成田夜間飛行差止行政訴訟 「機能強化反対が総意」 横芝光町住民が意見陳述
週刊『三里塚』02頁(1143号02面01)(2024/09/09)
成田夜間飛行差止行政訴訟
「機能強化反対が総意」
横芝光町住民が意見陳述
(写真 裁判報告集会【8月27日】)
成田空港夜間飛行差し止め請求行政訴訟の第4回口頭弁論が8月27日、千葉地裁民事第3部(岡山忠広裁判長)で開かれ、傍聴しました。
この裁判は、成田市、横芝光町、芝山町、茨城県稲敷市の住民が国を相手取って成田空港の深夜早朝(午後9時から午前7時)の離着陸禁止を求めているものです。成田空港会社(NAA)が2029年に朝5時から深夜1時まで滑走路の運用時間を延長しようという中で、周辺住民が団結し、機能強化にNOを突きつけている重要な闘いです。
今回は、横芝光町の原告であるAさんから意見陳述がありました。
40歳の時に勤めていた会社を辞め家業を継いで専業農業者になったAさんは、「騒音と畑の行き帰りにも機動隊の検問で止められるいらだたしい毎日を送る一方、空港ができてよかったと思うことは何一つない生活を送るより他ありませんでした」と語りました。
さらに、2016年に突如、年間発着回数をこれまでの倍の50万回にする「空港機能強化策」が発表されると、騒音の町になる危機感を抱いた住民と共に「航空機騒音から生活を守る会」を立ち上げ、宣伝活動や署名活動、横芝光町町長を招いた集会を企画してきたことを紹介。住宅ローンを組んで家を建てたばかりの若い女性が悔しさをにじませて「計画があると知っていれば建てなかった」と言っていたそうです。集会で町長が涙ながらに「私も第3滑走路はいらないと思っている」と答えたことについて、「夜も眠れないほどの強い政治的な圧力が加えられたと容易に予想できる」と暴露しました。
最後に、「夜間飛行延長、機能強化に反対の声が横芝光町町民の総意」と裁判長に向かって力強く訴えました。「巨大プロジェクトで莫大な利益を得る人たちのために、私たちが人柱になり犠牲を払い続けなければならないのかまったく分からない。私たちは日本国憲法で人権、生活権が保障されている日本国民ではなく、犠牲にされるのは当たり前だというのでしょうか。日本国憲法の人権を私たちが実感できるよう、裁判所のご判断を仰ぎます」
心のこもった陳述に傍聴席から惜しみない拍手が送られました。
弁護団は、「国には規制する権限がない」と責任逃れする被告の主張に対して、「騒防法(航空機騒音防止法)にもとづき夜9時から朝の7時まで飛ばしてはならないと書けばいいだけ」と指摘し、義務付け訴訟であることをはっきりさせました。
閉廷後、千葉県弁護士会館で裁判報告集会が開かれました。弁護団が次回以降も原告の意見陳述を続けようと要請し、騒音問題の専門家である北海道大学の田鎖順太助教の協力もあり、いよいよ騒音被害の実態についての審理に入れる目途がついたことが報告されました。
(土屋栄作)