカンパを寄せていただけるよう訴えます。
本格的な党建設を
世界は革命情勢に完全に入りました。米大統領選挙も中国共産党大会も、現代世界を規定するこの2大国がいずれも支配体制の絶望的な危機に陥っていることを示しています。中国の労働者人民の怒りはすでに臨界状態に入り、あらゆる契機から1万人を超える大暴動が続発しています。ヨーロッパでは23カ国1000万人のゼネストとデモが大爆発し、その衝撃によってEUの予算案をめぐる首脳会議が決裂しました。まさにEU解体の危機です。
世界中の労働者階級の決起が示しているものはなにか。新自由主義の絶望的な継続に依存するしかない資本家階級を打倒する決戦場は、ブルジョア議会ではなく職場生産点、街頭とキャンパスにあるということです。
革共同は世界の労働者階級と団結・連帯し、必ずやプロレタリア革命の荒々しい時代を切り開きます。本格的な労働者党の建設をともに完遂すべく、絶大なカンパを寄せてください!
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週刊『前進』(2563号4面1)(2012/12/03 )
もんじゅ廃炉12・8敦賀現地闘争へ
軍用プルトニウム生産工場
高速増殖炉の継続阻止を
日帝の核武装策動許すな
12月8日、福井県敦賀市で高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を求める集会とデモが行われる。総選挙情勢のなかで「核武装」論が公然と台頭している。12・8集会の大成功と戦闘的デモで、もんじゅ廃炉、日帝の核武装攻撃を粉砕しよう。
原爆材料製造工程そのもの
9月14日、野田政権は「革新的エネルギー・環境戦略」で原発再稼働に加え、再処理継続と高速増殖炉「もんじゅ」継続を決定した。文部科学省・もんじゅ研究計画作業部会はこれを受けて、核廃棄物減容を目玉にしつつ高速増殖炉に関する技術の維持・継続を軸にした多様な目的炉をめざす方針をうち出した。「もんじゅ」=発電所が大うそであり、核軍用炉そのものであることが隠しようもなく明らかになってきている。
日本原子力研究開発機構(原子力機構)は、「もんじゅ」(福井県敦賀市)の運転を来年末に再開し、また「常陽」(茨城県大洗町)の運転を2015年度に再開する計画を発表した。
原発・核燃廃止が帝国主義としての決定的脱落をもたらすことに恐怖した日帝支配階級は、自己の延命をかけ、原発輸出と一体で核武装国家への本格的飛躍へ突進することに踏み切ったのだ。
第2次世界大戦での敗北に対する日帝の最大の反動的総括は、一貫して核保有である。米帝の核支配、日米安保のもとで、「高速増殖炉等の面で、すぐ核武装できるポジションを持ちながら平和利用を進めていく」(1968年外務省「外交政策企画委員会」での国際資料部長・鈴木孝の発言)という方針に沿って核燃料サイクル計画(プルトニウム生産体制の構築)を推進してきたのだ。
「もんじゅ」は原爆生産の要
核兵器生産の最大の問題は、プルトニウムなどの核分裂性物質の確保とその純度の高度化(核弾頭の小型化)である。
上の図が示すように、日帝の原爆材料生産は、高速増殖炉を要とした核燃サイクルを基本としている。ウラン濃縮を始発点とし、原発(軽水炉)→軽水炉用再処理工場→高速増殖炉→高速炉用再処理工場を経て軍事用プルトニウム抽出に至る一連の核燃サイクルは、原爆材料製造工程そのものにほかならない。
原発もプルトニウムを生産するが純度が低く(60%)、そのままでは原爆はつくれない。しかし高速増殖炉では、劣化ウランを炉心の周囲に敷きつめたブランケット部分に対し、この原子炉級プルトニウムを炉心燃料にして燃やして中性子を当てると、97・5%(原型炉「もんじゅ」)、あるいは99・36%(実験炉「常陽」)という核兵器に最適なスーパー級プルトニウムがつくられるのである〔現在米帝などが配備している核兵器は94%〕。
今日まで日帝はこの二つの高速炉で約36`グラムの軍用プルトニウム(原爆約20発分)を生産している。「もんじゅ」は年間62`グラムの軍用プルトニウム生産能力を持つ。どんなにリスクがあろうと経費がかかろうと、日帝が「もんじゅ」にしがみつくのは、この一点なのだ。
