成田夜間飛行差止行政訴訟 住民が騒音被害を陳述 「せめて夜だけでも止めて」
週刊『三里塚』02頁(1148号02面02)(2024/11/25)
成田夜間飛行差止行政訴訟
住民が騒音被害を陳述
「せめて夜だけでも止めて」
成田空港夜間飛行差し止め請求行政訴訟の第5回口頭弁論が11月15日、千葉地裁民事第3部(岡山忠広裁判長)で開かれ、傍聴しました。
この裁判は、成田市、横芝光町、芝山町、茨城県稲敷市の住民が国を相手取って成田空港の深夜早朝(午後9時から午前7時)の離着陸禁止を求めているものです。成田空港会社(NAA)が2029年に朝5時から深夜1時まで滑走路の運用時間を延長しようという中で、周辺住民が団結し、機能強化にNOを突きつけている重要な闘いです。
今回は、芝山町の原告であるAさんから意見陳述がありました。
「裁判長や国のみなさんにわかっていただきたいことは、この訴えは私にとって譲歩した訴えだということです」
「朝6時に起きたとたんに飛行機の騒音は始まります。私は、日中は外で過ごすことがほとんどで、農作業、洗濯物を干したり、買い物などの時、ふいに襲ってくる音は本当にストレスになります。特に、会話中は相手の声がまったく聞き取れず本当に、いらいらします。飛行機が飛んでいる間は眠れる状態ではありません。布団に入るのをあきらめ、すべての飛行機が飛び終わった後の24時頃に寝る以外にありません。慢性の睡眠不足状態です」
「空港からの音は飛行音だけではなく、強風が吹けば警報のサイレンがなりますし、鳥が飛べば、それを散らすためにパンパンと空砲の音がします。夜中も滑走路整備のためなのか、カーン、カーンと高い音がしたり、エンジンテストなのかゴーと響く音がしたりします。一日中、空港関連の騒音の中で生活をしなければならないのですから、せめて夜間の飛行音だけでもとめてほしいと思っています」
「今回、裁判で訴えた夜9時からの飛行差し止めというのは、眠って健康を保つためのギリギリ必要な時間です。生活を豊かに楽しめる時間では決してありません。人が住む内陸に空港を造ると決めたのは国とNAAです。この地に住む住民の健康を守る責任は当然あると思います。生活をする上で大きな要求ではなく、生きていくためのギリギリの訴えであることをわかっていただきたい」
「裁判を始めてからすでに5人の住民が亡くなっています。7月に直前まで元気だった人まで亡くなってしまい、残された私たちもこの騒音が私たちの健康に及ぼしている悪影響について、今まで以上に不安を感じています。これ以上、亡くなる方を出したくない。被害が広がるのを待つことなく、飛行差し止めの判決が出ることを願っています」
続いて弁護団は、原告準備書面の一部を陳述しました。岡山裁判長は、差し止めと義務付けの要件、原告適格についての現時点での裁判所の考えを述べ、追加の文書提出などを指示しました。
閉廷後、千葉県弁護士会館で裁判報告集会が開かれました。訴訟原告団長は、7月に亡くなった原告の写真を手にし、お連れ合いから「死ぬ気でがんばると言っていた」と聞いたことを紹介し、その思いを引き継いで闘う決意を述べられました。次回期日は、2月14日です。
(土屋栄作)