成田軍事空港粉砕、南台農地守り抜こう 三里塚反対同盟新春座談会 三里塚59年の歴史かけ反戦闘争の先頭に立つ

週刊『三里塚』02頁(1151号01面01)(2025/01/13)


成田軍事空港粉砕、南台農地守り抜こう
 三里塚反対同盟新春座談会
 三里塚59年の歴史かけ反戦闘争の先頭に立つ

(写真 昨年の三里塚全国集会後のデモに立つ反対同盟)

(写真 市東孝雄さん)

(写真 萩原富夫さん)

(写真 伊藤信晴さん)

(写真 小川浩さん)

(写真 沖縄・辺野古座り込みで発言する萩原富夫さん)

(写真 激動の25年決戦勝利を誓って)



出席者
市東孝雄さん 成田市天神峰
萩原富夫さん 成田市東峰
伊藤信晴さん 芝山町白枡
小川浩さん 全国農民会議共同代表
司会 週刊三里塚編集委員会

 「世界戦争か、世界革命か」。激動の2025年の幕が開けた。第2次トランプ政権の登場と闘う米労働者階級人民、戒厳令を粉砕し労働者権力樹立へ闘う韓国人民と連帯し、日帝・石破政権打倒の大反戦闘争を巻き起こし、中国侵略戦争を阻止しよう。59年目に突入した三里塚闘争は最大の反戦の砦(とりで)として日本階級闘争の先頭で、軍事空港粉砕!農地死守・実力闘争を貫き闘っている。三里塚芝山連合空港反対同盟の市東孝雄さん、萩原富夫さん、伊藤信晴さん、全国農民会議共同代表の小川浩さんに、25年決戦の展望について大いに語っていただいた。

資本主義の矛盾は戦争に

萩原 2024年は年初から能登半島地震、羽田空港航空機事故と驚く事態で始まりました。耕作権裁判では1年かけて証人尋問を闘い、9月30日に結審。判決がいよいよ3月以降に出されそうだと。控訴審はありますが、決戦が迫っています。一方で、情勢的に言っても本当に今、反戦闘争を盛り上げないといけない。実体的な闘いとして、沖縄の闘いと本土では三里塚がある。成田軍事空港粉砕の重要さがさらに大きくなってきたと実感する1年でした。機能強化工事はB滑走路の延長の工事が始まったかなという段階で、フィールドワークを地道に毎月続けてきました。
市東 一昨年の2・15強制執行からNAA(成田空港会社)の攻撃が矢継ぎ早に来るか思ったけど、すぐに工事を進めるわけでもなく、昨年は裁判闘争に集中した感じでしたね。また、俺たち農家は、気候変動に悩まされた1年でした。
萩原 暑かったね、今年も。
市東 千昌夫の「北国の春」にもあるように、こぶしの花が咲くのは春。だけど、そこにあるこぶしがもうつぼみを持っている。だから作物でも、今年ほど種をまき直した年はなかった。
 NAAは一方で土地を強制執行で奪うことをやりながら、よそでは自分の土地を農地として貸している。ほんとにちぐはぐなやり方をしている。
萩原 天神峰農地を取ってもうすぐ2年になるんだけど、フェンスで囲ったまま放置している。NAAが言っていることは嘘八百。緊急に必要だからと言って取ったはずなのに。市東さんを追い出すことだけが狙いだ。
伊藤 ウクライナにしてもガザにしても、とんでもない戦争が起きてる。機能強化で巨大な滑走路が3本になれば米軍が兵站(へいたん)基地として使うのに最適。しかも、民間航空機をチャーターして兵士を成田に運ぶと。
萩原 装備品や弾薬だって運ばれるだろう。
伊藤 なぜ成田かと言えば民間のパイロットが慣れていて、中国の方からもある程度遠いと。成田の軍事利用との闘いは、全世界の戦争情勢を相手に勝たないといけない。
 耕作権裁判判決にしても、激動情勢だからこそ、凶暴に来る可能性があります。
小川 ウクライナ、ガザだけでなくて、最近はシリアでアサド政権が倒されるなど世界中が混沌としている。資本主義そのものの矛盾が戦争に行きつくしかないという現実が到来しています。
 一昨年、市東さんの天神峰農地が取られた。全国農民会議として力になれなかったことを反省し、これからどう三里塚を闘うのか根底的に問われました。なぜ市東さんの土地を取るのか。しかも、土地収用法が使えなくなって、農地法を悪用し、偽造文書を「証拠」に仕立てて。交渉記録を全部出せばはっきりするのに絶対に出さない。政治的に市東さんをつぶすというのが狙いだ。実力決起、労働者、農民の力ではっきりさせないといけない。
伊藤 米帝の危機の深さはすごい。トランプは中国の商品に100%の関税をかけるという。そんなのは第2次世界大戦で日帝が米帝にABCDラインで封じ込められたやり方と同じだ。USスチールの買収なんかほとんど決まっていたのに引っくり返した。米軍駐留費だってもっと出せと言ってくるでしょう。米軍の家族は、有事の際には本国に返すという。主導権握っているのは米帝なんだけど、関税をガーンと上げられたら中国もどう出るかわからない。日帝とかほかの帝国主義も米帝に従い、戦争の危機は加速していくでしょう。われわれは祖国敗北主義を貫いて、日帝・石破政権打倒へ向けて闘う。

