自衛隊3軍統合演習 民間空港で戦闘機訓練 住民無視し戦争準備を加速

週刊『三里塚』02頁(1125号01面02)(2023/12/11)


自衛隊3軍統合演習
 民間空港で戦闘機訓練
 住民無視し戦争準備を加速

(写真  岡山空港にF2戦闘機【15日】)

(写真  大分空港で軍事訓練【13日】)

(写真  徳之島空港にC2輸送機【10日】)

(写真  奄美空港にF15戦闘機【17日】)


 11月10~20日に行われた23年自衛隊3軍統合演習は、日本帝国主義・岸田政権による中国侵略戦争体制構築の格段の強化をあらわにした。
 自衛隊は民間の空港や港湾、公道での訓練を強行し、安全保障関連3文書での公共インフラの整備や利用を進める動きを「実際の戦争」を想定して急激に加速化させている。
 民間空港施設(一部、軍民併用)とその利用内容の主なものは、次のとおりである。
●岡山空港(岡山県)
 F2戦闘機の離着陸および燃料補給
●大分空港(大分県)
 最大4機のF2戦闘機が飛来。日中帯で延べ4日間程度の演習。
●徳之島空港・奄美空港(鹿児島県)
 F2戦闘機の離着陸訓練。
●石垣空港(沖縄県)
 F15戦闘機の離着陸訓練。
 今回の統合演習は自衛隊約3万人、米軍約1万人が参加した戦後最大規模。そのうち民間空港の軍事使用についてより詳しく見てみよう。
 大分空港のほか鹿児島県の奄美、徳之島、岡山県の岡山の3空港でも戦闘機や早期警戒機、輸送機を離着陸させた。いずれも空自基地は併設されておらず、自衛隊が民間空港を公然と訓練で使うのは初めてだ。
 全体の訓練開始に先立ち、大分港では11月7日、釧路港(北海道釧路市)から民間船舶で輸送した陸自の16式機動戦闘車1両が陸揚げ後、公道を築城基地まで自走した。
 大分空港では13、15〜17日の4日間、航空自衛隊築城基地(福岡県築上町)が攻撃を受けて使用できなくなったことを想定し、同基地所属のF2戦闘機(最大4機)が着陸して燃料補給などを行った。
 この間、大分空港には必要な資器材や車両が配置された。13日午後、約70㌔離れた築城基地に所属するF2戦闘機4機が着陸した。駐機場に停止、空港のタンクローリーが横付けして給油し、自衛隊員が機体の点検をした。飛び立ったのは、約2時間後。その間も、民間の旅客機が次々と離着陸し、滑走路上では自衛隊機のすぐそばを民間機が通った。
 同様の演習は岡山空港(岡山市北区)でも行われた。岡山空港での演習は、F2戦闘機の離着陸および燃料補給(1日最大4機、日中帯で延べ3日間)、C130H輸送機・C1またはC2輸送機の離着陸(1日最大1機、日中帯で延べ4日間)。他にも、移動式航空管制機材の設置などの演習が予定され、1日あたり80人程度展開した。岡山空港の使用の特徴は、輸送機の利用だ。瀬戸内が沖縄・南西諸島の兵器・物資の後方備蓄・輸送基地となり、その輸送システムに民間空港が組み入れられたといえる。
 鹿児島県では徳之島空港・奄美空港を使用して航空自衛隊のF15が離着陸を繰り返す「タッチ・アンド・ゴー」と呼ばれる訓練が実施された。これは、那覇空港が使用できない事態を想定し、航空機の一時的退避のためだ。
 そのほかでは、14日午後、訓練に参加したとみられる自衛隊のヘリコプターが石垣空港で燃料補給を行い、15日は那覇空港が攻撃を受けたと想定する滑走路の復旧訓練を行った。
「地元の反対」をつぶして38民間施設の整備を計画
 木原稔防衛相は10月17日の記者会見で、「南西諸島には、部隊運用上の有用性が高い空港や港湾もある。これらを整備し、自衛隊が利用できるようにすることが必要だ」と、空港や港湾の「軍民両用(デュアルユース)」を進めると発言した。
 政府の「公共インフラ整備」計画で対象に挙がっているのは、民間空港14施設と港湾24施設の計38施設。その関連費用は、来年度予算に盛り込む(27年度には1兆円)とされる。しかし、整備をするには、空港や港湾を管理する自治体の申請や合意が必要である。そのための、自治体との協議が水面下で行われ始めている。
 さらに、これらの協議は、施設の平時での軍事利用の了承も含んでいる。自衛隊は、特定公共施設利用法に基づいて空港や港湾、道路などを優先的に利用できるのは有事の時のみ。平時の利用については、原則自治体などの施設管理者との協議が必要である。沖縄県などの地元自治体が反対したとしても、軍事使用を強制できる枠組みの策定も始まった。
 政府は9月29日、沖縄県宮古島市を訪れ、宮古空港などの拡充に協力を求めた。石垣市には10月5日、新石垣空港と石垣港を念頭に軍民両用を前提に整備を図ると説明した。与那国町では同11日、糸数健一町長らと面会し、町が要望している与那国空港の滑走路延伸や新たな港湾整備については確認した。政府は、空港の拡大、港湾整備で観光客の増加につながるメリット、地元に経済効果があるという「アメ」をちらつかせながら協議を続けている。
 高松港を管理する香川県の関係者は「寝耳に水で、ただただ驚いている」と話す。政府からは、10月23日に「デュアルユースを前提として、整備または既存事業の促進を図りたい」と説明された。敦賀港を管理する福井県には、11月2日に説明があった。県の関係者は、「今まであった話ではないので、ちょっと想像がつかない」と話す。
 相次ぐ日米軍事演習は中国侵略戦争を実戦的に想定した訓練であり、戦争国家化の飛躍的強化だ。それと一体で進む「民間インフラ整備計画」は、インフラを担う労働者・労働組合を戦争動員させ、地元の反対運動をつぶす攻撃だ。
 三里塚闘争の勝利をテコに軍事動員拒否・公共インフラの軍事利用阻止に決起しよう。

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