団結街道
週刊『三里塚』02頁(1107号01面06)(2023/03/22)
団結街道
中学1〜2年生の時の担任だった恩師は手書きの学級通信をほぼ毎日発行していた▼座席周りの6人で給食や掃除を共にする班を作り、班毎に1冊ずつ用意したノートに日々の生活で感じたことを書かせていた。ノートは週に1度回ってくる。そこに綴られた文章の抜粋が通信に載る▼タイトルは「一生懸命」。ちなみに隣のクラスは「青春イング」……青臭すぎる。その隣は、甘酸っぱい青春と噛めば噛むほど味が出ることをかけた「酢昆布」……渋すぎる。当時は格好悪いと思っていたが、今振り返るとどれも絶妙だ▼編集の心臓、要が「タイトル」。「一生懸命」はベタだがよくできている。内容よりも態度を問題にしているからだ。何が正しくて間違っているのかは、それぞれが考えればいい。ただ一生懸命に生きてほしい。たとえ間違ったとしても悔いはないから。そんなメッセージを受け取った▼政治に興味はなくGHQの占領政策とも言われる3S(スポーツ、スクリーン、セックス)の方に関心が高かったが、一生懸命の方が楽しいし、感動することは学んだ▼師匠を乗り越える弟子を育てる営みが教育の本質だとすれば、最低条件として善悪の判断を弟子に任せる信頼と自らの価値判断に対する謙虚さが必要だ。その上で、価値観を隠すのは違う。わが恩師は正直者が痛い目を見る社会はおかしいとよく言っていた▼正直で一生懸命に耕し闘う市東さんと恩師の姿が重なる。