明日も耕す 農業問題の今 「令和の列島改造」の正体は 石破施政方針演説批判

投稿日:

週刊『三里塚』02頁(1153号02面04)(2025/02/10)


明日も耕す 農業問題の今
 「令和の列島改造」の正体は
 石破施政方針演説批判

(写真 全国で拡大する耕作放棄地)


 1月24日から始まった国会の施政方針演説で、石破首相は国づくりの基本軸として「楽しい日本」なるものを掲げた。このあいまいな理念が何かと取り沙汰されているが、施政方針演説の実際の基本軸は安保の強化だ。
 石破の「楽しい日本」は堺屋太一の著書から引用したものだと言う。明治維新の中央集権国家体制では「強い日本」、戦後の復興や高度経済成長の下では「豊かな日本」を目指したが、これからは「楽しい日本」を目指すべきだというのだ。
 石破によれば「楽しい日本」とは、すべての人が安心と安全を感じ、自分の夢に挑戦し、「今日より明日はよくなる」と実感できる国家だという。だが施政方針演説は何一つ「楽しく」ない。
 むしろ石破が言いたいのは「新しい日本を創る上で持続可能で自立することを重視」「そのため価値観の転換が必要」だということだ。

もうかる農業に

 強い日本も豊かな日本も無理、帝国主義国家として生き延びるため、自ら中国侵略戦争に突き進むためにみんな価値観を変えろということだ。
 石破は「楽しい日本」を実現するための政策の核心は「地方創生2・0」「令和の日本列島改造」だと言う。それを進める5本の柱を掲げていて、農業に関する部分は第3の柱「地方イノベーション創生構想」にある。以下、引用する。
 「世界有数の潜在力を持つ日本の農林水産業・食品産業を、徹底的な高付加価値化により、基幹産業として確立します。これらが儲(もう)かる産業となるよう、スマート化・大区画化など生産基盤を強化します。米を世界へ輸出するプロジェクトの推進、安定的な輸出入と備蓄の確保などを通じて、食料安全保障を確保します」

中国侵略へ突進

 これで「すべての人が幸せを実感できる」社会になるとでも言うのか。
 石破施政方針演説には「時給10円という現実〜消えゆく農民」と言われるほど農村の現状や農民の憤りに思いをはせる言葉は全く出てこない。
 食料安保を基軸としながら、既存の現状を突破する「高付加価値化」「儲かる農業」にだけ金を使う。あとは野となれ山となれということだ。
 空語としか言いようのない「令和の日本列島改造」に比して、「外交・安全保障」には最も多く、最も強い決意が述べられている。
 「日米同盟を更なる高みに引き上げ、同志国との連携を更に拡大・深化する」「防衛力は我が国の安全保障の最終的な担保」「防衛力の抜本的強化を着実に進めます」
 そして「防衛力の抜本的強化」や「改憲発議の実現」とともに最も強調したのは「党派を超えた合意形成」だ。
 石破は少数与党としてのあせりにかられながら、中国侵略戦争に突き進もうとしている。
 「食料安保のための農業」「農民の戦争動員」を許さない。翼賛国会を粉砕し石破を打倒しよう。

このエントリーをはてなブックマークに追加