成田空港 発着枠34万回化画策 安全無視の拡大を許すな
成田空港
発着枠34万回化画策
安全無視の拡大を許すな
成田空港の発着枠上限を現在の年間30万回から34万回に拡大する方向でNAAと国土交通省が動き出したことを、1月8日、マスコミ各社は一斉に報じた。1月下旬の四者協議会(NAA、国交省、千葉県、周辺9市町)で正式に提案、10月実施を目指すという。
住民を完全に無視したこの一方的な通告を許すことはできない。
報道によれば、成田の需要はコロナ禍で一時落ち込んだが、2024年度は25・1万回に回復する見込みで、訪日外国人需要などで、26年には30万回を超える見込みだから、現在の空港施設で実現できる34万回まで上限を引き上げるのだという。そして現在成田は機能強化(滑走路延長、新設)の工事を行っているが、これとは関係なく既存の施設を使っての増便で、現状の午前6時から翌日の午前0時までの滑走路の運用時間は変更しないとしている。
また、「34万回化」は、機能強化で29年までに発着枠を50万回化するまでの「通過点」という言い方もされている。
ここに表れているのは、成田の根本的危機だ。羽田や近隣諸国の空港との熾烈(しれつ)な競争に追い込まれながら、機能強化、第3滑走路建設も思うままに進展しない中で、その「完成」を待つこともできず、とにかく生き残りをかけて「30万回を超える需要見込み」を打ち出し、現在の条件で発着枠を拡大するというのだ。
今全国の空港が地上支援業務(グランドハンドリング)をはじめ、要員の深刻な不足にあえいでいる。発着の頻度が極限にまで高まれば、必然的に安全が切り捨てられるだろう。
24年1月2日の羽田での日航機と海保機の衝突事故、12月29日の韓国・務安国際空港での179人が死亡した胴体着陸・爆発事故の再来は不可避と言わねばならない。
そして今回の34万回化計画は、反対同盟の59年の空港絶対反対の闘い、そして周辺住民の飛行差し止め訴訟などに追いつめられての居直りである。NAAは地元での説明会をすでに始めており、「防音対策はやる」などと口先では言っているが、実際には住民の生活など一顧だにせず、「いやなら出ていけばいい」という本音がありありだ。こんな空港は廃港に追い込む以外にない!