成田夜間飛行差し止め訴訟 子どもの睡眠奪われ 被害受け続けた住民が陳述

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週刊『三里塚』02頁(1139号02面01)(2024/07/08)


成田夜間飛行差し止め訴訟
 子どもの睡眠奪われ
 被害受け続けた住民が陳述

(写真 岡山忠広裁判長)

(写真 千葉県弁護士会館で裁判報告集会)


 成田空港夜間飛行差し止め請求訴訟の第3回口頭弁論が6月25日、千葉地裁民事第3部(岡山忠広裁判長)で開かれ、傍聴しました。
 この裁判は、成田市、横芝光町、芝山町、茨城県稲敷市の住民が国を相手取って成田空港の深夜早朝(午後9時から午前7時)の離着陸禁止を求めているものです。
 成田空港会社(NAA)が2029年に朝5時から深夜1時まで滑走路の運用時間を延長しようという中で、周辺住民が団結し、機能強化にNOを突きつけている重要な闘いです。
 冒頭、芝山町で3人の子どもを育ててきた原告Aさんからの意見陳述が行われました(要旨別掲)。女性としては初。緊張で前夜は3時間しか眠れなかったことをまったく感じさせない迫力で、騒音下で子どもの睡眠が奪われた実態を陳述されました。
 続いて、海渡雄一弁護団長が「国は騒防法に基づく告示で航空機の離着陸する時間を指定できると認めた。国は本案前の答弁(国には飛行差し止めの権限がない)を取り下げよ。重大な被害が日増しに激化している。ただちに中身の審理に入るべきだ」と迫りました。ところが国は「主張は維持する」と言い張りました。
 岡山裁判長は原告に対して以下のことを指摘しました。
 「国の主張を忖度(そんたく)すると、国は厚木訴訟の最高裁判決の射程を狭く考えているのだろう。厚木の場合は、防衛庁長官が自衛隊機の運用を統括し、運航全体について権限がある。ただ、成田空港の場合は、国土交通大臣が個別の航空機についての権限を持っているわけではないので、防衛大臣の権限と国土交通大臣の権限はパラレルには考えられない。違うアプローチでとらえないと議論がかみ合わないだろう。成田空港の規制に関する法律を総合的に法律解釈するなど、違うアプローチで国は規制権限を持っているという理論構成をすべきではないか。その点、訴状でははっきりとは書かれていない」
 次回までに、原告適格の問題と国の処分権限の問題について準備するよう指示し、閉廷。
 千葉県弁護士会館で報告会が開かれました。
 弁護団から、法の保護に値するか否かの原告適格の問題と、飛行差し止めのための要件は実は同じであり、騒音被害の実態をしっかり訴えていくことが重要と強調されました。
(土屋栄作)

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