明日も耕す 農業問題の今 有事に備え「自給力増」呼号 石破農政、根幹には安保

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週刊『三里塚』02頁(1146号02面04)(2024/10/28)


明日も耕す 農業問題の今
 有事に備え「自給力増」呼号
 石破農政、根幹には安保

(写真 小里泰弘農林水産大臣記者会見【10月4日】)

 石破茂新内閣が10月1日、発足した。石破首相は政権発足からわずか8日で衆議院を解散し、今まさに総選挙のただ中にある。「自公連立政権継続か政権交代か」と言われるが、私たちの選択肢はここにはない。
 石破は総裁選で「解散は予算委員会で論議を尽くしてから」と言いながら、新総裁になると早期解散に転じた。
 農業政策においても、総裁選で提起していた米の生産調整見直しと農家への直接所得補償はどこへやら。首相に就任すると、所得補償は「創意工夫や日々の努力にブレーキをかけ、農地の集積・集約化が進まなくなるなどの指摘もある」と言いだし、「生産費を考慮した価格形成を目指す」など、従来の政府方針に沿った説明に終始した。
 国内の需要減少を理由に「販売状況を踏まえた米の生産を行うことが重要だ」としながら、輸出拡大で増産は可能だと強弁している。

農家に罰金20万

 石破の「豹変」ぶりに野党は「変節だ」「幻滅した」と非難を浴びせる。だが、石破農政の根幹は安全保障から農業を捉えることであり、そこは何ら変わっていない。
 石破は所信表明演説で、農林水産業は「国家の安全保障の一環でもある」として「持てる力を最大限引き出していく」と宣言した。
 また答弁の中で、食料不足時に生産計画の届け出に応じない農家に20万円の罰金を科す食料供給困難事態対策法の規定について、「確保可能な食料供給量を把握し、必要な対策を講ずるためだ」と言いなした。
 こうした姿勢の上で、農林水産物の輸出を促進し、農林水産業の食品産業への転換を進め、「企業の農業参入を後押ししていく」など岸田と変わらぬ方針を示している。
 一方、石破は小里泰弘農相に「食料自給力」の目標を設けて達成に取り組むよう指示した。 

戦争遂行の指標

 食料自給力は、国内生産で国民に最大どれだけの食料を供給できるかを示す指標で、石破が森喜朗内閣で農林水産総括政務次官を務めた際に提唱した。
 小里農相は、食料自給率目標に加え、農地面積や労働力の確保、担い手への農地集積、スマート農業技術の導入、肥料などの生産資材の確保についての目標を新たに設定する考えを示している。
 食料自給力はまさしく食料安保のための指標であり、有事を想定した戦争遂行のための指標だ。
 石破農政を許してはならない。では総選挙で野党を選べば良いのか。  立憲民主党は直接支払制度の創設を掲げ、日本共産党は食料自給率60%をうたっているが、各野党とも食料安保の強化という点では変わらない。
 中国侵略戦争の総翼賛体制に向かう総選挙の中に、農業・農民の未来はない。「国内農業を壊滅に追い込んできた自民党政権が『食料安保』を叫ぶとはお笑いです」「われわれには闘う以外に選択肢はない」(10・13集会基調)
 11・3労働者総決起集会に結集し、石破打倒の労農連帯の力を示そう。
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