明日も耕す 農業問題の今 「石破農政」は安保と一体 農民の戦争動員を強化し
週刊『三里塚』02頁(1145号02面05)(2024/10/14)
明日も耕す 農業問題の今
「石破農政」は安保と一体
農民の戦争動員を強化し
自民党の総裁選で石破茂元幹事長が勝利し、10月1日に開かれた臨時国会で首相に指名された。農業分野では、石破が農相も経験した「農政通」だとして期待する声もあるというが、石破の農政はどこへ向かうのか。
石破は総裁選で、米の増産にかじを切り、輸出を拡大すべきだと訴えた。生産拡大に伴う米価下落には「直接所得補償」で対応するとし、水田転作などに充てている約3500億円を財源とする考えを表明した。
石破が所得補償を提起したことについて「米でしっかり農家の生活が成り立つ仕組みにすべきだ」(立憲民主党)、「食料安保の確立や自給率向上といった基本的方向性は評価したい」(国民民主党)、「米を軸に据え、日本の農政の再生を図ってほしい」(日本共産党)と、野党各党は肯定的な評価をしている。
食料は戦略物資
しかし、石破の農業に対する考えの根幹にあるのは食料を国家の戦略物資として捉え、何よりも安全保障から農業を捉えるということだ。石破は8月24日、鳥取県八頭町の神社境内で行った立候補表明で「農業者と向き合い、国家の安全保障の一環として農林水産業を捉える」と述べた。また、石破は8月7日に出版した著書『保守政治家 わが政策、わが天命』で「防衛にせよ食料にせよ、安全保障としての議論を今度こそ避けてはなりませんし、不人気な政策であっても断固としてやり抜かなくては、将来の日本に禍根を残すことになります」と述べている。
歴代防衛大臣が
また石破は食料自給率について、「概念そのものが問題」だという。「自給率を計算する際の分母は、国民が餓死することのないカロリー水準におくべきものであって、大量の食品残渣(ざんさ)が発生し、贅沢三昧(ぜいたくざんまい)とも言うべき食生活を基準にしては指標たる意味を失います」「そのような自給率を政策目標としている限り、食糧安保の議論自体がゆがんだものにならざるを得ません」(『保守政治家』)
そして低迷する食料自給率について「誰も責任を取っていない。どんなに立派な兵器を揃えても、食がなければ専守防衛なんてできない」(立候補表明)と述べる。
このように石破は、中国侵略戦争に向けて「食料安保」をより現実的なものにしようとしているのであり、一見これまでよりは農民のためになりそうにみえる政策も、その本質は農民の戦争への動員を強化するものだ。
「生産者が安心して再生産できる環境」や「地方重視」の姿勢も国策・国益のためであり農民や労働者の利益と相いれなくなることは必定だ。
石破政権は、本人をはじめ内閣や党の要職に元防衛大臣がずらりと顔を並べている。まさしく改憲・戦争突撃内閣だ。
10・13三里塚全国集会、11・3全国労働者総決起集会の大結集と反戦デモで戦争をとめよう。