そして炉心燃料となるプルトニウムを大量に生産する原発、その使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場なしに核燃サイクル工程は成り立たない。核軍事上、原発と六ケ所再処理工場(青森県六ケ所村)、「もんじゅ」は密接不可分の関係にある。またプルトニウムとウランの混ざったMOX燃料を原発で使いプルトニウムを消費するプルサーマル計画は、「余剰プルトニウムを出さない」という口実でプルトニウム大量生産体系を維持し推進するものだ。大飯原発再稼働・フルMOX大間原発建設再開の強行の根源的動機がここにある。
だが、「もんじゅ」・六ケ所再処理工場は事故が相次ぎ、原発は3・11で大破綻し、核燃サイクルの環はばらばらというぶざまな状態をさらけだしている。日帝の核武装政策は最大の危機にたたき込まれているのだ。
日米共同の核軍事技術研究
2009年度文部科学省委託事業「核不拡散強化に関する海外技術調査」参考資料では、「(高速増殖炉の)ブランケット内で生成されたプルトニウムはウランのみによるブランケット装荷の場合、核爆発装置に利用されることを容易にする」と明記している。「もんじゅ」「常陽」がまさにそれだ。「核不拡散強化」を叫ぶなら、両炉こそ真っ先に問題にしなければならない。
だが、「もんじゅ」情報について第1回作業部会配付資料の評価結果(答申書)は、「積極的に情報を公開することを原則とする」とうそぶきながら、「核心的な技術については情報管理も必要」と、この肝心要の情報を極秘にすると居直っている。
茨城県東海村にある原子力機構のリサイクル機器試験施設(RETF)は、「もんじゅ」「常陽」のブランケット燃料から高純度プルトニウムを抽出する高速炉用再処理工場である。日帝にとって軍用プルトニウム獲得の最後の関門をなす最重要の核施設だ。1995年に着工し試験棟完成・一部研究機器搬入後、状況不明が続く。同施設では、照射済みブランケット燃料からのプルトニウムとウランの分離速度を決定的に速める遠心分離接触器の核軍事技術が米国から日本に移転されたことが暴かれている(『グリーンピース・レポート』)。
帝国主義・大国間の争闘戦において最も激しい攻防の焦点をなす核技術といわれる高速増殖炉のプルトニウム生産とその再処理をめぐり、極秘裏に日米帝間で核軍事技術の共同研究と移転が行われている。
米帝は、敗戦帝国主義・日帝の核武装衝動を抑えつつ、その野望を世界核支配戦略・対日戦略および米軍需産業の利権構造の中に組み込み、自己の利益に沿うように規制しコントロールしてきた。一方、日帝は核武装化のために、日米同盟・日米原子力協定のもとで「原子力の平和利用」を大義名分として米帝などから核技術・機器・プラントを導入しつつ、軍用プルトニウム生産体制の形成を推進してきたのだ。
核はコントロールできない
高速増殖炉「もんじゅ」は、@暴走しやすい、A燃えやすいナトリウムを冷却材に使っている、B地震に弱い、C猛毒のプルトニウムを燃料にしているなどの特色をもち、重大事故を不可避とするきわめて危険な原子炉である。実際「もんじゅ」は1995年12月8日にナトリウム火災大事故を引き起こした。また原子炉建屋などの直下に活断層があることも確認されている。
3・11福島原発事故で、核はコントロールできないこと、被曝労働・放射能汚染をもたらす原発(核)は労働者人民と相いれないことが明白となった。そして「もんじゅは決して発電炉ではなく、超核兵器級プルトニウム生産炉である」(吉田義久著『アメリカの核支配と日本の核武装』)という核武装問題。また、もんじゅの約1兆円という巨額の建設・運転費用と1日5500万円の維持費。これらを考えれば、原発とともに「もんじゅ」を即時廃炉にするのは当然だ。
世界大恐慌の深まり、米帝のアジア重視(対中国)戦略のうち出しのなかで、没落帝国主義・米帝と脱落帝国主義・日帝は、核政策を軸に相互の利害をかけた同盟と争闘のあつれきを激化させ、世界戦争(核戦争)への道を促進しつつある。核を必要とする帝国主義を一刻も早く打倒することは歴史的急務だ。
3・11と反原発闘争の高揚は連合をとおした日帝の労働者支配を切り裂き、東電や原子力機構を始めとする核施設で働く労働者にも、反原発・反核の気運をもたらし決起を促している。首相官邸前を始め全国で粘り強く闘われる原発再稼働阻止・全原発をなくせの巨万人民のうねりを12・8「もんじゅ」現地闘争に合流させ、原発廃炉・核燃解体を実現する大前進をかちとろう。
