空港拡張差止裁判 被告・国に全面反論 「財産権至上は誤りだ」

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週刊『三里塚』02頁(1144号01面02)(2024/09/23)


空港拡張差止裁判
 被告・国に全面反論
 「財産権至上は誤りだ」


 千葉地裁民事第3部(岡山忠広裁判長)で9月13日、成田空港拡張差し止め裁判が開かれた。
 反対同盟はこの裁判で国とNAAに対し、① 暫定滑走路の2500㍍への延長、第3誘導路建設の違憲・違法性を追及し、② B´「空港機能強化策」を掲げた施設変更許可により現在進められているB´滑走路の再度の延伸、第3滑走路建設などの空港拡張工事の差し止めを求めている。
 反対同盟顧問弁護団は今回、反対同盟員には「原告適格がない」なる被告・国の主張に反論する準備書面を陳述した。
 「いかなる財産権を有しているか明らかにしろ」などと求める、国の基本姿勢こそが問題だ。
 空港周辺住民など個々人の騒音被害、健康被害、生活への支障、落下物や事故による生命・身体への危険などの人格権を考慮せず、財産権を至上のものとし人間を無視する考え方は、憲法第13条(人権保障)、第25条(生存権)に背き、根本から間違っている。
 さらに、国の「飛行機をどんどん飛ばすことが公益」というデタラメも通用しない。JR山手線並みの間隔で発着を強制した結果引き起こされた、羽田空港での航空機の衝突・炎上事故など、頻発する航空機事故を見よ。
 さらに、北海道大学大学院助教・田鎖順太さんが作成した成田空港周辺地域の騒音被害についての意見書を弁護団は証拠提出し、その要点を明らかにした。
 夜間騒音は、滑走路延長線上の直下で顕著に高く、滑走路端から10㌔以上遠方でも、最大騒音レベル60デシベルの騒音イベントが毎晩約10〜20回以上繰り返されている。
 WHO欧州地域事務局によるガイドラインに照らしても、放置できない深刻な睡眠妨害が住民に生じていることをうかがわせるものだ。そして機能強化によって滑走路が延伸・新設され、夜間発着数が一晩で150回に増えるとなると、いま騒音被害を受けている地域での睡眠妨害のリスクは3・8倍になると予想される。田鎖意見書は、「住民の健康を保護するという公衆衛生の観点から、このような計画は極めて危険であると考える」と締めくくられている。
 NAAと国の代理人弁護士計9人は、以上のように成田空港への根底的批判が突きつけられても無表情を装っている。
 次回期日は12月24日と確認し、閉廷した。
 反対同盟と支援連はこの日、裁判に先立ち千葉地裁前で正午から、耕作権裁判での反動判決、南台農地強奪を許さない情宣活動を行った。
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