「NAAはわれわれの声を無視」 住民の怒りの声相次ぎ 第125回空港周辺一斉行動
週刊『三里塚』02頁(1126号02面02)(2023/12/25)
「NAAはわれわれの声を無視」
住民の怒りの声相次ぎ
第125回空港周辺一斉行動
(写真 125回目の一斉行動朝の打ち合せ【17日】)
反対同盟と支援連絡会議の仲間は12月17日、125回目の空港周辺情宣一斉行動に立った。
午前8時半、市東さん宅前団結街道奥に新設したユニットハウス前に集まった仲間は朝の打ち合わせを行った。
最初に、東峰の萩原富夫さんがあいさつし、来年の1・14団結旗開きと3・31芝山現地闘争への協力を訴えた。続いて、芝山町白桝の伊藤信晴さんが芝山町民の声を紹介した。
騒音で人が住めないような状況に追い込みながら、箱物の維持・管理には億を超える金をつぎ込む行政に怒る農家。低賃金・長時間労働で働き手がおらず、もはや飛行機の便数を減らすしかないと訴える労働者。「周辺住民の声をさらに集め、闘いへの働きかけを強めよう」と呼びかけた。
最後に、市東さんが水道を凍らないようにする工事への協力のお礼を述べ、「寒い中大変ですが、がんばりましょう」と参加者を激励した。
この日用意された反対同盟ニュース第120号は、毎月の人証調べに突入した耕作権裁判への結集を呼びかける中身だ。さらに、用地買収交渉が完了していないのに地上げ屋まがいの見切り発車で第3滑走路準備工事に着手したことを徹底弾劾。空港機能強化絶対反対で闘い、大規模災害を招く森林・水系の破壊を止めようと訴えている。
打ち合わせを終えた仲間は同盟ニュースを手にそれぞれの担当地域へと飛び出した。
この日は、薄く雲が広がる晴れ。ときおり強く吹く風の中、農家はサツマイモや人参、ネギの収穫、八ツ頭の出荷、果樹の剪定(せんてい)作業などに精を出していた。
ある果樹農家は「今年の状況はどこもよくない。温暖化の影響で北海道の米はいいようだけど。あと5年で農家はなくなるだろう。それからでは遅いのに。ダメな政治家ばかりだ」と農業を大切にしない政治への怒りを語った。
また、戦争への強い危機感を表明した農家は、「反対同盟も長く闘っている。がんばっているのはいいことだ」と期待を寄せた。
斎藤幸平の本を最近読んだという住民は「資本主義社会である限り戦争はなくならないし自然環境も何も守れない。社会のあり方を変える時がきている。金もうけ優先の社会の結果が気候危機。コモンの共同管理が大事。反対同盟は正しい」と語った。
移転対象地の住民からは、移転先の確保すら不十分なままに住民を追い出すことだけに躍起となっているNAAへの怒りの声が多数寄せられた。 「NAAに任せていたが一向に住居も農業を続けるための畑も見つからない」「移転補償もNAAの審査などで遅れ、家を建てるにも区画整理、宅地整備が遅れてなかなか建てられない」「請負農業の関係で芝山町内に移転したいが適当な場所がなくて困っている」「NAAは説明会での住民の声をまったく無視して自分の都合のいいように改ざんしている」「何千万円も出して買った農業機械も売却するときは二束三文にしかならない。本当は移転なんかしたくないんだよ」
この日も周辺住民から2桁を超える空港拡張反対署名が寄せられた。来年1月22日の耕作権裁判にあわせ提出行動が行われる。