市東さんに耕す権利あり NAAの証拠偽造を暴く 耕作権裁判最終弁論

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週刊『三里塚』02頁(1145号01面02)(2024/10/14)


市東さんに耕す権利あり
 NAAの証拠偽造を暴く
 耕作権裁判最終弁論

(写真 市東さんの農地を奪うな!反対同盟を先頭に千葉地裁に向けデモ【9月30日】)

(写真 南台農地関係土地図)

(写真 齊藤顕裁判長)


 千葉地裁民事第2部(齊藤顕裁判長)で9月30日、市東孝雄さんの耕作権裁判の最終弁論が行われ、18年続いた裁判がこの日で結審した。
 正午、千葉市中央公園で決起集会が開かれた。太郎良陽一さんが司会を務め、東峰の萩原富夫さんが発言に立った。
 「三里塚はかつて『日本のパレスチナ』とも呼ばれたが、市東さんの農地を守ることがパレスチナ、ガザとつながっている。私たちの小さな農地が、空港の完成を阻んでいる。日本は中国の台頭に恐れをなし、沖縄・南西諸島、日本全土を軍事基地化してアメリカと組んで中国をつぶそうと戦争を構えている。無実を訴えてきた袴田巖さんの再審で裁判所が無罪判決を出し、証拠のねつ造を認めた。われわれもこの耕作権裁判に勝利しよう。農地を守り、軍事空港を阻む、反戦闘争の先頭に三里塚は立つ」
 さらに動労千葉の中村仁副委員長などの連帯発言を受け、市内デモに出発。約100人のデモ隊は、繁華街に「市東さんの農地を守り抜くぞ」の叫びを響かせ、警察の規制をはねのけ、千葉地裁に力強く迫った。
 傍聴席を満席にして開廷。最初に市東さん本人が意見陳述を行った。(2面に掲載)
 「農民を大事にして戦争のない社会を築くために、NAAの請求を棄却する判決を出すことを強く求める」との結語に、法廷内は大きな感動の拍手で満たされた。
 続いて、反対同盟顧問弁護団が18年間の全主張内容を整理し深化させた400㌻超の陳述書の要旨を読み上げた。

東市さんの闘魂

 市東家は1921年から3代100年以上農業を続けてきた。原告NAA(=空港公団)が市東家に無断で秘密裏に行った南台農地底地の旧地主からの買収は、農地法第3条に違反し無効。原告は15年間も買収の事実を市東家に隠し続けてきた。空港への転用目的だというが、具体的転用の計画や見通しの立たないもので、農地法第5条は適用できない。
 明け渡しを求める農地の位置特定が誤っていた。唯一の証拠として出してきた同意書、境界確認書に付された地積測量図に基づいて、原告はE1とBを市東家の元々の賃借地とし、それ以外は不法耕作と決めつけるが、実際にはAとBが市東家の元々の賃借地だ。反対同盟法対部で活動していた元永修二氏が東市さんへの詳細な聞き取りをもとに作成した報告書「元永メモ」が、それを正しく表している。
 東市さんは71年に石橋政次(当時反対同盟副委員長)からの申し出に応じて、A土地をC土地と交換して耕作している。石橋の同盟からの脱落後、東市さんはA土地の耕作も行い、賃借権を時効取得している。
 東市さんは1984年に母屋を新築し、「代執行来るなら来い」「自分は戸村思想の後継者」「革命家として生きる」「祖国敗北主義」「自分のクワを持つ右腕は日本帝国主義を打倒する右腕だ」と発言し、病気の妻とともに天神峰で農業と闘いを続ける決意を表していた。成田用水決戦では実力闘争の先頭に立ち、血まみれで逮捕された。その東市さんが、土地買収につながる書面、自分の認識と異なる図面に同意して署名・なつ印することなどありえない。
 同意書・境界確認書が偽造ではないとNAAが主張するのなら、いつどこで、どのような状況で書面が作られたのか、それに関連する報告書、交渉記録などを明らかにすべきだ。東京高裁も「担当者が作成しなかったとは考え難い」として文書提出命令を出したが、それにも従わず隠し続けている。こんな同意書・確認書に証拠価値はない。
 また、C、D土地については賃借権の時効取得が成立している。
 東市さんが存命だったら、原告の虚偽とでたらめの主張の数々を一切許さなかっただろう。この18年に及ぶ裁判の途中で、われわれは闘いの中心的な人格を失ってきた。萩原進反対同盟事務局次長(2013年逝去)、北原鉱治事務局長(17年逝去)、葉山岳夫顧問弁護団事務局長(23年逝去)。犠牲になった方々の志半ばの無念の思いを、齊藤裁判長に伝えなくてはならない。市東さんの農地を奪うことは許されない。裁判長はNAAの請求を棄却する判決を勇気をもって書くべきだ!

南台実力で守る

 この日、陳述を放棄しておきながら、NAAの代理人・上野至は「反論を提出するかもしれない」とつぶやき、傍聴席からの怒りが集中した。裁判長は「弁論を終結する。判決期日は追って指定」として閉廷。
 千葉県教育会館で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。最初に市東さんが傍聴へのお礼を述べ、「どんな判決だろうと今までと変わらず闘っていきます」と不動の決意を語った。続いて弁護団から「勝利感はあるが油断はできない。現地実力闘争と連帯して闘う」と決意が語られた。
 会場からの発言で、全学連が、昨年の2・15強制執行との激闘が新たな仲間を増やし、8・6広島原爆ドーム前を解放した闘いに結実したことを報告。反動判決が下されるなら体を張った実力闘争で南台農地を守り抜く決意を熱く表した。
 最後に伊藤さんが、今後も千葉地裁を徹底的に攻める宣伝戦に立つ決意を述べ、10・13全国集会への結集を呼びかけた。

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