(河東耕二)
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2012もんじゅを廃炉へ!全国集会
12月8日(土)午前11時〜午後4時
▼現地抗議集会と原子力機構申し入れ
午前11時〜 白木海岸(福井県敦賀市)
▼もんじゅ廃炉を求める全国集会
午後1時30分〜4時 きらめき港館
主催 2012もんじゅを廃炉へ!全国集会実行委員会
▼午後4時から敦賀市内デモ
主催 NAZEN、8・6-8・9実行委員会
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週刊『前進』(2563号5面1)(2012/12/03 )
政府・IAEAの福島閣僚会議許すな
国際的圧力で原発を維持し子どもにさらに被曝を強制
12・14〜16福島・郡山行動へ
「原子力安全の強化」へ154カ国の閣僚らが参加
12月15〜17日に福島県郡山市で、日本政府主催・IAEA(国際原子力機関)共催で、「原子力安全に関する福島閣僚会議」が開かれる。15日午前の本会合から始まり、16日と17日の三つの専門家会合をはさんで、17日午後の閉会の本会合まで実に3日間に及ぶ。参加者はIAEA加盟154カ国の閣僚ら約千人。14日には参加者の県内視察と「被災地産品の安全性に関するワークショップ」、15日夜には福島県主催の歓迎レセプションが予定され、郡山の商店街では「万全のおもてなしを」と歓迎ムードがあおられている。
この福島閣僚会議は、福島原発事故を居直って原発を推進し続けるのが最大の目的だ。そのために、事故による深刻な被曝や放射能汚染をすべて「安全」と言いなし、フクシマと全国の怒りを押しつぶそうとしているのだ。日本政府は昨年3・11以降、特に昨年12月の「原発事故収束」宣言以降、そうした攻撃を続けてきた。しかしその大うそは見破られ破産を重ねてきた。「福島を返せ! 原発なくせ」という声は今や巨万の声となって日本と世界にとどろいている。だから今度は、IAEAという国連機関の権威と圧力をもって、原発政策の維持と推進、そして被曝強制の大攻撃を仕掛けてきたのだ。
そもそもIAEAが福島県で閣僚会議を開催すること自身が絶対に許せない。86年のチェルノブイリ原発事故の際にも、事故現地での国際会議はできなかった。IAEAは、アメリカ帝国主義など核保有国が核兵器を独占し原発を推進するためにつくった国際機関である。ICRP(国際放射線防護委員会)やWHO(世界保健機関)も実質的にIAEAの支配下にある。「年間100_シーベル未満はリスクなし」という非科学的な基準を決めたのもIAEAとICRPである。IAEAとは核・原発・放射能に関する世界最悪の機関、被曝による殺人を容認してきた極悪組織だ。
福島原発事故を引き起こした張本人でもあるIAEAが福島に来ること自体、どんなことがあっても許してはならない。
しかもIAEAのトップに位置する事務局長は現在、09年に「唯一の被爆国・日本」を売りにして日本人で初めて就任した天野之弥(ゆきや)である。日本帝国主義こそがこうした殺人行為をすべて担っているのだ。
事故の「知見と教訓」基に再稼働も輸出も推進
福島閣僚会議の中身は、外務省が発表している「開催目的」や専門家会合のテーマを見れば明白だ(全文別掲)。
そこでは「事故から得られた更なる知見及び教訓を閣僚及び専門家レベルで国際社会と共有し、更に透明性を高め……」と言う。政府・東電がグルになって福島第一原発事故の真因を今なお隠し続け、福島県民健康管理調査をめぐっては「秘密会」を開き、大飯原発の真下に活断層がある事実をごまかしている。何が「透明性」だ!
「事故から得られた知見と教訓」とは、直ちにすべての原発を廃炉にすること以外にあり得ない。福島第一原発は1年8カ月たった今も日々、大量の放射性物質をまき散らし続け、核燃料はメルトダウンしたまま手もつけられず、原発労働者は過酷な被爆にさらされている。
しかし福島原発事故が引き起こしたこの深刻な被害について何ひとつ反省しないどころか、まったく逆に、その「知見・教訓」を基に原発の「安全」を強化し、大飯原発に次ぐ他の原発を再稼働させようとしているのである。こんなことがどうして許せるか!
