9・30耕作権裁判最終弁論ー10・13全国集会へ 「農地強奪判決許すな!」の声で千葉地裁を包囲しよう

週刊『三里塚』02頁(1144号01面01)(2024/09/23)


9・30耕作権裁判最終弁論ー10・13全国集会へ
 「農地強奪判決許すな!」の声で千葉地裁を包囲しよう

(写真 市東さんが耕す南台農地からデモ出発【7月7日】)


 中国侵略戦争阻止の最先頭で闘い続ける三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの南台農地をめぐる耕作権裁判の最終弁論が9月30日、千葉地裁第2民事部(齊藤顕裁判長)で開かれる。南台農地は市東さんの営農を支えるメインの農地だ。天神峰農地に続く南台農地強奪は市東さんの営農の完全破壊となる。10・13全国集会への大結集と一体で、成田空港会社(NAA)に肩入れする千葉地裁を徹底追及し、勝利を勝ち取るための一大運動が求められている。今号では、あらためて耕作権裁判とは何か、裁判による土地強奪の不当性を暴く。
 NAAは市東さんを「(NAAの土地を)不法に耕作している男」とおとしめ、誘導路を「へ」の字に曲げ完成を阻んでいる南台の農地の明け渡しを求めてきた。ここは、戦前の開拓以来、親子3代にわたって市東さんが耕作してきた土地だ。NAAは市東さんが拒絶するや、2006年10月に提訴。土地収用法が失効し、強制収用の道が絶たれたNAAは、民事訴訟で農地を奪うという卑劣なやり方に手を染めたのだ。以来、18年の超長期の裁判闘争を市東さんは闘いぬいている。

「不法耕作者」にでっちあげ

 この耕作権裁判で確認すべきことの第一は、NAAが市東さんを「不法耕作者」として告発し、被告席に立たせていることだ。満腔(まんこう)の怒りで弾劾しなければならない。父・市東東市さんの跡を継いだ孝雄さんは、完全無農薬の産直農家として消費者に安全安心な野菜を提供し続けていた。その孝雄さんに、NAAは突然、「すでに土地は旧地主から買収した。市東さんの賃貸借契約地の場所を示す確認書がある。それ以外は、不法耕作だからやめよ」と通告してきた。
 しかし、空港公団(現NAA)の旧地主からの農地買収自体が違法であり、デタラメであった。①小作者である市東さんに何の了解もなく(農地法違反)、②契約地場所を示す「同意書」「境界確認書」にある東市さんの署名と印鑑は偽造されたものであった。
 本来であればNAAは旧地主からの買収の正当性を明らかにするための交渉記録などの文書を自ら提出すべきなのだが、一切ないと言い張り、裁判所の開示命令さえ拒否し続けたのである。
 確認すべき第二は、千葉地裁民事第2部・齊藤顕裁判長の反動的な訴訟指揮だ。齊藤裁判長は、23年2月21日に千葉地裁部総括判事に着任した。2・15天神峰農地への強制執行直後のことだ。齊藤裁判長は弁護団との進行協議の場で、「同意書」「確認書」では耕作位置の特定はできないとして、今度は市東さん側に立証計画を出すように要求してきた。それは結審の期限を前提にした訴訟指揮だった。その結果、写真鑑定の専門家や法学者、権利関係を証明するための関係者、また市東さん本人の証言などが約半年の間で拙速に行われた。18年に及ぶ長期の裁判であるにもかかわらず、これだけの短期間でNAAの不当性を明らかにする困難を市東さん側に強いたのだ。あらかじめ「判決ありき」の訴訟指揮である。
 齊藤裁判長は、農民の農地と権利関係をつまびらかにした民法学者に証言終了後に親しげに声をかけたり、NAAの応答のあいまいな点を自ら指摘、注文するなど、一見すると「市東さんへの理解」を示すような姿勢を裁判中に示していた。だが、これらはすべてNAAを勝たせるための裏返しの訴訟指揮と見なければならない。あらためて、齊藤裁判長による「農地取り上げ」仮執行付き判決を阻止することに全力を上げよう。

侵略戦争拡大への土地利用

 確認すべき第三は、市東さんの農地取り上げは中国侵略戦争突入のための土地強奪だということだ。市東さんの農地強奪は、三里塚闘争の強制収用を粉砕した地平を破壊し、新たに戦時土地収用体制を構築しようとする日帝の戦争政策だ。
 戦時収用体制の確立は戦争国家作りの要である。戦前の陸海軍は、日本列島全体に最大で約31万㌶の基地・演習場用地を保有。大半が農民・労働者から強奪して得られた土地である。土地収用などの強権を背景に日帝・軍部が、土地を奪った実態は枚挙に暇がない。
 神奈川県相模原の基地建設(戦後、米軍補給廠)は、その一例だ。中国侵略戦争の全面化(盧溝橋事件)の前年1936年、相模原に570㌶余の陸軍士官学校の移転を決定した。耕作者は676戸。村民大会での陸軍の説明は、「当局は国防の見地より絶対必需に迫られてやっているのである。いたずらに土地買収に反対することは恥ずべき事である」と一喝し、「絶対必要と認める以上国家は法律(土地収用法)を適用するのであるからその暁には諸君は却って不利益を蒙(こうむ)らねばならぬ」と威嚇したのである。
 戦争遂行のためには人民の戦争動員と国内体制の整備が不可避だ。とりわけ、新たな基地の整備、公共インフラの軍事使用のための整備は、労働者・農民の権利を直接に奪う。これに抵抗するものを強権で抑え込み、従わせることで戦争体制が作られていくのだ。
 中国侵略戦争阻止の決戦場こそ三里塚闘争だ。反対同盟・市東さんの「農地死守」の闘いは、土地収用攻撃と実力で対決した大木よねさんの闘いを引き継いでいる。71年代執行阻止闘争によって、日帝の土地収用制度は粉砕され、三里塚では土地収用法は失効した。これを覆さなければ、日帝の戦争体制構築など成り立たない。
 農地取り上げと農民殺しを許すな。9・30千葉地裁―10・13赤坂公園に大結集しよう。

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