明日も耕す 農業問題の今 鳥インフル対策に投資加熱 米で感染爆発、卵価急騰
週刊『三里塚』02頁(1157号02面03)(2025/04/14)
明日も耕す 農業問題の今
鳥インフル対策に投資加熱
米で感染爆発、卵価急騰
米騒動の影に隠れてしまっているが、鳥インフルエンザによる卵不足から価格の高騰が続いている。2月1日、千葉県旭市で今季51例目が発生。累計の殺処分羽数は1000万羽に迫る。実はこれは世界的な問題だ。
アメリカで高病原性鳥インフルエンザの感染爆発が発生し、供給不足で卵価格が高騰している。
スーパーでは品切れが慢性化し、12個入り1パックが11㌦(約1650円)前後で売られ、市民からは「高過ぎて買えない」と悲鳴が上がる。
感染患者が死亡
「トランプ政権は卵価格を管理できていない」と不満の声が広がる中、4月中旬のイースターを控え、米農務省(USDA)は鳥インフルエンザの拡大防止や卵の価格低下に向け最大10億㌦(約1500億円)を拠出する方針を打ち出すなど、対策に躍起だ。問題は卵不足だけではない。1月6日、南部ルイジアナ州で鳥インフルエンザウイルスの「H5N1型」に感染し、入院していた患者が死亡した。2024年4月以来、少なくとも鳥インフルエンザの感染が61人で確認されている。そのほとんどが鶏や牛との濃厚接触によるもので、人から人への感染は確認されていないことから、CDC(疾病対策センター)は一般の人に対するリスクは低いとしている。
だがその一方で、昨年10月はじめ、ワシントンDCで「世界鳥インフルエンザサミット」なるものが開催された。
世界から政治家やブルジョアジーが集まって、鳥インフルエンザのワクチン戦略、非常事態管理について議論したという。鳥インフルエンザが人に感染するものに変異し、次にパンデミックが起きた時のシミュレーションがなされている。危機乗り切りと、危機を金もうけに変えるための会議だ。
ちなみにあのビル・ゲイツは、すでに人から人感染するトリインフルエンザワクチンの開発に投資している。
人工卵は安全か
ビル・ゲイツがもうひとつ投資しているのが人工卵だ。「ビヨンドエッグ」というもので、植物100%で作られた卵の味をした粉末食材だ。
人工卵、代替卵は、植物性原料を用いた食品で、ビーガンや食物アレルギーの人たちの卵の代用品として利用されてきた。近年は「環境や社会に配慮した食品」と喧伝(けんでん)され、キューピーやカゴメが製品を出し、ファストフードやファミレスでも広く使われている。
それが卵の価格高騰や鶏卵不足で「未来の食材」として注目されている。だが、防腐剤や発色剤をはじめ、安全性への疑念は人工肉と同じだ。
鳥インフルエンザの根本的解決は大量飼育をやめることだと主張してきたが、ブルジョアジーの目は次なる金もうけに向いている。中国侵略戦争に向かう中でも、資本主義は私たちの食と環境を壊し食い物にしている。
