ミサイルを「ライセンス生産」、米艦船・戦闘機補修 「DICAS」開催し歯止めなき武器共同開発に突き進む日米帝
ミサイルを「ライセンス生産」、米艦船・戦闘機補修
「DICAS」開催し歯止めなき武器共同開発に突き進む日米帝
防衛装備移転3原則骨抜き
4月の日米首脳会談での日米安保の中国侵略戦争同盟への大転換によって、司令部の連携強化に続き、軍備の一体化が強行されている。それが、「日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議(DICAS=ダイキャス)」だ。
6月9日、日米両政府は、DICASの初会合を開いた(写真)。その中で、①ミサイルの共同生産、②米軍機の整備・補修、③米軍艦艇の整備・補修、④サプライチェーンの強靭(きょうじん)化の四つの作業部会の設置に合意した。
①のミサイル共同生産は米軍が使う防空用の迎撃ミサイル「パトリオット」を日本企業が受注し、日本国内で共同生産する計画だ。パトリオットは三菱重工業が日本国内でライセンスを得て生産している。すでに日本政府は、2023年12月に国家安全保障会議(NSC)でパトリオットを米国に輸出するとし、防衛装備移転3原則の例外を適用した。パトリオットのように他国企業の特許を使って国内でつくるライセンス生産品は、特許を持つ国に移転できるという手前勝手な理屈だ。その後、国会では防衛装備移転3原則も骨抜きにされた。
②③の米の艦船や航空機を日本の民間施設で補修・整備する計画では、まず11日に艦船整備の作業部会を開いた。海上自衛隊の艦船修繕を手がける民間造船所が候補。すでにアメリカは、5月1日の下院軍事委員会の公聴会で、25会計年度(24年10月〜25年9月)に米国外で6隻の整備・補修を検討していることを明らかにしている。
アジア周辺で前方展開する米艦船は、本格的な整備は米本土に戻る必要があり、数カ月は使えない。さしあたりDICASの決定はこの穴を埋めるためであるが、日本国内における武器修理・整備の恒常化、後方支援体制の強化が目的だ。これこそが沖縄・南西諸島を最前線とする中国侵略戦争の継続性を決定づけるものだ。米エマニュエル駐日大使は、「原子力に関わる艦船は考えていない」と述べているが、戦時情勢の推進に合わせて、旗艦艦船である原子力船が含まれることは想定内だ。被爆地、広島・呉で原子力船の改修など、絶対に許せない。
航空機では、8月に航空機整備の作業部会を設けることを確認した。DICAS初会合の翌10日には、日米防衛産業企業10社ほどを交えた関係者が、愛知県の三菱重工のF35戦闘機の組み立て・整備工場を視察した。航空機の大規模整備をこれまでの韓国から、日本国内に移す計画だ。定期的に整備する対象機種を広げ、航空自衛隊機で整備実績がある三菱重工業とIHIに受け入れ要請するという。これ自体が、「民間企業を巻き込んで防衛協力の具体策を詰める初の試み」(6月12日付日経)という重大な踏み切りである。25年以降の運用開始を目指している。
2+2会議を粉砕しよう!
7月下旬の日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)では、具体的な実務の詰めに入る。日米の政府当局者によって独断的に軍事国家化へ変質させる諸政策が行われようとしているのだ。日帝の経済力・軍事力のすべてを動員することが、アメリカの軍事戦略の要であり、岸田政権はこれをテコに一挙に戦争・改憲に突き進もうとしている。
日米外務・防衛担当閣僚会合では、さらに日本の空港・港湾などの公共インフラの軍事使用の問題に踏み込もうとしている。自治体、公共交通などすべての労働者に戦争動員がかけられることになる。総力で2プラス2粉砕の闘いに立とう。
すでに、昨年の米軍の民間空港の着陸は453回。過去10年で最多だ。陸海空の自衛隊が初めて参加した多国間演習「バリアント・シールド」(6月7〜18日)では、各種の実戦を想定した訓練とともに破壊された滑走路の復旧訓練などが、日本国内の米軍基地や自衛隊施設を用いて強行された。昨年秋の自衛隊3軍統合演習では、基地の滑走路が破壊された場合の代替施設と作戦として民間空港の使用が訓練に組み込まれた。しかし、沖縄、関西空港、成田空港などの主要民間空港は、軍事使用ができていない。岸田政権による軍民共用を進めるための特定重要インフラ整備計画も、構想の半分も着手できていない。民間空港の軍事での自由使用が、岸田政権が突破しなければならない戦争遂行体制構築の国内課題の一つだ。
軍事空港建設と対決しその完成を半世紀以上阻んできたのが三里塚だ。反戦闘争の帰すうを決める。中国侵略戦争阻止の最前線としての三里塚闘争の位置は鮮明となった。沖縄闘争の爆発とともに非妥協・実力闘争を貫く三里塚の勝利をテコに、全国・全戦線の闘いの勝利を勝ち取ろう。7・6渋谷デモに集まろう。(大戸 剛)