耕作権裁判 NAAの主張を完全論破 「元永メモ」こそ真実語る

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週刊『三里塚』02頁(1136号02面01)(2024/05/27)


耕作権裁判
 NAAの主張を完全論破
 「元永メモ」こそ真実語る

(写真 齊藤顕裁判長)

(写真 南台農地の関係土地図)

(写真 裁判報告集会【13日】)


 千葉地裁民事第2部(齊藤顕裁判長)で5月13日、市東孝雄さんの南台農地をめぐる耕作権裁判が開かれた。この日は関東が朝から強い風雨に見舞われたため反対同盟は予定した開廷前の集会・デモを中止した。
 裁判がいよいよ大詰めを迎える中で、原告のNAAはこの間、最後の悪あがきともいえる悪らつな主張を並べ立ててきた。今回弁護団はそれらに対し、逐一詳細に反論し、完全論破する五つの準備書面を陳述した。
 反対同盟法対部で活動していた元永修二氏が1988年に市東東市さん(孝雄さんの父)からの詳細な聞き取りをもとに作成した、当時の南台農地の耕作現況、歴史的経緯などについての報告書(元永メモ)の正しさは、元永氏本人の証言でも十分に証明された。この元永メモに対しNAAは、「のちに賃借地の明け渡しを求められることを想定して、事実に反する内容で作成されたものだ」と言い出した。まったくありえない話だ。
 元永メモが作成されたのは、当時の収用法による強制収用攻撃の切迫状況において、反対同盟の闘いとして、市東家の賃借地の場所を図で記載し市東さんの小作権の強い権利性についてはっきりさせることが目的だ。NAAがこの元永メモに難くせをつけ否定するのは、その高い証拠価値を認め大打撃を受けたからだ。
 NAAは、市東東市さんと旧地主・藤﨑が交わしたとする「同意書」「境界確認書」とその添付図面を唯一の根拠に、市東さんを不法耕作者と決めつけ明け渡しを求めている。だがNAAによる賃借地の位置特定の誤りを元永メモは証明しており、逆に同意書、確認書こそ偽造文書であることを明らかにしている。
 また、NAAはあくまでも「南台41ー9」=図のE1が市東家の当初からの賃借地だとの主張を維持するために、「戦前において市東家と石橋家の間で耕作地を交換した」というまったく根拠のない推測を押し出す。
 石橋の申し出に応じて1971年に、市東東市さんがAとCの耕作地を交換したことは事実だが、「戦前に交換した」「交換は一度だけではなかった」などという主張は、NAAの主張のつじつま合わせのためにひねり出した憶測だ。
 またNAAは「文書提出命令を拒否しても、主張が認められたケースもある」として最近の判例を一つ引っ張ってきた。だが、地主との交渉記録などの文書を「一切存在しない」とNAAがあからさまなうそをついている本件の事情とは全く違う。自らの文書隠しを正当化するような言い訳には全然ならない。
 NAAはほかにも、2011年に地主藤﨑を弁護団と元永氏で直接訪ねて事情聴取した時の元永氏の発言について揚げ足取りのようなことをしたり、さまざまな難くせを並べ立てたが、弁護団は逐一徹底的に反論し、完全に論破した。
 NAAが唯一の証拠としてすがりつく同意書、確認書の偽造の経緯が暴かれるのをおそれて、NAAが裁判所の文書提出命令を拒否し続けていることが疑問の余地なく明らかになった。弁護団は原告NAAに求釈明を突きつけた。
 次回期日を7月8日と確認し閉廷。

9月最終弁論へ

 千葉県弁護士会館で報告集会が開かれ、最初に市東さんがあいさつした。「向こうはああいう難くせしか言えない。自分たちに正当性が何もない。次回にまたとんでもないことを言うかもしれないが、9月の最終弁論へ向けてがんばります」
 連帯発言で全学連の長江光斗書記長は、昨年の強制執行での激突以来、新しい仲間を次々と増やしてきたことを報告し、南台農地を実力で守り抜くことを誓った。

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三里塚闘争裁判日程
◎耕作権裁判
 7月8日(月)午前9時
 千葉市中央公園集合→市内デモ
 午前10時30分開廷 千葉地裁
◎団結街道裁判
 7月16日(火)午後1時30分開廷
 萩原富夫さんの本人尋問
 千葉地裁

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