団結街道

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週刊『三里塚』02頁(1152号01面03)(2025/01/27)


団結街道


 直前に目は覚めていた。「ドーン」と下から突き上げるような衝撃。とっさに隣に寝ていた弟に覆いかぶさった。冗談のような激しい揺れが体感では1分以上、実際は10秒ほど続いた▼父は山崩れと言っていたが、私は爆弾が落ちたのかと思った。横揺れの方向が幸いしたのと祖父が押さえていたため食器棚の戸は開かず、タンスは倒れなかった。観測史上初の最大震度7。阪神高速やJR六甲道駅が倒壊した▼わが家の朝は早い。停電の中、朝食を食べ、制服に着替え、中学校へ。途中、家の前に出ていたパジャマ姿の同級生たちと出会った。「さすがに今日は休みやろ」「生徒会長やし、行って見てくるわ」▼学校脇の銭湯の煙突が校門側に倒れていた。職員室は散乱する書類で足の踏み場がない。3人の教員が片付けていた。「よう来たな。バイクで来たんやけど三宮の方もめちゃくちゃや。火事も起きとう。一応、教室見てきて」。登校してきた2人と回った。何もなかったように整然と並ぶ机と椅子、5時46分をさす落ちた時計…▼手につかない受験勉強。あの時もっと動けば助けられた命があったはずだ。優先順位を誤り、決定的時機を逸してしまった。次こそ動こう。30年前、そう心に決めた。あらゆる災害は人災であり階級性が刻印される。一刻も早く階級社会を終わらせることこそが最大の災害対策だ。階級「融和」の装置=天皇の神戸訪問を見て、決意を新たにした。
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