明日も耕す 農業問題の今 「コメ不足」がやってきた 農家激減し自給が危機に
週刊『三里塚』02頁(1142号02面05)(2024/08/26)
明日も耕す 農業問題の今
「コメ不足」がやってきた
農家激減し自給が危機に
(写真 店頭からコメが消えた)
本紙前号で全国農民会議共同代表・小川浩さんのお話から「コメ農家時給10円」の衝撃をお伝えした。農家を根こそぎつぶす食料・農業・農村基本法の改悪を待たずして、農家は急減し、コメの自給も危ぶまれている。
コメの卸業者でつくる全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)は6月12日、2040年のコメの国内需要が20年比で41%減の375万㌧に縮小するとの見通しを発表した。生産者は65%減の30万人程度に減るといい、30年代には国産米だけで需要をまかなえなくなる可能性を指摘した。別の民間シンクタンクは、最悪の場合、2040年には156万㌧のコメ不足に陥ると試算している。
米の右肩下がりの需要減は信じがたいが、生産者減は現実の危機だ。
これまでは高齢化した農家がやめると、他の農家がその農地を引き受けてきた。ところが今、引き受け手となっていた農家も高齢化し、農地の維持が難しくなっている。
調達競争が激化
2023年産の主食用米の面積は124万㌶。10年前から18%減少した。減少幅は東北・北陸などでは1、2割だが、西日本では3割減の県も目立つという。農水省は7月30日、主食用米の需給状況を表す指標となる2024年6月末時点の「民間在庫量」(JAなど出荷団体や集荷業者、米卸などの在庫量を集計したもの)が156万㌧となり、統計を取り始めた1999年以降で過去最少だったと明らかにした。米業界が適正水準としている180万〜200万㌧を大きく下回っている。
23年産米が高温障害などの影響で精米時の歩留まりが悪かったことに加え、家庭向けではパンや麺類よりも値上げが緩やかで消費が伸びた。外食など業務用では、インバウンド(訪日外国人)などで消費が伸びた。
同省によると、23年7月〜24年6月の主食用米の需要実績は、前年同期を11万㌧上回る702万㌧(前年を上回るのは10年ぶり)。
米の不足感から業者の調達競争が激化し、利ざやでもうけようとするブローカーが先高感から米を出し渋り、品薄高に拍車をかけた。
農家つぶすな!
在庫があっても流通支配の中で米不足が起こる。今年は昨年以上の猛暑に加えカメムシの被害も懸念されている。来年さらに需給がひっ迫する可能性は大いにある。全米販は、輸出支援や高価格帯市場の形成による需要拡大、スマート農業推進による担い手確保などの改革を提案した。
基本法改悪の方向と同じだ。「日本に農家が残らなくていい」「農業法人、企業がつくればいい」というものだ。だが、規模拡大によるコスト削減には限界があり、輸出を伸ばすと言っても23年でやっと3万7千㌧。絵に描いた餅でコメの生産維持はできない。
農家がコメで食べていけない政治を変えよう。 農家つぶしを許すな!