第137回一斉行動 「町は空港に頼り切り」 住民の怒りの声続く
週刊『三里塚』02頁(1150号01面02)(2024/12/23)
第137回一斉行動
「町は空港に頼り切り」
住民の怒りの声続く
(写真 朝の打ち合わせ【12月15日】)
反対同盟と支援連絡会議の仲間は12月15日、137回目の空港周辺情宣一斉行動に立ち上がった。成田市天神峰の反対同盟会議室前に集まった仲間は朝の打ち合わせを行った。
最初に芝山町白桝の伊藤信晴さんがあいさつ。「成田の拡張は航空需要の増加に対応するためではなく、成田没落の危機から発したものだ。成田空港会社(NAA)は空港の利便性を高め、需要を呼び込こもうと躍起になっているというのが実際のところだ。12月20〜21日に芝山町で年間発着枠拡大の説明会が行われる。住民を一層犠牲にして危機に立つ成田を救済する必要などない」
今回用意された反対同盟ニュース第132号は、年度内にも判決が予想される耕作権裁判で、NAAの悪あがきを許さず勝利判決をもぎとることを呼びかけている。
2面では、成田周辺にポスティングされていたチラシで、熊谷俊人千葉県知事が成田市出身の雨宮しんご千葉県議会議員と対談し、「輸出を前提にした農作物を作れ」「高度な農業を」と述べていることを批判。「市東さんの農地を守る闘いは、もうけ第一で農地を倉庫にする今の政治のあり方を根本から問い直し、変革する闘い」と喝破している。
3面では、千葉県の公共施設である幕張メッセを武器見本市に貸し出す許可を出している熊谷知事に、撤回を求める要請書を掲載。
4面には、騒音訴訟の原告と、戦時中にひもじい思いをし、「戦争は絶対ダメ」と訴える女性の声。
現地の仲間が補足的な説明を行った。「熊谷知事は空港周辺の農地を倉庫にするための規制緩和を国に積極的に働きかけて農業つぶしの先頭に立ってきた人物。『輸出のための農作物を作れ』と農家に説教をしているが、市東さんや萩原さんが日々励み、地元の消費者に安全・安心の野菜を求めやすい価格で届けている産直の対極の考えだ。農家の実情に無理解なだけでなく、愚弄するものであり許せない」と訴えた。さらに、「熊谷知事は千葉県の公共施設である幕張メッセを国際武器見本市に貸す許可を出し、あろうことかX(旧ツイッター)で『防衛省や経産省が後援する展示会に、県が恣意(しい)的に貸し出さないことは行政権力の濫用(らんよう)に当たり』と述べ完全に居直っている。熊谷を徹底弾劾し、パレスチナ大虐殺を続けるイスラエル企業が15社も参加する武器見本市を中止に追い込もう」と呼びかけた。
最後に市東さんが「今日はとても寒いですが、一日がんばりましょう」と激励し、参加者はそれぞれの担当地域へと飛び出した。
朝の寒さも緩み農家は雲一つない青空の下で、さつま芋の出荷、人参の掘り取り、八ツ頭の出荷準備などに追われていた。
成田市のある農家は「スーパーから米が消えた『令和の米騒動』の原因は自民党農政のひどさ、特に減反政策にある」と憤った。
B滑走路のために移転した芝山町の住民は、「空港で働いている芝山町の住民は町全体の人口の1%にも満たない。にもかかわらず、町は空港に頼りきり、近隣の農家がやめていく現状は悲しい。戦争の足音も聞こえる。成田を中国への戦争の出撃拠点にさせないためにも日本でも韓国のように闘うことが必要なのかもしれないね」。
また別の住民は、「市東さんの耕作権裁判は長かったけど、いよいよ判決か。万が一強制執行となれば、こっちも豊富な闘いの経験があるからな」と不敵な笑みを浮かべた。
武器見本市について「行政の責任者である知事が勝手に公共施設を貸し出す判断をしていることは許せない」と同盟ニュースを見た感想も寄せられた。
また、騒音での移転対象地では、空港の北側も南側も家屋の移転が進んできているが、歳だからと移転を拒否している住民も少なからずいて、「がんばって」と声をかけてくれる人もあった。
激動の2024年を闘いぬいた実感を胸に、来年の決戦の勝利に向け、今年最後の一斉行動を終えた。