第3滑走路粉砕! 菱田で準備工事を弾劾  フィールドワーク

週刊『三里塚』02頁(1153号01面02)(2025/02/10)


第3滑走路粉砕!
 菱田で準備工事を弾劾
 フィールドワーク

(写真 第3滑走路建設準備工事を徹底弾劾【1月29日】)

(写真 第3滑走路地下を約2㌔にわたりトンネル化する「滑走路横断道路」【NAA資料より】)

(写真 芝山町菱田の水田を破壊するユンボ)

(写真 伊藤さんが今後の闘いについて提起)


 三里塚芝山連合空港反対同盟が呼びかける「空港機能強化」フィールドワーク(現地調査)が1月29日に行われた。
 快晴のもと、天神峰の反対同盟会議室前に集合し、出発前の打ち合わせ。芝山町・白桝の伊藤信晴さんが「この間芝山では、機能強化の『準備工事』が進められており、3月から本格着工と報じられている。その現場をしっかり見よう」と述べ、この日の大まかなコースを確認した。
 市東孝雄さんは「耕作権裁判の判決が3月24日と決まりました。どんな判決が出るかわからないが、期待はしていません。それ以降の闘いに全力を尽くしたいと思います。みなさん、がんばりましょう」と、一同を励ました。

横断トンネル

 車に分乗し、最初に向かったのは、芝山鉄道の芝山千代田駅前。
 伊藤さんが説明をした。「まだ着手されていないが、ここから地下トンネルで第3滑走路を横断する形で多古町方面へ抜ける道路(滑走路横断道路)が計画されている。かつて辺田地区から集団移転した人たちの家々が、ここから見える。代替地をもらって移ってきたというのに、第3滑走路が造られたらここらの住民は空港施設の内側にさらに包囲されてしまうことになる。だから多古とつなぐ道が必要ということになる」
 3500㍍の巨大新滑走路が造られれば、その敷地から人々が追い出されるのはもとより、両サイドの地域は交通が東西に分断され行き来もままならなくなる。
 そのためにNAAは、①「滑走路横断道路」建設(県道横芝下総線と県道成田松尾線をつなぐ、地下トンネル4車線)、②国道296号の地下道化(4車線)、③C滑走路南側管理道路建設(2車線)の、3つのトンネル道路の計画を打ち出している。
 空港拡張・新滑走路建設は、敷地内の直接的な地形破壊、自然破壊であることにとどまらず、周辺に住む人々のこれまでの日常生活と交通を寸断し圧迫する。
 多古町当局は、「これまで成田という世界有数の国際空港に隣接していながら、町への経済的波及効果は少なかった」などと恨み言を述べつつ、空港と直接つながる「横断道路」と機能強化・容量拡大で「今度こそは地域が活性化する」などと色めき立っている。だがそれは、空港とともに衰退へ転げ落ちる道だ。
 フィールドワーク一行は次に、B滑走路の南側、C新滑走路予定地の北端に位置する菱田に向かった。かつて「成田用水」をめぐる激突の地であった菱田の水田地帯には現在、パワーショベルやダンプなどが入り、高谷川の拡幅と調整池づくりの「排水整備工事」が進められている。

排水整備工事

 NAAは以下のように説明する。
 「周辺の治水安全度が下がらないよう、C滑走路地区とその周辺の雨水は原則として空港内に整備する調整池等で流量調整したうえで高谷川等へ放流する」
 「調整池は50年に一度の大雨に対応するため、合計約130万立法㍍以上の大規模なものを整備する」
 「高谷川の一部は空港敷地の拡張に伴い『空港敷地内』となるから、本格造成工事に併せて付替水路により代替機能を確保し、将来的に廃河川にする予定」
 参加者は工事現場へ向けて怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。「第3滑走路建設粉砕!」「空港拡張工事粉砕!」「菱田をコンクリートの下敷きにするな!」「工事をやめろ!」「成田軍事空港粉砕!」
 作業員、重機の運転者が明らかに動揺している。山武警察署の警察官は離れた場所から、「車が通って危ないから移動しなさい」などとつぶやくのみ。
 このC滑走路建設へ向けた排水整備工事では、高谷川上流部の多古町と芝山町の大地を削り、標高差20〜30㍍の谷津を埋め立てる。下総台地と周辺水系を破壊し、それによって九十九里浜まで一地域の災害を誘発する恐れがある。NAAは、調節池の整備によって洪水を防げると言うが、そんな保証はない。
 一行はさらにそこから移動し、新滑走路工事を前に埋蔵文化財の発掘とそれに伴う森林伐採が行われている東地区の現場を確認し、最終的に中郷地区の墓地の脇に集合した。
 伊藤さんがこの日の闘いを概括して語った。「NAAは機能強化へ向けて着々と準備が進んでいるという装いで、現場をマスコミに公開したり、発着枠34万回化への拡大を打ち出しているが、問題は山積だ。闘いはこれからだ」
 参加者の一人が、「韓国から成田への団体旅行が、この1カ月軒並みキャンセルだ。ユン大統領弾劾の激動情勢下で『旅行どころじゃない』ということ。航空需要が右肩上がりで増え続けるなどありえない」と発言した。伊藤さんがそれを受け、「軍を抑えてしまうような民主労総の偉大な闘いに学び、われわれも三里塚からそういう闘いをつくっていこう。耕作権裁判に絶対に勝利しよう」とまとめた。

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