猛暑 豪雨 大洪水 森林火災 労働者の生命奪う気候危機 資本主義が招いた破滅的現状

週刊『三里塚』02頁(1146号02面03)(2024/10/28)


猛暑 豪雨 大洪水 森林火災
 労働者の生命奪う気候危機
 資本主義が招いた破滅的現状

全世界で大災害

「2024年6〜8月の3カ月間、地球は記録上最も暑い夏を記録した」(コペルニクス気候変動サービス)。この夏、異常気象によって世界各地で災害が発生している。
 スーダンでは大洪水で300万人が避難を余儀なくされ、大規模なコレラを引き起こした。フィリピン・台湾・中国を大型台風が襲い100人以上が死亡。東ヨーロッパで30年ぶりの大洪水で2万5000人が避難。アメリカ・カナダなど世界の森林火災は平均を16%上回り最高記録を更新。サウジアラビアのメッカ巡礼中に1300人以上が暑さによって死亡。
 日本でも、35度以上の「猛暑日」は過去例のない日数が続き、6〜8月の平均気温は+1・76度の過去最高となった。9月に能登半島を襲った記録的豪雨と洪水をはじめ破壊的な災害をもたらしている。

気候変動関連死

 さらに、気候変動による暑さは労働者の生活と健康にも大変な打撃を与えている。今年の夏は、熱中症で9万6686人が救急搬送された。熱中症による死亡数は20年前の約7倍に増加している。また基礎疾患や糖尿病などの持病をもっている高齢者は暑さの影響を受けやすく、高齢者の死亡数は過去20年間で1・5倍に。また、暑さによる寝不足やホルモンバランスの乱れで「夏季うつ」が起こり、自殺者が増加。自殺者数全体の約4・2%が気温上昇によるものだと指摘される。
 これらの気温上昇を由来とする「気候変動関連死」は、世界全体でコロナ関連死の350万人を大きく超える1300万人を数えると指摘されている。これらの気候災害は、エアコンの設備がなく、医療を受けられない低所得者層により集中している。
 これらの事態は、天から降ってきたものではなく、あらためて帝国主義によってもたらされた「人災」であると言わなければならない。

帝国主義打倒を

 帝国主義はこの気候危機の対策として自ら掲げてきた「CO2排出量の削減」というお題目すらも、もはや真面目に実行しようとはしていない。ウクライナ戦争以降、帝国主義各国は独自のエネルギー資源獲得に躍起となり、排出量は減少するどころか増える一方だ。
 「脱炭素」という名で、さらなる世界的生産の野放図な拡大がおこなわれている。帝国主義者たちは、再生可能エネルギーをも利用しながら電力エネルギーを2050年にかけて約4〜7倍に増大させようとしている(国際エネルギー機関調査)。
 一方で、「化石燃料から再生可能エネルギーに代替すれば気候変動問題は解決する」かのようにさかんに宣伝されているが、簡単な話ではない。この数年間、ドイツなどの帝国主義国で再生可能エネルギーは増大したが、世界全体で見ればわずかだ。エネルギーのシステムに抜本的変化をもたらしていない(図)。資本主義はさまざまなエネルギーを開発してきたが、石炭、石油などの化石燃料に依存する構造は変わらない。資本主義のもとでは、すべての生産活動が大資本の利潤追求のためにおこなわれる。地球を破壊するほどの莫大で過剰なエネルギーを前提として、現在の資本主義の生産が成り立っているのだ。これを土台にした大量消費、持続不可能にする莫大な廃棄の生活様式、システムこそが問題だ。「気候」を掲げての原発推進を許さず、帝国主義を打倒しよう。
(是枝真琴)

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