明日も耕す 農業問題の今 米不足の原因は減反政策だ 「米作っても食べていけず」 稲作農家廃業が過去最多
週刊『三里塚』02頁(1144号02面02)(2024/09/23)
明日も耕す 農業問題の今
米不足の原因は減反政策だ
「米作っても食べていけず」
稲作農家廃業が過去最多
(写真 店頭からお米が消えた)
過剰だ過剰だと言われ続けてきた米が、突如不足に陥り、「令和の米騒動」が起きている。前々号でも触れたとおり、農家の急減で米の自給も危ぶまれており、「騒動」が収まってもそれで終わりではない。
調査会社の帝国データバンクの調べで、稲作農家の倒産・廃業件数が今年、過去最多を更新する見通しとなったと、9月5日付日本農業新聞で報じられている。
同社によると、1〜8月に発生した米農家の倒産は6件、休廃業・解散が28件で、合計34件。昨年は通年で35件で過去最多だったので、今年はそれを上回るだろうということだ。
しかもこのデータは負債1千万円以上の法的整理による倒産や休廃業・解散の件数だ。法人化していない家族経営を含めるなら、これは氷山の一角にすぎない。
他方、2023年の新規就農者数が4万3460人となり、2年連続で過去最少となったと農水省が報じた。データのある06年(8万1030人)と比べると半減している。
食管制度を廃止して農業における新自由主義的政策を進め、極端な市場経済へ依存した結果、米を作っても米農家が食べていけないところまで行き着いた農政によるものだ。
収穫量毎年減少
今回の米不足について、さまざま理由が取り沙汰されている。猛暑による減産・品質低下と訪日客の急増による需給ひっ迫。あるいは「農家が高く売ろうとしている」という意見まで飛び出している。冗談じゃない、スーパーに並ぶ米の値段が上がっても、農家には1円も入ってこない。
高値になることを見越して米卸や商社が在庫を放出しないことが直接の理由だろうが、現在の米不足の根本原因は過剰在庫を理由に政府が米の減反政策を進めてきたことにある。
農水省は、田を畑にしたら1回限りの「手切れ金」を支給するとして田んぼつぶしを始め、補助金をもって主食米から飼料米への転換を推奨して生産調整強化を要請してきた。
農家の赤字補填はせず、年々10〜20万㌧ずつ収穫量を減らしてきた。
その結果、主食米の年間生産量は消費量に近い水準にまで減った。
戦争準備と一体
だから少しの需給変動で不足が顕在化してしまうのは当然なのだ。供給過多を減らし、需給バランスをとることで価格を安定させようというやり方は、あくまで市場経済にゆだね、所得補償のような保護政策は何が何でもやらないということだ。
「つぶれる農家はつぶれていい」「もうかる農業だけが生き残ればいい」という政策であり、労働法制の改悪と一体で、中国侵略戦争に向けて労働者や農民の権利や保護といったものをなくしていく戦争国家化が基底にある。
この綱渡りとしか言いようのない農業政策の先に見据えているのは侵略による食料強奪だ。
「戦争反対」なくして農業も食料も守れない。