団結街道

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週刊『三里塚』02頁(1153号01面05)(2025/02/10)


団結街道


 東京新聞の読者欄で投稿者の大学生が特に学生の皆さんにお勧めしたい小説として紹介していたのが太田愛『未明の砦』だ▼曰く「エンタメ性の高い現代プロレタリア文学という印象‥‥献金で大企業と政治が癒着することで、世の中がいかに一部のお金持ちに都合よくつくられているか、よく分かった。作品は学ぶ大切さも伝えている。搾取されている労働者が、外へ見方を広げ、労働闘争の事例や労働法の成立背景を学び、声を上げるきっかけや勇気を得る」と▼物語は自動車の組み立てラインで働く非正規労働者4人を軸に展開。家庭の事情で高校時代からバイトに明け暮れて職を転々としながら働く矢上と脇、大卒で正社員になったものの過労死直前まで働かされて正社員をあきらめた泉原、実家の映画館を継いだものの倒産してここに至る秋山。夏季休暇に帰るところのない4人を海辺の家に誘ってくれたのが班長の玄羽だが、彼は過重労働の上放置されて死亡する▼4人を共謀罪で逮捕しようとする公安の思惑も絡んで、ドキドキハラハラの展開が続く。何といっても圧巻は最終章。それは読んでのお楽しみ▼最後に、脇が矢上に語る言葉を紹介したい。「初めから組合を考えていたわけでなく‥‥いい労働者になろうって‥‥ただ一生懸命働くだけじゃないんだ。隣に困っている労働者がいたら、その労働者のために闘う。つまり自分たちのために闘うのが、いい労働者なんだ」
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