全国農民会議共同代表・酪農家 鈴木光一郎さん語る 〈下〉 原発再稼働と汚染水放出は言語道断 廃業続く酪農家
週刊『三里塚』02頁(1107号02面01)(2023/03/22)
全国農民会議共同代表・酪農家
鈴木光一郎さん語る 〈下〉
原発再稼働と汚染水放出は言語道断
廃業続く酪農家
2〜3日前にうちに小さな子牛が来ました。同じ酪農の仲間からですが、酪農をやめたいと。政府の酪農政策に従っていたらいつの間にかできない状況になってきた。今非常に厳しい状況が強いられています。とにかくエサ代は高いし、牛乳の値段は上がらないしと。正月の年賀状に「廃業しました」というのが2通ほど届きました。そうして櫛の歯がぬけるような形で本当にダメージを受けています。東大の鈴木宣弘教授も「これから2〜3年で日本の牛乳が飲めなくなる」と言うくらい酪農がダメージを受けているのですね。
だけど、それと同時に、そのことを思い浮かべるときに、この12年間の闘い、3・11から浜の漁師さんは放射能の波しぶきをうけながら闘ってきたわけですよ。だからあらためて連帯を示したいと思うんですよね。
一昨年になるんですがクロソイという魚、常磐ものとしては最高級品でおいしい大きい魚なんですが。それから千数百ベクレルという放射能が突然出たんです。(2月7日にはスズキから1㌔あたり85・5ベクレルの放射性セシウムが検出され、県漁連の自主基準50ベクレルを超えた)
食物連鎖というかたちで放射性物質が蓄積されて、小さな有機物、小さな生き物からどんどんと食べられるにつれ濃縮されて、そして最後に人間の口に入るときには高レベルになる。10年経っても高レベルの放射性物質が残っているんです。
3・11からしばらく過ぎても、ものすごく堆肥の放射能が高くて抜けないんですよね。高度な有機物というのはそういう放射性物質を吸収するんですよね。福島県では山のキノコは今も食べてはいけない。しいたけを育てる「ほだ木」というのがあるんですけど、それが放射能にやられてほだ木がまだ使えないという状況なんですよね。まだ菌床栽培しかできないんです。そういうかたちでの影響が10年以上経ってもあるんですよね。
しかも今回、1月29日に3・11に向けて青森の核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団事務局長の山田清彦さんを招いて講演会と学習会をやったんです。そこで分かったことは、福島は今、トリチウムの汚染水を流そうとしているけど、青森はもっとすごい量なんだと。もし福島でトリチウムが流されたら相乗作用で海が相当な汚染を被って魚への影響が危惧されるということなんです。
今や原発というのはエネルギー問題と同時に巨大な海洋汚染というところまで行きついている。それは絶対に許すことができないんですよ。
陸上でも牛乳を2カ月半も廃棄せざるを得なかった。また有機農業を続けていた人が原発さえなければと自死された。そういうことを踏まえるとあまりにも原発を甘く見ているんじゃないかと思います。
先日、当時の原発事故担当大臣だった細野が発言しているんだけど、福島も危ないけどもっと危ないのは青森の核燃サイクルだと言っている。再稼働をすればどんどんと核のゴミが増えるでしょう。原発はトイレのないマンションと言われますが、それをどう処理するかの体制もないままに再稼働するというのは言語道断なんですよね。
そう考えるとエネルギー政策の根本的な転換をどこの政党も言っていない。われわれの勢力だけが、直ちに原発を停止し、政策を転換しろと掲げています。それは今の戦争政策に対して真っ向から反逆するものなんですよね。そういうことで私はこれからも運動を続けていきたいと思います。
強制執行弾劾!
先日強行された市東さんへのだまし討ち的な農地強奪強制執行を、徹底的に弾劾します。執行前に執行官がきて宣言するのが当然なのにそれもなかったと聞いています。法的な手続きすらかなぐりすて農民の命の農地を奪った。戦時収用、戦争政策そのものだと思うんです。農民の生き死にがかかった問題として全国の仲間と共に猛然たる怒りで大きな闘いを組織し、三里塚闘争勝利に向けた不動の闘いの陣形を作るためにがんばっていきたいと思います。最後に言いたいのは、日本は世界でも災害が多いところなんです。災害列島なんですよ。そういう災害列島の中で生活や営農をしなければならない。だから安全と生命の尊厳を大事にしながら、闘いを大きく広げなければならない。今の岸田政権には絶対にできない。岸田政権を絶対に打倒しなければならない。
今年の3・11は青森の核燃の闘い、ウクライナ戦争反対、反戦の闘いとして重要です。日本の労働者階級人民にとっても世界の労働者階級にとっても今年一年が正念場だと思います。がんばっていきたいと思いますので、どうかご指導よろしくお願いします。