原告の適格性認めさせる 住民が深刻な騒音被害を陳述 夜間飛行差止行政訴訟
原告の適格性認めさせる
住民が深刻な騒音被害を陳述
夜間飛行差止行政訴訟

成田空港夜間飛行差し止め請求行政訴訟の第6回口頭弁論が2月14日、千葉地裁民事第3部(岡山忠広裁判長)で開かれ、傍聴しました。
この裁判は、成田市、横芝光町、芝山町、茨城県稲敷市の住民が国を相手取って成田空港の深夜早朝(午後9時から午前7時)の離着陸禁止を求めているものです。成田空港会社(NAA)が2029年に朝5時から深夜1時まで滑走路の運用時間を延長しようとしている中で、周辺住民が団結し、機能強化にNOを突きつけている重要な闘いです。
開廷冒頭、稲敷市の原告Aさんの深刻な騒音被害を訴える意見陳述書(要旨別掲)を弁護士が代読しました。
続いて、弁護団から、「規制する権限がない」などと逃げを打つ国に対し、航空法1条にあるように、航空機の運航に起因する障害の防止を図ることは国の責務だと突きつけました。さらに原告適格の問題について、日本が加盟しているWHOも騒音被害を認め、勧告も出ていること。さらに、被告の国自身が第1種区域や隣接区域の被害を認め防音工事に予算をつけていることを指摘しました。岡山裁判長は、国に反論があれば出すように指示し、住民に原告としての適格性があることを前提に訴訟指揮を進めました。
閉廷後、報告会が開かれ、海渡雄一弁護団長が「裁判は第2ラウンドに入った。入り口論争は今日で終わり」と勝利的に確認しました。次回期日は5月30日(金)、11時からです。 (土屋栄作)
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会話が聞こえない
茨城県稲敷市 Aさん
成田空港に発着する飛行機は、稲敷市の真上で旋回するため、旋回している間中、騒音にさらされる。高度を上げるために加速しているためか、ゴオォォという重低音の爆音が聞こえる。住民でない人からすれば、飛行機からこんな音がするのかと驚くほどだろう。
旅客便よりも貨物便、曇りの日は雲に反響し特にひどい。
様々な被害を受けているが、屋外の会話に支障が生じている。墓掃除や花壇の手入れなどの際、会話が聞こえない。そのため、飛行機が去るのを待つことになる。しかもいつ飛んでくるのかわからないので、屋外で話すときはいつも、キリがいいところまで話さなければという心理的圧迫を感じながら話している。屋内でも会話が制限される。テレビの音が聞き取れない。映画・ドラマの山場で重要な発言が聞き取れないことがよくある。さらに深刻なのはニュース番組だ。災害時に重要な情報が聞き取れなかったときは本当にストレスを感じるし、私たちの安全にかかわる。
睡眠への影響も深刻だ。10時半頃に寝ることにしているが、ちょうど貨物便が飛ぶ時間なのかすさまじい騒音が聞こえる。次から次へと飛ぶのでほぼ毎日、30分から1時間程度は寝付くことができない。寝入りばなに起こされることもある。心穏やかにすがすがしい朝を過ごしたいのに、明け方から騒音が聞こえるのでイライラする。穏やかな老後生活が毎日台無しにされていると感じる。
私は高血圧症を患い、妻は糖尿病とリウマチ症を患っている。
本来必要のないストレスを毎日甘受している。私たちは今までも十分苦しんできた。この期に及んで更に機能強化計画によって増便し、夜間飛行の時間も増やすなどということは到底受け入れられない。裁判所には私たち住民一人ひとりに寄り添った公正な判断を行っていただきたい。
