団結街道

　「60歳で退職を——短く働いて長く生きよう」▼年金改革に反対しルーブル美術館の入り口を封鎖したデモ隊の横断幕にあった文言だ。年金受給開始年齢を現在の62歳から64歳に引き上げたマクロン政権に対し、全仏でゼネストと抗議の実力闘争が叩きつけられている▼日本の年金受給開始年齢は原則65歳。少子高齢化が進む中で、高齢者も働かなければ生きていけない現実があるからと言われるが、自然現象ではない▼仏の出生率が他国と比べても高いことと、今回の年金改悪反対闘争の爆発は無関係ではないと思う。日本の出生率の低さは20代の出生率が低いことに起因し、それは20代での結婚が少ないことが主な原因とされ、結婚できないのは男性の非正規雇用が多いからだとされている▼男性の「助け」「結婚」なしで一人でも出産育児の際の衣食住をまかなうことができるだけの賃金ではないことが問題とか、男性が女性の負担をカバーできるだけの賃金でないのが問題とか指摘は様々。前者は新自由主義を、後者は家父長制を補完・強化するものとして、当然の賃上げ要求が回収されかねない▼かつて優生保護法から「経済的理由」を削除する動きに反対し、「産む産まないは女の自由」の要求が掲げられ、それを批判的に止揚して「産める社会を、産みたい社会を」のスローガンが生まれた。年金も出産も社会の問題。暴動的決起で異次元の労働時間短縮を社会に強制しよう！