しかも福島閣僚会議の狙いは、日本だけでなく国際的にも原発政策を推進し、さらに日本の原発輸出まで容認することにある。
外務省文書にある「IAEA行動計画」とは、昨年9月に策定され、“福島第一原発事故を機に安全基準を強化する”、そのために“IAEAからの調査チームを自発的に受け入れる”としたものである。福島原発事故のような原発の大事故を防ごうというのではない。事故をも機にして、まだ原発を導入していない国も含めてアメリカ帝国主義の核独占と日本の原発技術の支配下に置こうとしているのだ。米・日が争いながらも日米安保を強めつつ、核不拡散と原発推進、さらには日本の原発輸出を進めようというのだ(本紙前々号4面参照)。
外務省文書には「IAEA行動計画の実施を含む原子力安全の強化に関する国際社会の様々な取組の進捗状況を議論する」とある。それは今指摘したようなIAEAと米・日による支配と統制をますます強めるということである。これはアジアにおける米日帝国主義による安保強化と侵略戦争の動きと一体だ。12月福島閣僚会議は、こういう帝国主義の本性をむき出しにした会議なのだ。
県とIAEAが共同で被曝強制の拠点を設置
さらに重大なのは、開催目的を「放射線からの人及び環境の防護のための措置」とし、同じ名の専門家会合が予定されていることである。これはこれまで主に日本政府と福島県が対応してきた福島における放射線被曝と放射能汚染に関して、IAEAと国際帝国主義が大々的に乗り出すということだ。「防護」や「健康管理」「除染」を掲げながら、今まで以上に深刻な被曝を強制しようとしているのである。今回の閣僚会議の最大テーマはこの点にある。
福島閣僚会議の過程では、IAEA天野事務局長と佐藤県知事が協力文書に署名することが予定されている。福島県は除染や放射線対策の拠点として三春町と南相馬市に「県環境創造センター」(仮称)を設置し、15年度にも開所しようとしている(上図)。200億円プラス用地取得費という巨額を投じる巨大プロジェクトだ。ここにIAEAが恒常的な拠点を置く。すでに11月3日には環境省が、ICRPや福島医大の協力のもとで除染などをめぐる「対話集会」を開いた。
さらに福島閣僚会議ではIAEAと福島医大が共同プロジェクトの具体案を正式発表しようとしている。福島医大は11月20日、「ふくしま国際医療科学センター」を発足させた。“住民の健康管理を担い、健康不安解消を目指す”というこのセンターの本性は、「(被爆者を)検査すれども治療せず」と言われた旧ABCC(広島・長崎の原爆投下後に米政府が設立した調査機関・原爆傷害調査委員会)よりさらに極悪だ。
日本政府とIAEAは国際的圧力のもとで今まで以上に被曝と汚染地への帰還を強制しようとしているのだ。さらに「秘密会」の暴露で怒りの的となっている県民健康管理調査を「国際的承認」のもとで続けようとしているのだ。こんなものは子どもたちへの一層の被曝の強制、環境のさらなる破壊でしかない。
「私たちを抜きに、福島のことを決めるな!」
外務省は「福島の復興に向けた確かな歩みを国際社会に発信する」「福島の復興にも資する機会とする」とも言っている。「復興」と言うのならフクシマを返せ! 何よりも原発事故を引き起こした政府と東電、資本家連中は責任を取れ!
3・11以降、福島と全国で数々の非道を平然と行い、今また福島閣僚会議で原発と放射能で命を奪おうとする者たちを、私たちは絶対に許さない。
今や世界人民の声となった「ノーモア・フクシマ」の声を、福島閣僚会議にこそたたきつけよう。全国の労働者人民はフクシマの怒りとつながってともに行動しよう。
「原発いらない福島の女たち」が12・14〜16の福島・郡山行動を呼びかけている。スローガンは「私たちを抜きに、福島のことを決めるな!」だ。このあまりにも当然の要求をすべての労働者人民の共通のスローガンとして、12・14〜16福島・郡山行動、12・15の日比谷野音集会に駆けつけよう!
