「重要土地規制」161カ所追加 原発、民間空港を初指定 戦争準備、反対運動つぶし進める岸田
「重要土地規制」161カ所追加
原発、民間空港を初指定
戦争準備、反対運動つぶし進める岸田
岸田政権は6月30日、重要土地利用規制法に基づく審議会を開き、新たに161カ所(10都県)の規制区域を追加した。川内原子力発電所(鹿児島県)や新潟空港(新潟県)を含んでいる。高市早苗経済安全保障相は「指定区域内の土地・建物の利用状況調査を速やかに開始し、実態把握を進めていく」と発言し、攻撃を強化している。
これは22年12月に58カ所を選んだ(陸自対馬駐屯地、島根県・沖ノ島など)のに続く第2弾だ。今回の拡大で、重要土地規制法の狙いがますます明白となった。
すなわち第1弾で外した沖縄県の諸施設へと全面拡大し、そして原発や民間空港を初めて対象に入れた。政府は、沖縄をはじめ懸念と反対の声を踏みにじって、7月中旬に告示し、形ばかりの聴聞で8月にも施行する。
さらに政府は、23年度中に計600カ所もの指定を目指している。今後は、今回初めて入れた民間施設(原発・空港)を最大限拡大することを狙っているのだ。
岸田政権は、このように中国侵略戦争体制の構築にピッチを上げている。反戦反基地闘争の一環として、重要土地規制法攻撃を粉砕しよう。
監視、規制、処罰
重要土地利用規制法は「外国資本による土地取得」を問題視し、自衛隊基地や安全保障上重要とする施設の周辺、「生活関連施設」周辺、国境離島区域などの土地利用を規制するもので、21年6月に成立、翌年9月に全面施行した。周辺の利用状況を調査し、「妨害」に当たる行為を規制する。規制に従わない場合は2年以下の懲役または200万円以下の罰金といった罰則を科す。
重要度に応じて注視区域と特別注視区域に分け、今回は121カ所を注視区域、40カ所を特別注視区域と定めた。
特別注視区域では、一定面積以上の土地の売買に氏名、国籍や利用目的などを事前に届け出るよう義務付ける。今回、石垣駐屯地(沖縄県)や奄美駐屯地(鹿児島県)、硫黄島航空基地(東京都)などが入った。他方、川内原発、新潟空港は、注視区域とした。ここでは、国が土地などの所有者の氏名や国籍などを調査し、日常的な監視下に置く。
重要土地利用規制法は、土地や建物の所有者や利用者はもとより「その他の関係者」についても内閣総理大臣がその個人情報を収集する。その結果、所有者等が「施設の機能阻害行為を行うおそれがある」と判断されれば、中止勧告や命令を出して規制する。それに従わなければ処罰するという戦争法である。同時に、区域指定の基準も、収集する情報の種類も、情報収集の方法も、なにが規制の対象となり機能阻害となるのかも、いずれも法律自身では規定せず、すべて内閣総理大臣や政令に委ねる。このように徹頭徹尾の治安法であり、法ならざる法である。
「機能阻害行為」の解釈が政府に委ねられているように、さまざまな監視活動や基地反対闘争、原発反対運動や空港反対闘争への弾圧の拡大は不可避であり、成田も当然その射程に入れられている。そのようなものとして中国侵略戦争体制構築の日米安保のエスカレーションの最重要の環として、反基地闘争の解体・一掃のテコとして重要土地利用規制法が制定されたのである。安保3文書を改定した岸田政権によって、その狙いはますます鮮明になった。反戦・反基地闘争に対する重大な攻撃だ。
軍事使用許すな
アメリカのシンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)23年1月報告は、「米日が民間の国際空港を利用できるように動く必要がある」が「地元の政治的反対が平時において日本の民間空港の使用を阻害する可能性があり、戦時においてもそうなりうる」と具体的に克服すべき課題として民間国際空港の軍事利用のために反対闘争の解体を提言した。まさに三里塚闘争を名指ししたような暴挙である。これこそ重要土地利用規制法の狙いだ。
安保3文書「戦略的安全保障戦略」でも公共インフラの軍事使用を課題とし、浜田靖一防衛相は「我が国の防衛上、あらゆる空港の運用が重要」「下地島空港、成田空港の軍事使用」と発言した。土地規制攻撃との闘いの一環として、市東さんの農地取り上げを粉砕しよう。三里塚闘争解体攻撃を打ち破り、軍事空港建設を阻止しよう。
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重要土地利用規制法は、安全保障上重要な施設の周辺約1㌔を「注視区域」、自衛隊の司令部など特に重要な機能を備えた施設周辺を「特別注視区域」に指定する。国は注視区域の土地や建物の所有者の国籍や利用状況などを調べることができる。特別注視区域では、一定面積以上の土地や建物の売買について事前の届け出を求める。