耕作権裁判で不当判決 NAAの請求通り明け渡し命令

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週刊『三里塚』02頁(1157号01面02)(2025/04/14)


耕作権裁判で不当判決
 NAAの請求通り明け渡し命令

(写真 千葉地裁前で怒り爆発 3・24耕作権裁判不当判決に怒りのこぶし)
(写真 南台農地関係土地図 )

 反対同盟員・市東孝雄さんの南台農地をめぐる耕作権裁判で、千葉地裁民事第2部・齊藤顕裁判長は3月24日、NAAの請求通り、市東さんに農地の明け渡しを命ずる極悪の不当判決を出した。しかし、判決の確定を待たずに強制執行を行える「仮執行宣言」を付けることはできなかった。市東さんと反対同盟顧問弁護団は直ちに、控訴して不当判決を打ち砕く意志を明らかにした。全国から集まった180人の労働者・農民・学生・市民がこの日一日をともに闘った。
 開廷に先立ち、千葉市中央公園で決起集会が開かれ、地裁包囲デモが意気高く闘われた。
 その勢いのまま全員が地裁の601号法廷前に集合し、傍聴券の抽選を経て入廷、60以上の席を埋めた。
 すでに齊藤裁判長と反対同盟弁護団が着席しているが、原告NAA代理人は全員欠席。
 法廷内の緊張が高まり、全員の視線が裁判長に集中した。
 「判決を言い渡します。主文、被告は原告に対し、別紙記載の土地の部分を明け渡せ...。訴訟費用は被告の負担とする」
 不当判決! 即座に傍聴席から弾劾・抗議の声が相次ぎ騒然となった。裁判長はお構いなしに早口の上ずった声で判決理由の要旨を読み上げる。 「A土地の賃借権は認められない...」「本件賃貸借契約は、賃借地について面積を定めるのみで、賃借地の場所、範囲を具体的に定めるものではない...」「時効取得は認められない...」「成田空港は昭和53年の開港から現在まですでに空港としての機能を有し続けており...」「なお被告らが長年にわたり南台の土地等において農業を営んできたことなどを考慮して、仮執行宣言は付さない」
 傍聴者の怒りが爆発した。「こんな判決を認められるか!」「取り消せ!」。閉廷を宣して逃げていく齊藤顕ら3人の裁判官に、傍聴者は総立ちで怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。
 さらに地裁正門前に再結集し弁護士からの報告を受けて、傍聴できなかった人も含め全員で怒りを共有した。太郎良陽一さんのリードで「市東さんの南台農地を守り抜くぞ!」「市東さんとともに闘うぞ!」と叫んで判決を徹底弾劾した。
 千葉県弁護士会館のホールで不当判決弾劾集会が開かれた。
 最初に市東さんが怒りを込めてあいさつに立った。「これが国策裁判のやり方だ。しかしこれで逆にファイトがわいてくる。やられたらやり返す。これからも農地死守、戦争絶対反対を闘う」。この揺るぎない闘争心に全員が熱い拍手を送った。
 続いて弁護団一人ひとりが発言し、NAAを勝たせるためだけに書かれたそのデタラメな内容を徹底批判した。
 齊藤判決は、NAAが「同意書」「境界確認書」という偽造文書をもとにして賃借地の位置特定を強硬に主張し破産したことを踏まえて、「本件賃貸借契約は、賃借地について面積を定めるのみで、賃借地の場所、範囲を具体的に定めるものではない」、つまり位置なんかどうでもいいと切り捨てる。そして「A土地の賃借権は認められない」「A・C・D土地それぞれの時効取得は認められない」と頭ごなしに決めつける。さらに成田について、「開港から今まで空港として機能し続けている」と既成事実への屈服を迫る。
 また、1994年に国・空港公団(NAAの前身)は成田シンポジウムで「平行滑走路建設においていかなる意味でも強制的手段を用いず、話し合いによって解決する」と約束した。にもかかわらず、市東さんに明け渡しを迫っている問題について判決は、「民事訴訟手続きは別。そもそも北原派はシンポや円卓会議に参加していない上、成田空港建設自体を許容していない。話し合う余地はない。権利濫用(らんよう)とか信義則違反というのはあたらない」とNAAを全面擁護した。

「仮執行」阻む

 だが、裁判長は仮執行宣言を付けられなかった。「農地死守・実力闘争」の原則を貫き闘ってきた三里塚闘争の力が、判決確定前の強制執行という非道を阻んだのだ。これは重大な勝利だ。
 飛行差し止め訴訟の原告である成田市民、群馬合同労組の労働者、全学連委員長の矢嶋尋さんが連帯発言を行った。
 矢嶋さんは、「戦争を止める闘いと市東さんの農地を守る闘いは完全に一体だ。立ち上がる人びとを全力で組織し、一昨年の2倍、3倍の闘いを作り出す。絶対に今回の判決を後悔させてやろう!」と決意を述べた。
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逆にファイトわく
 市東さんの発言

 判決は予想した通りでした。それにしてもあまりにもひどい判決です。この19年間、私たちと皆さんがあれだけ証拠を集め、あれだけ説明したのに、結局、裁判所は、仮執行宣言は付けなかったが、こちら側の主張をすべて否定し、空港側を免罪した。これが国策のやり方です。しかしこれで逆にまたファイトがわいてくる。やられたらやり返すというのが三里塚の昔からの闘い方だ。今日を一つの区切りとして、これからも農地死守、戦争絶対反対の闘いをますます闘っていきたい。

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