明日も耕す 農業問題の今 目的は「戦時の食料確保」 法案成立狙う岸田政権

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週刊『三里塚』02頁(1136号02面05)(2024/05/27)


明日も耕す 農業問題の今
 目的は「戦時の食料確保」
 法案成立狙う岸田政権

(写真 農水省の有事メニュー)


 参院農林水産委員会は5月14日、食料・農業・農村基本法改悪案の参考人質疑を行った。他方、衆院農林水産委員会は9日、食料供給困難事態対策法案などの参考人質疑を行った。戦時法案の強行成立を許すな!
 先日、「これでいいのか?農業基本法改定案」と題した農民連のビラが新聞折り込みで届いた。 「食料自給率向上切り捨て―この道は飢餓への道」が見出しだ。
 食料供給困難事態対策法案(食料有事法)にも言及していて、「岸田政権が進める『戦争をする国づくり』と軌を一にした(中略)『戦時食料法』そのものです」という。それならなぜ、真っ向からイの一番に戦争絶対反対を掲げないのか。
 この法案のねらいは飢餓にならないためにどうするかではない、飢餓になっても戦争を続けるためにどうするかだ。
 たしかに食料自給率に象徴される農業・食料をめぐる状況は深刻で重大問題だ。

対決しない野党

 しかし、岸田政権が自らつくり出している農業・食料危機をも奇貨として、今まさに「戦争をする国づくり」をしているのに、これと真っ向から対決しないで農業・食料を語ることなどできない。
 国会審議に於いても日本共産党は「戦前の国家総動員法をほうふつさせる」「まさに戦時を想定したもの」と食料有事法を批判しながら、これが中国侵略戦争参戦のための戦時立法であることには一切触れない。
 岸田政権が4・10日米首脳会談で合意した日米安保の「中国侵略戦争同盟」への大転換に向け、その具体化を急ピッチで推し進めているのに、これと対決するのではなく立憲民主党との「野党共闘」の維持に自らの延命をかけている。
 その立憲民主党は、食料有事法の罰則規定だけをことさら問題にし、前科が付かない「過料」に改める修正案でお茶を濁そうとしている。
 中国侵略戦争を棚上げした、あるいは実質的に賛成した議論が繰り広げられているのだ。

「絶対反対」掲げ

 9日の参考人質疑で、農林中金総合研究所の平澤明彦理事研究員は「平時から省庁横断的な準備も可能で、(震災や戦争など)リスクへの対処が非常にしやすくなる」と評価した。
 他方、横浜国立大学の田代洋一名誉教授は、現状38%にとどまる日本の食料自給率を問題視し、「(有事に備えるには)平時から食料自給率を維持・強化していくことに尽きる」と訴えた。(いずれも5月10日付日本農業新聞より)
 この議論が象徴的だ。「平時からの備えの方が大事だ」などと言っても、結局有事のために、戦争のために食料をどうするのかという議論でしかなく、法案反対にも戦争反対にもならない。
 国会内に米日帝の中国侵略戦争と対決する勢力はない。「戦争絶対反対」の労農連帯・実力闘争で闘おう!

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