明日も耕す 農業問題の今 形ばかりの直接支払制度 石破農政はどこに向かう
明日も耕す 農業問題の今
形ばかりの直接支払制度
石破農政はどこに向かう
改憲・戦争に突き進む石破への怒りが燃え広がる中で、11月28日から臨時国会が始まった。「裏金」も「統一教会」も居直る石破政権だが、衆院は与党が過半数を割り、野党の協力なしには予算案も法案も通らない。
いわゆる「103万円の壁」をめぐって、自民・公明・国民民主の3党は11月20日、基準の引き上げで合意した。
農業の分野では、野党も提唱する直接支払制度をめぐって論議がなされようとしている。
自民党の森山裕幹事長は11月22日、来春策定の次期食料・農業・農村基本計画に関して、「食料安全保障の強化に向けた直接支払いの見直しが必要」との考えを表明した。中山間地域を含む農地の維持や食料自給力の向上も理由に「全般的に直接支払いの検討を進めなければならない」とも述べている。
直接支払制度とは、なんらかの形で補助金を農業者に直接支払い、所得を下支えする制度だ。それに対し、これまで政府は小売価格を高めに誘導することで農家の所得を維持させる「価格維持政策」を強調してきた。
「自立した産業」
「直接支払制度導入は待ったなし」だと与野党の歩み寄りを期待する声もあるが、石破政権は「農家への所得補償」までは絶対にやろうとしない。
もっと露骨なのが財務省だ。財務相の諮問機関である財政制度等審議会(財政審)は11月29日、国の2025年度予算に対する建議(意見書)をまとめた。
建議では、補助金の支給などを念頭に、国内農業について「多額の国民負担に支えられている」と言いなし、法人化や規模拡大を進め、「自立した産業」に構造転換することを求めているのだ。
建議はこう言う。○国の農業予算―補正予算を中心に、依然として予算総額は高水準。○水田政策―飼料用米を水田活用の直接支払交付金の助成対象から外せ。○政府備蓄米―現在の需要量を前提に、備蓄量を設定し直す必要。○食料自給率―食料安全保障の確保に関する政策目標として過度に重視することは不適当。
戦争翼賛国会だ
長年にわたって削られてきた農業予算のどこが高水準なのだ!
恥知らずな農業予算の切り捨て提言は戦争のためだ。直接支払制度でも、まず課題とされているのが財源問題なのだ。
「103万円の壁」基準の引き上げが労働者を低賃金・非正規雇用のままより長時間働かせようとするものでしかないように、たとえ直接支払制度でなんらかの進展があっても、農民を黙らせるための涙金でしかない。
石破は、野党との連携強化を通じて国会の総翼賛化を推し進め、中国侵略戦争に向かって「国力」のすべてを動員する体制をつくりあげようとしているのだ。野党勢力の屈服・転向を打ち破り、戦争翼賛国会を中国侵略戦争阻止の怒りで包囲しよう。