北総の空の下で 焼き肉 畜産農家の廃業危機
週刊『三里塚』02頁(1134号02面07)(2024/04/22)
北総の空の下で
焼き肉
畜産農家の廃業危機
3月から4月にかけて天候が不安定で、作付け時期の農作業が滞りがちです。7日の花見は朝まで本降り、準備中はときおりパラッと、本番後半には薄日が差すという絶妙の天気でした。これだけ降ったら畑にはすぐ入れないというのも心置きなく休める絶妙さで、焼き肉とカラオケを楽しみました。長年使ってきた三里塚公園は火気禁止となり、苗木を植えたささやかな桜を愛でながら市東さんの庭でのんびり過ごすいい時間でした。昨年の激闘あればこその束の間の平穏、百年の樫の木を引き継ぎこの桜を育てたいと思います。
焼き肉の主役は牛肉となりましたが、三里塚の花見は歴史的には羊肉でした。軍服の羊毛を国産で賄うために始まった御料牧場の羊牧は、化学繊維が主流になって食用に転じたそうです。戦後復興時に北海道で育った私の蛋白源は魚でしたが、家族でジンギスカンを囲むのが御馳走で、朝から玉ネギやリンゴをすりおろして肉を漬けこみました。格別の美味は母の実家で飼っていた羊の焼き肉、実家の子どもたちが手を出さなかったことも幼い記憶の中に鮮明です。
肉は食卓に欠かせない食材となりましたが安価なのは輸入品で、国産品も飼料は輸入頼みです。飼料などの高騰に追い打ちをかけているのが「酪農はメタンガスの発生源で温暖化の元凶」宣伝。畜産農家が廃業に追い込まれています。米芋野菜と近海魚の伝統的な食卓も、農漁民の激減で自給が危うい現実を直視して!
北里一枝