明日も耕す 農業問題の今 食料危機に備え「演習」画策 岸田が国会答弁で意欲

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週刊『三里塚』02頁(1135号02面05)(2024/05/13)


明日も耕す 農業問題の今
 食料危機に備え「演習」画策
 岸田が国会答弁で意欲


 食料供給困難事態対策法案(食料有事法)が4月25日、衆院農林水産委員会で審議入りした。農地関連法改悪案、スマート農業技術活用促進法案と一括で審議される。日米軍事同盟と一体の戦争法案の強行を許すな! 
 食料・農業・農村基本法改悪案の関連法案として提出された3法案は、いずれも軽視できない。
 農地関連法改正案は転用規制の強化をうたいながら、農地を所有できる法人について、農業関係者の出資割合を過半から3分の1超に引き下げられるようにするものだ。
 スマート農業技術活用促進法案は、先端技術の活用を促し、導入に対して長期低利融資などの支援を講じる内容だ。
 どちらも農業に参入しようとする企業の利益にかなうものであり、徹底批判すべき法案だが、やはりここでは食料有事法を取り上げないわけにはいかない。

「政府一体で」!

 3法案の審議入りに先立ち、食料・農業・農村基本法改悪案が4月19日、衆院を通過した。この審議の中で、岸田首相は食料有事法に関わる重大な発言をしている。
 岸田は4月17日、衆院農林水産委員会で、食料供給の危機に備えた演習を政府一体で行う考えを示した。
 食料有事法に基づき、具体的な危機を想定し政府の対応手順などを確認するという。
 委員会での答弁で岸田は「ロシアによるウクライナ侵攻を受けて食料安全保障に関して地政学的なリスクが顕在化した」と言いなし、「シミュレーションの対象となる食料供給困難事態を検討した上で、政府一体となって有効な演習に取り組んでいきたい」と述べた。
 岸田は食料有事法が文字通り戦争法であることを隠そうともしない。こうした姿勢を支えているのが野党やマスコミだ。

戦争動員許すな

 食料有事法では、深刻な食料不足が生じた場合、農家に生産計画の提出を求め、従わなければ20万円以下の罰金が科される。この罰則をめぐり、立憲民主党の会合で、前科が付く「罰金」は重すぎるから、前科の付かない「過料」にするよう求める意見が出たという。
 農家にたいする強制が問題なのに、罰則の重い軽いの話に切り縮めてどうするのか。
 また、朝日新聞は食料有事法を取り上げた社説で「万一の事態に備えるのが目的であっても(中略)政府の介入や国民負担は必要最小限に抑えるべき」などと述べている。岸田が中国侵略戦争に踏み出し、そのための国家総動員体制として法整備を行い「演習」までしようとしているときに、「万一の事態」などと彼岸に追いやり、「介入は最小限に」などと寝言を言っている。
 論点をずらして「批判」し、実は賛成しているに等しいこれらの言説は許せない。食料有事法は「万が一」の問題ではない。目の前に迫る戦争動員の問題だ。今こそ絶対反対の声を上げよう。
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