明日も耕す 農業問題の今 戦時への転換図る「骨太24」 到達目標は農業の消滅

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週刊『三里塚』02頁(1139号02面05)(2024/07/08)


明日も耕す 農業問題の今
 戦時への転換図る「骨太24」
 到達目標は農業の消滅


 岸田内閣は6月21日、経済財政運営の指針となる「骨太方針」を閣議決定した。これを受け、政府は2025年度予算の編成作業を本格化させる。戦争体制を強化する反動緒立法と一体の攻撃を許すわけにはいかない。
 岸田政権の「骨太方針2024」は、「賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現」と銘打たれ、「デフレからの完全脱却」や「成長型の新たなステージへの移行」などが掲げられている。
 小泉政権や安倍政権の「骨太方針」ほどインパクトもなく、マスコミからは「主要政策のカタログ化」とか「骨太どころか小骨を集めたようなもの」とやゆされている。
 だが、「小骨」と切り捨てて済ますわけにはいかない。立て続けに成立させた戦争関連法を具体化させ、戦時体制への転換をねらうものに他ならないからだ。

5年で集中的に

 農業においては、食料・農業・農村基本法の改悪を踏まえ、食料安全保障の強化に重きを置き、食料・生産資材の国内生産力拡大などを盛り込んだ。あれこれの方針は既出のものばかりで特筆すべきものはない。
 だが、重要なのは「基本法の初動5年間で農業の構造転換を集中的に進めるため、施策を充実・強化し、体制を確保する」と明記されている点だ。
 構造転換とはどういうことか。ちょっとわかりにくいが関係する部分を抜粋する。
 「食料安全保障の強化に向け、食料自給率その他の新たな目標設定や農林水産業・食品産業の生産基盤の強化とともに、安定的な輸入と備蓄を確保しつつ、水田の汎用化・畑地化を含め輸入依存度の高い食料・生産資材の国内生産力拡大等の構造転換を推進する」

食料産業の確立

 今年初め、農水省は「あと20年で農業を主な仕事とする基幹的農業従事者は30万人に激減する」との試算を示した。
 農家激減を前提化して農水省が掲げたのは、農業と食品企業との連携を強化し、スマート農業の活用を推し進める「食料産業の確立」だ。
 農業法人に農地の集積・集約化を進め、取引先の食品企業などに出資をしてもらい経営基盤を強化する。スマート農業は食品企業や機械メーカー、農作業を請け負う事業体と産地との連携を促す。農業は食品企業の一生産部門に落とし込められ、農民は消える。
 つまり骨太方針は、この食料産業への大転換を5年でやってしまおうというものではないのか。
 骨太方針で育成・確保したいのは「食料産業」の「担い手」だ。「農林水産業の収益力向上の実現を通じた所得の向上」「食料の合理的な価格の形成」も食料産業のためで、農業・農民のためではない。
 戦時体制に向けて社会のあり方を変え、農業そのものを変えてしまおうという攻撃だ。農民の権利も誇りもたたきつぶし、農民そのものを絶滅する攻撃だ。
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