市東さんの南台農地を守りぬこう 耕作県裁判所売りのために 証拠偽造と文書隠しのNAA Q&A

週刊『三里塚』02頁(1111号02面01)(2023/05/08)


市東さんの南台農地を守りぬこう
 耕作県裁判所売りのために
 証拠偽造と文書隠しのNAA
 Q&A



(写真 南台農地の関係土地図と衛星写真)

(写真 旧地主・藤﨑によるずさんな手書きメモ)

(写真 市東孝雄さん)

(写真 市東東市さん)

(写真 耕作権裁判デモ)

Q 耕作権裁判とはどういう裁判ですか。
A 成田空港会社(NAA)が市東孝雄さんに対し、南台の農地の一部を「不法耕作」として明け渡しを求めて2006年に提訴した裁判。すでに16年裁判が続いている。
Q 市東さんの何が不法だというのですか。
A NAAは「南台農地の所有権(底地=そこち)を旧地主から買い取り、移転登記した」とし、①E1とBは孝雄さんが父・東市さん(故人)から賃借権を受け継いだ土地、②A、C、Dは市東家が地主に無断で「不法に」占有し耕作する土地だと決めつけ、明け渡しを迫っている(関係土地図参照)。耕作権裁判は直接は②にかかわる裁判だ。

位置特定の誤り

Q その分け方、位置特定は正しいのですか。
A いや、間違ってる。現在孝雄さんは南台農地のABCDを耕作している。結論から言えばそのすべてに市東さんの耕作権がある。ABは市東家の戦前からの賃借地で、CDは耕作していた農家が移転したことで東市さんが地主の承諾を得て耕してきたので、賃借権を時効取得している。
 NAAは、市東家が一度も耕したことのない土地E1を賃借地と言い張る。だがE1は実際には反対同盟副委員長だった石橋政次の賃借地。土地の位置特定が誤っていれば提訴自体が無効だ。
Q Bが市東家の当初からの賃借地だという認識では、原告と被告に違いはないのですね。
A そう。だから、2・15に天神峰農地に対する強制執行が行われたが、賃借権解除にお墨付きを与えた農地法裁判の確定判決は南台B土地にも及んでいる。Bは法的にはいつでも強制執行が可能な状態にある。
Q 位置特定の誤りはなぜ生じたのでしょうか。
A NAAの前身である空港公団は1980年代に空港完成に向け、土地の買収を急いだ。
 しかし、小作農家が賃借権を持つ土地については、賃借権を消滅させなくては買収できないという空港公団の事務取扱規定があった。東市さんが断固として「空港反対」である以上賃借権を放棄するなどあり得ないので、公団は規定違反を承知で地主から底地を買収し、その後に収用法で暴力的に取ろうと考えた。
 その収用手続きを進めるために、市東家の賃借地の場所を特定し、それに市東さんも同意したという書類がどうしても必要になった。詳細は不明だが、地主と公団の間で相当もめて、地主の強い主張に公団が従う形で、誤った図面が作られたことがうかがわれる。
 実は空港公団は、もともとは正しくA、Bを市東家の戦前からの賃借地だと認識していた。それは、87年に公団が強制収用に向けて千葉県収用委員会や運輸省に提出した図面でも明らかだ。
Q NAAは証拠偽造に手を染めたと聞きます。
A NAAの主張のよりどころとなる唯一の証拠が、88年4月に東市さんと地主藤﨑との間で交わされたとされる「同意書」「境界確認書」。それに添付された図面では、E1が市東家の賃借地にされている。こんな間違いに東市さんが同意し署名することはありえない。写しが東市さんに手渡された形跡もない。
 その図面の元になったとされるのが、地主藤﨑が市東さんから聞き取って畑の場所を確認したという手書きのメモ。だがこの藤﨑メモはひどくずさんで、これ自体がコピーで原本が存在せず、どういう経緯で書かれて公団の手に入ったかも不明。証拠価値ゼロだ。
 そして同意書と境界確認書の東市さんの署名・印鑑も、鑑定の結果偽造されたものと判明した。東市さんは当時脳梗塞を患い、こんな勢いのある字を書けない。
Q そうした経緯が明らかになるのを恐れてNAAは文書を隠してると。
A 当時公団と地主は頻繁にやりとりしており、その報告書などが作成されていたに違いないが、NAAは「文書は存在しない」「担当者は1人。故人なので何も残ってない」と白を切る。そんなはずがあるか!

元永メモ焦点に

Q 反対同盟側には、市東家の当初からの賃借地はABだと証明する証拠があるのですか。
A ある。それが88年3月に反対同盟法対部の元永修二氏が、東市さんからの詳細な聞き取りをもとに作成した「小作地の件について」と題した報告書(元永メモ)だ。ここには、賃借権設定の経緯なども含め、当初からの賃借地がAとBだと明白に記されている。この元永メモに対しNAAは「信用できない」「同意書、境界確認書に対抗して後から書かれた」となどと難くせをつけるが、問題にならない。
Q 絶対に負けられない裁判ですね。
A 公団がもくろんだ収用法による強制収用は事業認定の失効によって粉砕されたが、市東さんを「不法耕作者」に仕立てて民事訴訟で農地強奪を実行しようとこの裁判を提訴した。今回は底地買収の農地法違反などについては割愛したが、この裁判は証拠偽造、文書隠しなどNAAの違法・脱法の数々を徹底的に暴く場でもある。
 天神峰農地強制執行への怒りを心に刻み、南台農地を絶対に守り抜こう。

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