団結街道
週刊『三里塚』02頁(1114号01面06)(2023/06/26)
団結街道
ビラはラブレターだと思って書くべし。文章を書くのに肝要なのは対象者を想定することだ。特定の個(一人)に届かずに、不特定多数に届くはずもない。誰に向けて書かれているのか分からない文章は誰にも刺さらない。▼星野文昭さんとお連れ合いの暁子さんのラブレターを厳選した往復書簡『あの坂をのぼって』が出版された。人の「恋愛」には関心が薄いのだが、心は揺り動かされ、アジテートされた。「すべての人間が人間らしく生きられる社会」の実現のために三里塚・沖縄を共産主義者として闘い、無実にもかかわらず国家による見せしめ無期懲役攻撃と闘った文昭さん▼そんな文昭さんは「闘いに全てを投入しつつも、常に個的なこと、個的な関係(家族関係)づくりをやることが、やはり闘いも個的・家族的なことも本当に実りあるものにすることができるのだと思う」と書いている▼アクリル板越しの面会で手も握れない。日本にいると当たり前のように思ってしまうが(筆者は法廷で傍聴人との握手を「不正連絡」とされ一週間の閉居罰をくらったことがある)、海外は違う。パートナーとキスもセックスもできる国も少なくない▼自分のためではなく「誰か」のために闘うときにこそ人は強くなれる。その「誰か」には直接知らない不特定多数も含まれる。ただ普遍的な人間解放は、個的な関係を切り捨てる先ではなく、個的な関係づくりを貫く先にあると知った。