明日も耕す 農業問題の今 基本法改悪は農業解体の道 「平時からの食料安保」叫び

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週刊『三里塚』02頁(1127号02面05)(2024/01/08)


明日も耕す 農業問題の今
 基本法改悪は農業解体の道
 「平時からの食料安保」叫び


 あと20年で、農業を主な仕事とする「基幹的農業従事者」は30万人に激減する。農水省は今度の通常国会に提出される食料・農業・農村基本法改正(=改悪)に向けた論議の中で、このような試算結果を示した。
 25年ぶりとなる食料・農業・農村基本法の改正では「平時からの国民一人一人の食料安全保障の確立」がうたわれる。
 冒頭に触れた農民激減の中で、どうやって食料をまかなうのか。農水省が掲げるのは、農業と食品企業との連携を強化し、スマート農業の活用を推し進める「食料産業の確立」だ。
 基本法とともに提出される改正法、新法を見てみたい。
 まず、農業法人に農地の集積・集約化を進め、取引先の食品企業などに出資をしてもらい経営基盤を強化する。そのために農業経営基盤強化促進法を改正する。
 現行で農地を所有できる法人は、農外からの出資を2分の1未満に制限されているが、食品事業者などに限り最大3分の2未満まで認める特例を設けるというものだ。
 また、農業者が食品事業者と連携し、産地革新に取り組む場合に金融や税制上の特例を設ける。
 二つ目がスマート農業促進法案だ。
 スマート農機は高額で導入するにはハードルが高いため、食品企業や機械メーカー、農作業を請け負う「サービス事業体」と産地との連携を促す。これで食品企業による系列化・支配が進むことは火を見るより明らかだ。農民の顔はますます見えなくなり、農業は食品企業の一生産部門に落とし込められる。

制約なき転用へ

 他方、政府は12月28日、地域未来投資促進法に基づく国の基本方針を改正した。
 土地開発が規制されている市街化調整区域で工場などを建てやすくするために、自治体が開発を許可できる施設の範囲を拡大した。
 幹線道路に近い立地などの条件を満たす工場や物流施設などは、業種を問わず可能となる。開発手続きの期間も短縮。農地転用を行う際の手続きも早める。
 すでに昨年、成田空港周辺の2カ所で同法による物流施設の建設が計画されている。これを全国に広げるものだ。

農民絶滅許すな

 基本法改正は、現在の農業・農民を守るような施策はお題目。農民激減を前提化し、「食料生産は企業の力に委ねましょう」というものだ。
 それとともに農地をどんどん企業の使い放題にして、農民の権利も誇りもたたきつぶす。「平時から」の言葉に示されるように、有事に向けた法改正だ。
 中国侵略戦争に向かう軍事優先・戦争国家化の中、あらゆるところで社会が壊されている。農民も戦争反対・岸田打倒に立ち上がらなければ生きていけない時代だ。
 あらためて労農連帯の旗を高く掲げ、農業解体・農民絶滅の攻撃を打ち破ろう。
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