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原子力安全に関する福島閣僚会議 2012年12月15〜17日
開催目的
国際的な原子力安全の強化に貢献することを主な目的としている。東京電力福島第一原子力発電所事故から得られた更なる知見及び教訓を閣僚及び専門家レベルで国際社会と共有し、更に透明性を高め、そして、放射線からの人及び環境の防護のための措置並びに国際原子力機関(IAEA)行動計画の実施を含む原子力安全の強化に関する国際社会の様々な取組の進捗状況を議論する機会とする。また、福島の復興に向けた確かな歩みを国際社会に発信するとともに、福島県と1AEAとの協力を強化する契機とし、福島の復興にも資する機会とする。
スケジュール
■12月15日(土曜日)
◎9時30分〜12時30分 本会合
共同議長:玄葉外務大臣、マレーシア閣僚級
◎12時30分〜14時00分
日本国外務大臣主催ワーキングランチ
◎14時00分〜17時00分 本会合
◎18時30分〜20時00分 福島県主催歓迎レセプション
■12月16日(日曜日)
(必要に応じて本会合を以下と並行して継続)
◎10時00分〜13時00分 専門家会合セッション1
「東電福島原発事故からの教訓」
◎15時00分〜18時00分 専門家会合セッション2
「東電福島原発事故を踏まえた原子力安全の強化」
■12月17日(月曜日)
◎9時00分〜12時00分 専門家会合セッション3
「放射線からの人及び環境の防護」
◎13時00分〜14時00分 本会合(閉会セッション)
開催地 郡山市・福島産業交流館ビッグパレットふくしま
主催者 日本国政府
共催者 国際原子力機関(IAEA)
参加者 IAEA加盟国、関係国際機関等
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週刊『前進』(2563号5面3)(2012/12/03 )
福島閣僚会議に抗議を
ふくしま集団疎開裁判の会代表 井上利男さん
今回、仙台高裁が第3回目の審尋を1月にも入れることを決めました。しかし私は状況を楽観視してはいません。
この裁判で福島地裁が「却下」という判断を下したのは昨年12月16日。野田首相が福島第一原発事故の「収束」を宣言したのと同じ日でした。
この直前の11月28日、内閣官房「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」の会合で、ICRPのクリストファー・ クレメント科学事務局長が「ICRPと事故後の(放射線)防護に関する提言」を行い、同じくICRPのジャック・ロシャール主委員会委員は「緊急時から被曝継続状況への移行」を提言しました。
こうしてICRPから「年間20_シーベルト基準」にお墨付きをもらったことを受けて野田首相は「収束」を宣言し、福島地裁は「子どもたちを避難させる必要はない」と決定したわけです。
それと同じことが今、繰り返されようとしています。12月15〜17日に郡山で開催される「原子力安全に関する福島閣僚会議」です。そこで日本政府と福島県は、またも国際的な「お墨付き」を得ようとしているのです。実に恐ろしい問題です。私はこの会議が集団疎開裁判の行方にも影響すると考えています。
さらに福島県はこの会議で、「世界中から集まる閣僚たちに福島が復興している姿を見てもらおう」と考えている。全世界に「福島はもう大丈夫だ」と大宣伝して、原発政策を維持していこうとしているのです。本当に許せません。
そういう意味で私はこの会議に抗議する12・14〜16の直接行動が重要だと思っています。
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週刊『前進』(2563号5面5)(2012/12/03 )
三里塚裁判傍聴を!
◎市東さん行政訴訟・農地法裁判
12月10日(月)午後1時30分 千葉地裁
★萩原進事務局次長の証人尋問
◎団結街道裁判
12月18日(火)午前10時30分 千葉地裁
(傍聴券抽選のため1時間前に集合)
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週刊『前進』(2563号7面4)(2012/12/03 )
国際労働運動 1月号
外注化阻止を軸に国鉄決戦へ
本号より装丁をリニューアルした。一層の活用を。
【特集】
JR東日本の10・1外注化をめぐって、動労千葉を先頭に歴史的な決戦が闘われた。11・4集会は、この高揚を引き継いで、闘う労組の組織拡大を推し進めることを誓い合った。また、動労千葉の鉄建公団訴訟6・29判決は、国鉄清算事業団による解雇を有効としたが、動労千葉組合員をJR不採用としたのは不当労働行為だと明確に認定した。控訴審での解雇撤回・JR復帰へ闘おう。
第1章は、外注化阻止決戦の現場を描写し、新自由主義の核心的攻撃である外注化・非正規職化を打ち破って労働組合を再生させる道を指し示している。
第2章は、6・29判決を詳細に検討し、勝利の展望を明らかにしている。また、国労秋田闘争団への反動判決を弾劾し、国労組合員資格確認訴訟の意義も提起している。
第3章は、JR東日本の「経営構想X」を批判し、外注化阻止の第2ステージ、ライフサイクル粉砕などの来春に向けての課題を提起するとともに、全産別での総決起を訴えている。
討議資料として、6・29判決の抜粋を掲載した。
【ニューズ&レビュー】
▽韓国・民主労総の11・11労働者大会は「整理解雇撤廃!」などを掲げて闘われ、動労千葉訪韓団が熱い合流をかちとった。
▽中国・習近平新体制は、労働者のスト・暴動に迎え撃たれている。
【世界経済の焦点】
実体経済が下降し「2番底」に向かう日本経済の破滅的な危機に焦点をあて、日帝打倒の展望を示す。
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