NAA・東京ガスが電力新事業 成田「脱炭素」はまやかし

週刊『三里塚』02頁(1109号02面02)(2023/04/10)


NAA・東京ガスが電力新事業
 成田「脱炭素」はまやかし

(写真 田村NAA社長と東京ガスの内田社長【右】)

(写真 NAAが発表した『新しい成田空港』構想の将来配置イメージ。第2ターミナルの南側に新旅客ターミナル、第3滑走路の東側に新貨物地区を設置)


 NAAと東京ガスは2月20日、成田国際空港に電気や冷暖房のエネルギー供給を行う新会社「グリーン・エナジー・フロンティア」を設立し、4月1日から事業開始すると発表した。計1千億円規模を投資し、空港では世界最大規模となる180㍋ワットの太陽光発電設備(メガソーラー)を、A滑走路脇の土地200㌶(東京ドーム42個分)に設置する。それによって成田空港に供給するエネルギーの2050年脱炭素化=CO2排出ゼロを目指すとされる。
 将来的に、空港周辺の工業団地や国外にまで脱炭素エネルギープラント展開をもくろんでいる。
 成田空港の使用する電力の約4割(一般家庭約7万世帯分)をまかない、成田を「空港の脱炭素モデル」として押し出そうとしている。だがそもそも、市東さんのかけがえのない農地を無慈悲に踏みつぶしたNAAが、「環境」「脱炭素」を口にすること自体が恥知らずの極みだ!
 空港が「グリーン」で「エコ」だという宣伝は100%ウソである。太陽光パネルを大量に設置しても、ジェット機から排出される有害物質(CO2だけではない)が除去あるいは相殺されるわけではない。「脱炭素」という名で、さらなる増便、空港機能拡張が狙われているのだ。
 昨年11月にエジプトで開催された国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)では、化石燃料産業が「脱炭素」を標榜しつつ、さらなる汚染を拡大させていることが「グリーンウォッシュ」(まやかしの環境対策)として批判された。今頃その道を進もうとしているのがNAAだ。
 ウクライナ戦争によって資源・エネルギーをめぐる獲得競争が熾烈を極めている。2040年までに世界の消費電力は1・6倍になると試算されている(調査会社IHSマークイット)。資源を持たない日帝は、原発とともに太陽光発電を必死に進めようとしている。21年に閣議決定された国の第6次エネルギー基本計画では、太陽光発電を30年までに全電源の14〜16%にするとの見通しが掲げられている。(原発は20〜22%)。太陽光などの再生エネ事業は1㌔ワットあたり3・45円を電気代賦課金として人民から収奪し、一方で数々の資本が群がりながら、投機・利権・腐敗にまみれた巨大事業へと膨張している。
 今回の太陽光事業も都市1個分(成田市は6万超世帯)の莫大なエネルギーをつくり出す「国策」とも言えるものだ。
 飛行機を利用する人は世界の人口の11%、海外旅行をしたことがある人は世界人口のわずか4%にしかすぎない。さらに航空産業のCO2排出量の半分は世界人口の1%によって占められている。航空産業は資本主義社会の富の集中を示す象徴的産業なのだ。
 ましてや、ウクライナ戦争やCSIS報告の下で明らかになった軍事利用を画策する空港など、帝国主義戦争、人民を殺戮するための空港などいらない。労働者民衆にとって「空港廃港」以外にないのだ。
(是永真琴)

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