団結街道裁判 市の文書隠しを追及 「記録一切なし」ありえない

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週刊『三里塚』02頁(1153号02面01)(2025/02/10)


団結街道裁判
 市の文書隠しを追及
 「記録一切なし」ありえない



(写真 岡山忠広裁判長)

(写真 千葉地裁前情宣【1月24日】)


 千葉地裁民事第3部(岡山忠広裁判長)で1月24日、団結街道裁判が開かれた。成田市天神峰の市東孝雄さんの営農にとって、自宅と南台農地を直線で結ぶ団結街道(成田市道・天神峰―十余三線)は必要不可欠の道路であったが、「3本目の誘導路をつくるのにじゃまだ」との成田空港会社(NAA)の意思を受けた成田市は、2010年6月にこの道を暴力的に封鎖し、その土地を格安でNAAに売り渡すという暴挙をはたらいた。市東さんはじめ住民が原告となり、廃道処分の違法を追及してきたのがこの裁判だ。
 東峰、天神峰地区では、誘導路・滑走路の増設に伴ってトンネル化された地下道が4つ存在しているが、団結街道についてはトンネル化されず「廃止」という結論だけが強いられた。トンネル化に関する反対同盟顧問弁護団による求釈明に対して、被告・成田市の代理人は1月10日付の書面で「2009年8~12月の四者協議会の中で検討されたものと思われるが、記録が残っていない。担当部署・担当者名・検討方法・検討内容についても、記録が残っていない」と白を切った。また、「付け替え道路が整備されており、機能補償道路を整備することで、耕作地へのアクセスが確保できるから、トンネル化は必要ないと判断した」と開き直った。その「付け替え道路」「機能補償道路」、すなわち遠回りの道のりが、市東さんの営農に多大な負担を強いることについては一切言及なしだ。
 開廷早々、反対同盟顧問弁護団は怒りに燃えて追及に立った。「記録がないとは、成田市お得意の証拠隠し以外の何ものでもない。この裁判は廃道処分が実行された直後の提訴である。トンネル化に関する資料の保存期間は不明だが、少なくとも提訴時点では間違いなく存在していたと思われる。行政事件では、行政機関に処分の適法性に関する主張・立証責任がある。貴重な証拠を破棄すれば『立証不足』として行政機関が敗訴する危険性が常に付きまとうため、少なくとも裁判が終了するまでは証拠は絶対的に保存すべき資料だ。記録文書が一切残っていないなどということは、絶対にありえない」
 また成田市は、「廃道処分について市独自の基準を設けているわけではない」などと弁明した。だがこの裁判当初で市は「市道を廃止する場合の六つの類型」を示して、「その一つに団結街道廃止があてはまるから、市道廃止処分が適法」とする「類型論」を主張していた。市は猫の目のように主張を変えている。
 また、被告NAAは「トンネル化するかどうかの検討は、廃道とは関係ない。道路法に基づいて『一般交通の用に供する必要がなくなった』だけだ」と傲慢(ごうまん)な主張をしている。これに対して弁護団は「そもそも、NAAは国策には文句を言わず黙って従えと言わんばかりの上から目線に終始」と徹底的に弾劾した。
 岡山裁判長は、市が「四者協議会でトンネル化が検討された」と言いつつ記録は一切残ってないと主張する矛盾について、若干の疑問を呈したが、「あくまでないというなら、それ以上詰め寄っても仕方ないだろう」という姿勢だ。
 次回期日は2月28日、午後1時30分開廷、双方に最終弁論を準備するよう確認して閉廷した。

地裁前で情宣

 千葉県教育会館で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。弁護団が一人ずつ立ち、見え透いたうそをついて文書隠しを行い、一貫性のない主張をする被告らを強く批判した。そして、判決が間近に迫る耕作権裁判について、勝利への決意を表した。
 動労千葉、市東さんの農地取り上げに反対する会、全学連が連帯発言を行った。動労千葉の山田護さんは、1047名解雇撤回裁判での不当判決を弾劾しつつ、労農連帯を一層うち固めて共に進む決意を述べた。全学連の学生は、広島暴処法弾圧での全員奪還の勝利を振り返り、実力で市東さんの南台農地を守り抜くことを誓った。
 報告集会後、反対同盟を先頭に千葉地裁正面入り口前で、耕作権裁判勝利へ向けて情宣活動を行った。反対同盟の太郎良陽一さんと木内敦子さんは、地裁民事第2部を訪れ、情宣で配られている「齊藤裁判長は農地取り上げの不当判決を出すな」との反対同盟のチラシを窓口で提出し、「裁判長に届けよ」と強く申し入れた。

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