農業切捨てを許さない

司会 昨年「令和の米騒動」と呼ばれる米不足が起きました。
小川 米不足がなぜ起きたのかと言えば、今の農業政策、減反政策のせいで、米の値段は市場まかせ。スーパーから米が消えちゃっても政府は100万㌧ある備蓄米を放出しなかった。大災害とかものすごく作柄が悪くて取れなかったということでなければ、出さないという。店頭に米が売っていないのは有事だろうが平時だろうがおかしい話だけどね。
 結局、需給に応じた生産と言って、1年間の消費量よりは余分には作らないで、生産調整で抑えつけちゃう。だから、ちょっとの需給の変化でこういう米騒動がいつでも起きうる。どんどん小さい農家はやめていくし、15町歩以上の農家もみんな赤字だ。今の食料政策、農業政策は、国民の食料、農民を守らないで本当に金もうけ主義。今年の米の値段は2万2~3千円以上になったけど、食管制度が95年に廃止された当時の値段に戻っただけ。30年、労働者は賃金が上がらない。米価は上がらないどころか半値。だから今の方向は、とにかく農業予算をなんとか減らせと。自給率なんかはあまり考えるなと。60~70年くらいの農業予算が1兆円くらいで、その時の防衛費が700億円くらい。今、農業は2兆3千億円の予算。で、防衛予算は8・7兆円を超えた。石破は「農家の所得の補償方式だと農家が怠けて生産性も上がらないからやらない」と言い出した。
市東 口では第一次産業は大事だとか言って、やってることは真逆のことをやってきた。結局、「食べ物がなくなったら外国から輸入して、そうすれば何とかなるんだ」と。熊谷県知事も「農家は金額が高い海外に売れる野菜を作って、それを輸出すればいい」「そのために成田を使え」という考え方だもの。一般の野菜じゃないんだよね、やつらの頭にあるのは。
伊藤 農業切り捨ての一方、今度の「新しい成田空港」構想でターミナルなんか全部作り変えるという。なぜ作り変えるのかと言ったら 「お客様の利便性」だと。実際に需要があるんじゃないんだよ。需要を無理やり増やそうとして作るわけ。空港需要は何とか右肩上がりに持ってかなきゃいけないと。乗客を呼び込んでインバウンドで日本の経済を活性化させるんだと。全部ペテンだ。
萩原 ショッピングセンターでお金を稼いでるわけだからね。空港の利用料なんかの本業だとまだ赤字なわけでしょ。

実力闘争に誇りと確信が

司会 農地の強制執行に対して市東さんがいささかもへこたれずに闘い続けているということが、今この三里塚闘争の一番の芯の強さとしてあると思います。
市東 実際問題として、相当へこんでますよ。
一同 (笑)
小川 実際、自分が市東さんの立場だったらこれだけできるだろうかと思っちゃうよね。
市東 結構シビアだよ。作りたいものだって今まで通り作れないから、減らして作るとか。
小川 市東さんはどこにも逃げられない。
司会 結局、市東さんをつぶすということが目的だと。
市東 昔からそうで、親父が死んじゃえばどかせられるとみていた。
小川 市東さんの存在そのものでみんなが勇気づけられてきたものね。
司会 最近学生たちが自分たちの実力闘争というものを誇りに感じて、そのとき必ず「三里塚で強制執行と闘った」「その映像を見て自分も立ち上がった」みたいなことを言うわけです。
市東 なかなか2・15みたいな闘いがあちこちであるわけじゃないからね。「よくやってくれたな」と思ってます。本人たちもやり切ったみたいなのがあるから。
萩原 まあ三里塚だからやれたような闘争だよね。結構むちゃくちゃやって(笑)。
市東 だって富夫君なんか、機動隊に向かってダイブして。普通だったら逮捕だよ(笑)。落っこちて頭打たなきゃいいなと足引っ張ってたけど。ああいう闘いを経験して自分たちも闘えると確信できたんだろうね、若い人なんか特に。
萩原 昨年は沖縄・辺野古でも座り込みにも参加し、実際に工事車両を止めましたが、本気でこっちが闘う意思を持っていれば、敵もやはり簡単には手を出せないんだよ。
司会 8・6広島では市が平和公園を封鎖したけど、前日から入って実力で集会をやりました。
萩原 全学連を先頭にここで頑張った経験が生かされた。
市東 8・6暴処法弾圧での勾留はずい分長かったね、あんなことでね。
萩原 あれはひどいよ。
司会 25年の決意をお願いします。

「日本農民の名において」

伊藤 今年はトランプ就任など激動が訪れることがはっきりしているよね。そういう中で一人一人が生き方を問われるような情勢に入ってくる。われわれとしては市東さんの南台農地決戦、これは来るものとして構え切っていく必要がある。それを突破口に全力で、25年はがんばると。今再び「日本農民の名において収用を拒む」という、第一次代執行の時の、あのスローガンが今掲げられるべきだ。
市東 沖縄の阿波根昌鴻(あはごんしょうこう)さんも農民教室の壁に書いてましたね。
 強制執行以来、本当にみなさまにはお世話になりました。状況は変わっても、ここで農業を続けていく気持ちはそのままです。裁判でどんな判決が出るかわかりませんが、そこで終わるわけじゃないし、これからも皆さんとともに、がんばりたいと思います。
小川 市東さんの農地を守ることを全国農民の第一級の課題として、この闘いを通して農民の決起を何としても勝ち取っていきたい。そういう思いで三里塚と市東さんの闘いを、これまで以上に地域の中で訴えていきたいと思います。
萩原 みなさんのご支援を受けながら、ここでこれまで通り営農し生活してがんばってやっていくのが自分たちの闘いだと思っています。その上でやはり反戦闘争を闘わなければならないし、それが三里塚の勝利になると思っています。3・30現地闘争への全国からの参加をお待ちしています。

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