天神峰現地闘争 南台農地死守、軍事空港粉砕を 「市東さんと共にこの地守る」 空港内NAA本社へ向けデモで進撃
天神峰現地闘争
南台農地死守、軍事空港粉砕を
「市東さんと共にこの地守る」
空港内NAA本社へ向けデモで進撃



千葉地裁民事第2部・齊藤顕裁判長は3月24日、耕作権裁判判決で成田空港会社(NAA)の訴えを認め、「市東にこの地を耕す権利はない。明け渡して出ていけ」と命じた。断じて許すことはできない。同日、石破政権は自衛隊「統合作戦司令部」を発足させ、30日の日米防衛相会談では、対中国の日米同盟強化、在日米軍の統合軍司令部への再編を強力に確認し、中国侵略戦争へと突進している。これと真っ向から対決し、3・30三里塚現地闘争が開かれ、全国から395人の労働者・農民・学生・市民が係争地である南台農地に結集し、この地を絶対に守り抜く覚悟で勝ちとられた。全基地撤去・日米安保粉砕! トランプ・石破打倒の4・27渋谷デモに集まろう。
晴天のもと南台農地に集まった参加者はNAAと国家権力への怒りに燃え、デモ出発前の打ち合わせを行った。司会の反対同盟事務局の伊藤信晴さんが第一声を上げた。(発言要旨2面)
「賃貸借契約には賃借地の場所特定がない。だからNAAの請求は正当だと。だが、位置の特定がなければ面積も出ない、これが社会の常識だ! この司法の腐敗は日本帝国主義の中国侵略戦争策動と無縁ではない。成田軍事空港粉砕、農地死守、実力闘争の原則を打ち固めて闘う」。
続いて、婦人行動隊の宮本麻子さんが「弾劾声明」を読み上げた。
主催者あいさつとして東峰の萩原富夫さんがマイクを握った。「控訴審で東京高裁に行くが、傍聴闘争などご支援をお願いします。騒音下住民にとっても市東さんの闘いは希望の星だ。イスラエルによる空爆など、世界では戦争を止められていない。農家は追いつめられ、食料危機が迫っている。成田を軍事空港にさせないために農地を守って闘い続ける」
動労千葉書記長の渡辺剛史さんが連帯のあいさつに立った。「農地は命。命を守るために市東さんは先頭で闘っている。動労千葉も地方ローカル線を守る」と決意を述べ、3・14―15ストライキの貫徹を報告した。
2千㎡はどこに
関西実行委の連帯発言に続き、反対同盟顧問弁護団が登壇し、判決内容を批判し、現地の実力闘争と一体で控訴審を闘う決意を述べた。「かつて空港公団総裁は平行滑走路建設のために『あらゆる意味で強制的手段は用いない』と公約した。ところが農地法裁判一審判決(2013年)で千葉地裁・多見谷寿郎裁判長はそれを、『土地収用法に基づく収用はしない』ことを約束しただけで、民事訴訟での土地取得は別だと言い放ち、NAAを手助けした。今回の齊藤判決でも同じことが書かれた」「市東さんは南台で4661平方㍍の土地の賃借権を有すると判決は認めている。その賃借地の場所をめぐってAかE1かと争ってきたわけだが、契約で場所を特定してないからAを賃借地として認めないという。ならば、賃借地Bを差し引いた残りの2千平方㍍はどこに行ったというのか!」
大きな拍手に迎えられて市東さんがあいさつに立った。「裁判所は『事実を出せ』というので、一生懸命調べて出した。しかし、南台41―1はどこを耕しても権利がお前にはないんだと。絶対に許すわけにはいかない。皆さんとのきずなを大事にして、この畑で作ったおいしい安全な野菜をこれからも作り続けます」。市東さんの覚悟に共感の拍手が続いた。
「市東さんの農地取り上げに反対する会」の発言に続き、婦人行動隊の木内敦子さんが「国家権力と非和解的な市東さんの南台農地を守るため闘おう」とカンパを訴えた。全国農民会議共同代表の小川浩さんが発言に立ち「農民が耕している場所を間違えることはありえない」と不当判決を弾劾し、米不足に表された農業の危機の現状を説き、「この資本主義社会を変えなければ農民はもう生きられない。農民も日本革命を担う主体として労働者階級と連帯し、市東さんの農地を守る」と訴えた。
続いて、3・11反原発福島行動実行委の椎名千恵子さん、市東さんの農地を守る沖縄の会が連帯のあいさつ。椎名さんは福島から青年が決起し、ともに沖縄闘争へと参加することを報告した。
