C滑走路建設やめよ 国に計画図面の提出求める 空港拡張差止裁判

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週刊『三里塚』02頁(1156号02面01)(2025/03/24)


C滑走路建設やめよ
 国に計画図面の提出求める
 空港拡張差止裁判

(岡山忠広裁判長)

(写真 耕作権判決に向け記者会見【14日】)


 千葉地裁民事第3部(岡山忠広裁判長)で3月14日、成田空港拡張差し止め裁判が開かれた。
 顧問弁護団は、国の不誠実な姿勢と対応をあらためて厳しく追及する準備書面を陳述した。
 原告・伊藤信晴さんは、芝山町の白桝地区に1979年から居住し続け、反対同盟事務局員の一人として活動している。新C滑走路は、白桝から東側約1㌔の位置に南北方向に建設が計画されている。これが完成すると、白桝はA、B、Cという3本の滑走路に囲まれ極限的な騒音被害にさらされる。C滑走路の敷地ではなくても、白桝には「全戸移転攻撃」がかけられているのだ。騒音、飛行機墜落、落下物などの恐怖によって威迫され、生活共同体が分断され、いたたまれなくなった農家が「自主的に」離れていくという形がつくられている。かつてNAA=空港公団は、「私たちは空港を造らせて下さいとお願いする立場」と殊勝な物言いをしていたが、今やそれをかなぐり捨て、企業城下町の城主然として君臨し、関係自治体の行政を支配下に置いているのだ!
 以上のように現状を描き出し、弁護団はあらためて、変更許可申請の中で提出されたはずの2500分の1の空港予定図を直ちに証拠提出するよう強く求めた。
 さらに、航空機騒音による健康被害について、WHO(世界保健機関)欧州地域事務局「夜間騒音ガイドライン」に基づく最新の知見を解説した。
 「住民には1日8時間の睡眠確保、そのための10時間の睡眠時間帯が必要」「高感受性群である子どものために、特に夜間は早い時間から睡眠妨害が生ずるような騒音を制限すべき」「夜間騒音による睡眠妨害が住民の虚血性心疾患、冠状動脈性疾患などのリスクを引き上げる」
 さらに「他の市町村における死亡原因第1位ががんであるのに対し、騒音被害を最も受けている芝山町の第1位は心疾患である」という事実を衝撃的に突き出した。
 「空港拡張計画の実現によって住民は睡眠を取れなくなり、甚大な健康被害が発する。2020年許可処分に基づく成田の拡張計画は違法で無効というべきであり本件工事は直ちに差し止められなければならない」と被告らに迫った。
 岡山裁判長は、「白桝地区の騒音被害の大きさを、滑走路、飛行ルートなどとの関係で立証するということなら、詳細な地図がほしいと原告が求めるのはわかる」として、国に提出を促した。次期期日を7月8日と確認し閉廷。
 その後、3月24日の耕作権裁判判決に向けた記者会見が反対同盟と弁護団によって開かれた。また、開廷に先立ち伊藤さんを先頭に反対同盟と支援連は千葉地裁前で情宣活動を行った。

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