夜は静かに寝かせて 4地区の住民が意見陳述 夜間飛行差止訴訟

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週刊『三里塚』02頁(1135号02面02)(2024/05/13)


夜は静かに寝かせて
 4地区の住民が意見陳述
 夜間飛行差止訴訟

(写真 小林康彦裁判長)

(写真 弁護士会館で報告会)


 成田空港騒音被害訴訟団による民事訴訟の第1回口頭弁論が5月1日、千葉地裁民事第1部(小林康彦裁判長)で開かれました。
 この裁判は、千葉県成田市、芝山町、横芝光町、茨城県稲敷市の住民138人が国と成田空港会社(NAA)に午後9時から午前7時の飛行差し止めと損害賠償を求めているものです。
〔原告・弁護団は併合を求めていましたが、裁判所が認めなかったので民事差し止め却下に備えた別裁判(行政訴訟)として千葉地裁民事第3部(岡山忠広裁判長)で周辺住民の代表が国とNAAに成田空港の夜間飛行差し止めを求めた訴訟が先行して行われています。次回は6月25日〕
 この日は、4地区の住民がそれぞれ、スライドと映像を交えながら被害の実態と裁判にかける思いを陳述しました。
 「かつては110戸だったが、現在では39戸となり、伝統行事すらできない。AとBの滑走路両方の騒音被害を受けている。スライド運用で完全に飛ばない時間はわずか4時間。そもそもスライド運用は非人間的なもの。機械的に睡眠時間をスライドなどできない。私たちは人間だ。裁判所はNAAに人権を尊重する義務を果たさせてほしい」(成田市住民)
 「NAAの説明とは違い、飛行機はより低空を飛び、旋回のポイントもずれている。耐え難い高い金属音が広範囲に轟く。貨物機が近づくと地響きがする。子どもたちは子育てのためと地元を離れ、遊びにきた孫は戦車みたいな音だと怖がる。人として健康に生きるためには8時間の静穏時間は必要。夜だけは静かに寝かせて」(稲敷市住民)
 「機能強化を決めた手続きもまったく納得できるものではなかった。説明会では経済の論理がすべてに優先すると一方的な説明。激しいヤジと怒号で第3滑走路建設に反対一色。飛行時間延長、騒音問題については住民の意見を聞いていない。19年頃から午後11時を過ぎても爆音を上げ大型貨物機が上空を飛ぶようになった。就寝もできないし好きな音楽も聞けない。朝5時から午前1時までの飛行が許されれば睡眠時間さえ完全に奪われる。極度の不満と断固たる反対を表明する」(横芝光町住民)
 「体調が悪く早く寝たいときは本当につらい。止められない金属音、耳をふさぎ、布団を頭からかぶる時もある。騒音は公害。こんなことなら体を張って空港建設に反対しておけばよかった。自宅は空港反対闘争を展開した北部地域とやや距離があるが、同級生の家族が鎖で体を縛り、ブルドーザーの前に体を投げ出して闘っていた。まるで戦場だった。問答無用で強引な建設を国も謝罪した。開港以来45年間、我慢し耐え抜いてきたが限界だ」(芝山町住民)
 次回は7月31日。NAA側の反論が出される予定です。
(土屋栄作)

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