全学連委員長の矢嶋尋さんが決意表明に立った。「市東さんは今回の判決を『予想していた』と語ったがこれはあきらめの言葉ではなく、裁判所に幻想を持たず国家権力と非和解で闘う三里塚の闘魂そのものだ。新歓で三里塚戦士を組織していく。南台農地収用を絶対に阻止しよう!」
さらに成田の夜間飛行差し止め裁判を闘う住民が裁判闘争の奮闘と前進を報告し、傍聴を呼びかけた(4月16日(水)民事訴訟、5月30日(金)行政訴訟、いずれも午前11時開廷、千葉地裁)。
激突は不可避
最後に事務局の太郎良陽一さんが行動提起を行った。「強制執行攻撃はいずれ来る。三里塚は実力闘争で世の中を変える闘いだ。7月農楽祭り、10月全国集会へ向けて、各地で集会、交流会を開き、全国から三里塚への結集を呼びかけ、強制執行に立ち向かおう!」
「3・24不当判決弾劾!」のシュプレヒコールで集会を締めくくり、直ちに空港へ向けてデモに出発した。
新調された反対同盟横断幕には「農地強奪判決弾劾!/南台農地を守ろう!/戦争反対!機能強化粉砕!」の文字。宣伝カーからは宮本さんが一帯に農地死守の訴えを響かせた。
第3ターミナルとNAA本社ビルが視界に入ってくると参加者の怒りが一層高まり、NAA社長・田村明比古に届けとばかりにシュプレヒコールを繰り返したたきつけた。「南台農地を守り抜くぞ!」「空港機能強化粉砕、第3滑走路建設阻止!」「成田を侵略の基地にさせないぞ!」
白ヘルメットの全学連の部隊は、整然とした行進の中にも「強制執行攻撃には体を張って迎え撃つ」との気迫をみなぎらせて前進した。
------------------------------------------------------------
弾劾声明
三里塚芝山連合空港反対同盟
千葉地方裁判所民事第2部齊藤顕裁判長は3月24日、成田市天神峰で祖父の代から100年以上営農を続ける反対同盟員・市東孝雄さんに南台農地の明け渡しを求める不当判決を下した。最初から農地強奪の結論ありきの反動判決を満身の怒りを込め徹底弾劾する。
成田空港会社(NAA)の2006年の提訴以来、19年に及ぶ裁判で明らかになったのはNAAの側こそが違法・脱法を繰り返してきたということだ。「あらゆる意味において強制的な手段を用いない」との社会的公約違反、耕作者に秘密裏での底地買収、15年にわたる地代のだまし取り、畑の位置特定に関する文書(NAAが明け渡しを求める根拠として提出した唯一の「証拠」だ)のねつ造、孝雄さんの父・東市さんの署名と印鑑の偽造......。
これらすべてを合法としてお墨付きを与えた裁判所は万死に値する。
判決は「賃貸借契約は面積の記載にとどまり、具体的な場所、範囲を定めるものではない。合意が成立した客観的証拠はない」と言う。だが、「市東さんが耕してよい面積はあるが、具体的な場所がない」などということがあるのか。市東さんは真空の畑を耕してきたのではなく、他ならぬ南台農地で有機無農薬野菜を育て、地代を支払ってきたのだ。位置が特定できないから、すべてを奪ってよいなどという理屈があるか! 恥を知れ!
国・NAAは農地をつぶし、「へ」の字誘導路を解消して成田を国際物流拠点にするとうそぶく。だが、成田拡張の真の目的は中国に対する戦争準備であり、そのための軍事拠点づくりだ。政府は 28日、追加で8施設を「特定利用空港・港湾」に指定し、滑走路の拡張・護岸整備をすると発表している。今回の判決は軍事空港建設のための反戦運動つぶしの攻撃だ。成田を侵略のための出撃拠点にするわけにはいかない。
そもそも、あらゆる意味で巨大空港建設の時代は終わっている。「 右肩上がりの経済成長」の神話は崩壊し、環境破壊・気候危機は後戻りがきかないところにまできている。空港周辺住民の生活と健康を奪い、廃村化へと突き進んでいる。
われわれが訴えてきたように「農地は命」だ。市東さんただ一人の問題ではない。人は空港がなくても生きられるが、農地なくして生きられる人はいない。全人民にとって農地は命だ。だからこそ、全人民が市東さんの農地を守るために闘ってきたのだ。
われわれは空港周辺住民・全国の闘う仲間と共に、控訴審勝利、軍事空港絶対反対、農地死守・空港廃港へ向けてより一層断固たる闘いに立ち上がることをここに宣言する。
2025年3月30日
