エネルギー基本計画を徹底批判 洞口朋子杉並区議が意見表明 「原発と核・戦争に絶対反対」
エネルギー基本計画を徹底批判
洞口朋子杉並区議が意見表明
「原発と核・戦争に絶対反対」
杉並区議会議員の洞口朋子さんが11月28日、都市環境委員会で「第7次エネルギー基本計画」についての意見書と陳情に反対の意見を述べました。発言内容を紹介します。(編集委員会)
◆議員提出議案第3号「国際社会と将来世代に1・5℃目標の責任を果たす第7次エネルギー基本計画改定を求める意見書」についての意見
「エネルギー基本計画」は、人類史上最悪の原発事故である3・11福島の事実を消し去り、原発再稼働と輸出を強行し、核燃料サイクル維持によって核武装化をめざすものであり、絶対に許されません。計画の改定に向けて、経団連は原発の最大限活用を提言し、石破政権は「震災前(約3割)からの依存度低減と、今後の最大限活用は両立し得る」と言い放ちました。猛暑、異常気象、森林の大火災など、温暖化の問題はまったなしの問題であり、私もともに考え、声をあげる立場から、意見を述べます。
一つに、石破政権が打ち出す原発最大限活用路線の継承とエネルギー基本計画は切っても切り離せない問題です。私は全原発の即時廃止という立場であり、今回の議案提出議案に記載されている「長期的に低減」という文言には賛同ができません。「気候」や「脱炭素」を掲げての国の原発政策に明確に反対することが必要であり、それが温暖化を止める道であると考えます。
二つに、昨年11月にドバイで開かれたCOP28(国連気候変動会議)についてです。COP28は、「世界の温暖化対策や脱炭素を議論する」と言いながら、その実態は、各国の巨大資本が自らつくり出した気候危機、地球環境の危機を利用して利益を追求し、「環境対策」に名を借りて原発推進を打ち出す場となりました。COP28は化石燃料からの「脱却」を宣言する合意文書を発表しましたが、「化石燃料の代替」として初めて「原子力」が明記され、日本もこれに賛成しました。アメリカ、日本など22の「有志国」は会期中に「世界の原発の発電能力を2050年までに3倍に増やす」と宣言し、その内容がCOP28の合意文書となりました。これは、福島の怒りをなきものにする暴挙です。
また、各国は見本市のようにパビリオンを設け、企業が温暖化対策や脱炭素の技術・商品を宣伝し商談を進めました。日本からは三菱重工業や日立、東芝などが参加しました。こうした大企業はそもそも石炭や石油で大儲けし、兵器や原発で人類を脅かしている「死の商人」です。何よりこの会議は、同じ中東の地でイスラエルによるガザ大虐殺が強行されている最中に開催されました。アメリカなどG7がイスラエルに最新鋭の武器を送り、ガザで子どもを殺し、燃やし尽くしているにもかかわらず、これと関係なく温暖化や気候問題を語るCOP28には賛同できません。
石油を増産し、核・原発を推進する戦争の世界的拡大の意図を貫く動きは、アメリカ・トランプと石破政権のもとでさらに強まる動きです。だからこそ、原発と核こそが人類を脅かす最たるものであり、これに真っ向から反対することが求められていると考えます。戦争・原発政策と真正面から闘ってこそ、気候変動を阻止する闘いも前に進めることができるという立場から、議員提出議案第3号に反対します。
◆6陳情第34号「第7次エネルギー基本計画の策定前に、1・5度目標の確実な実現を目指す内容にすることについて杉並区議会から国に対して意見書を提出することを求める陳情」への意見
温暖化をはじめとする気候問題の解決は差し迫った課題であり、陳情者の激しい危機感や思いをともにする立場です。気候問題の根本原因は、大量生産・大量廃棄の資本主義的生産が凄まじい勢いで環境を破壊している点にあり、資本主義の非人間的な産業構造を根本から変革する以外に解決の道はないと考えます。
帝国主義にとっては、核技術保持のための原発と、戦争の血ともいうべき石油は、戦争遂行という意味で一つの問題です。来年発足する第2次トランプ政権が中国への侵略戦争・世界戦争に向かって猛然と突き進み、さらに大量の電力を消費するAIバブルと一体で原発を動かし、化石燃料をがんがん掘って使いまくる政策を実行しようとしています。
エネルギー基本計画を問題にする時、原発と戦争と切り離したり、横に置いて考えることはやはりできません。日本の核武装政策の行き着いた先に爆発した福島第一原発事故という破局的惨事によって被曝し闘病を強いられる福島の若者たち、家も故郷も奪われた人たち、海を汚され生業を奪われた人たち。それでも国は「放射能安全」キャンペーンや「脱炭素」の名で原発を続けようとしています。気候変動を阻止する上であらためて、原発と核・戦争に絶対反対を貫くことが必要ではないでしょうか。
また、温暖化の原因を二酸化炭素単独の問題にしてしまうことは、資本主義的生産の限界を、あたかも二酸化炭素さえ抑えれば続けて良いかのような資本に対する免罪符になりかねません。現実に「脱炭素」という名で、さらなる世界的生産の野放図な拡大も行われています。
資本主義のもとでは、すべての生産活動が大資本の利潤追求のために行われており、資本主義が資本主義である限り、石炭や石油などの化石燃料に依存する構造が変わることはありません。地球を破壊するほどの莫大で過剰なエネルギーを前提として現在の資本主義の生産が成り立っているからです。大量消費と莫大な廃棄という社会システムこそが温暖化・気候問題の元凶であり、社会を根本から変革するために行動し呼びかける立場から陳情には反対します。