「統合作戦司令部」設置で自衛隊は何をめざすのか 日米軍事連携が新段階に
「統合作戦司令部」設置で自衛隊は何をめざすのか
日米軍事連携が新段階に
日米首脳会談によって日米関係は、軍事同盟としての画然とした強化へと突き進んだ。日本帝国主義の「戦争国家」への突進をこれ以上許してはならない! 会談の最重要テーマとして、米軍と自衛隊の指揮統制の「連携強化」が声高に強調された。具体的方策として自衛隊に「統合作戦司令部」の発足が予定されている。司令部とは何か。何がどう変わるのか。
統合作戦司令部は、陸海空自衛隊、さらに宇宙、サイバー部隊をも一元的に指揮する機関として、2025年3月までに防衛省本庁のある東京・市ケ谷に240人態勢で創設される。
戦争司令部常設は日帝の「宿願」
だが、同省にはすでに06年に陸海空自を束ねる「統合幕僚監部」が存在している。そのトップである統合幕僚長が、首相や防衛大臣を補佐し助言し米軍との調整にあたりつつ、かつ自衛隊の全部隊を指揮するものとされてきた。だが「二役をこなすのは無理だ」として、その解決が長年の課題となっていた。
11年の東日本大震災では統合幕僚長が首相官邸に詰める日が続き、現場の部隊に適宜の指示が出せなかったという。
また、米軍からの要求があった。2014年に就任した河野克俊統合幕僚長は、米太平洋軍(現インド太平洋軍)のハリス司令官から「自衛隊にも太平洋軍司令官のカウンターパートナー(同格の相手)になるような常設統合司令官が必要ではないのか。英軍、オーストラリア軍の統合司令部を参考にしろ」との「助言」を受け、研究を開始したという。
つまり、米軍と密接に連携しつつ直接に部隊を指揮する戦争司令部の平時からの常設が、日帝の「宿願」だった。安保3文書にも明記された。
米軍との指揮権統合一歩手前に
すでに、統合作戦司令部創設を柱とする自衛隊法の改定案が4月11日、衆議院安全保障委員会で与党や立憲民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決された。
米帝はむろんこの司令部創設を大歓迎し、サリバン大統領補佐官はこれに足並みをそろえて在日米軍司令部の機能を強化するとの方針を明らかにした(在日米軍司令官の階級を現在の中将から大将に格上げする)。
日米首脳会談の共同声明でも「歓迎」が真っ先に表明された。バイデンは共同記者会見で「両国は指揮統制を現代化する。部隊同士の相互運用性を高め、途切れることなく効果的に連携できるようにする」と述べた。それが現実化した世界を想像してみよう。
統合作戦司令部は米軍との綿密な情報共有のもとで「中国軍の動向」を時々刻々把握・分析し、「反撃能力」を発揮し、一発の弾も撃たれていない時点から動き出す。民間空港・港湾をも強権的に利用しつつ空自戦闘機、海自艦船、陸自部隊などを機動的に展開し、米軍と手分けして「敵の陣地・基地」を迅速かつ効果的に攻撃し、ミサイルを打ち込むだろう。
岸田首相はこのような日米連携強化について「米軍との一体化ではない。指揮権は別」と説明するが、実際は韓米のような指揮統制の統合・一元化の一歩手前にまで来ているということだ。
統合作戦司令部創設を許してはならない。岸田政権を打ち倒し、戦争への道を阻止しよう!