明日も耕す 農業問題の今 「有機給食」拡大の裏で 成田では機能強化と一体
週刊『三里塚』02頁(1101号02面04)(2022/12/12)
明日も耕す 農業問題の今
「有機給食」拡大の裏で
成田では機能強化と一体
国内外で有機給食に関心が高まっている。各地の自治体や草の根での取り組みを多く目にするようになった。有機農業を推進する上では大きな力になるだろうが、話はそう単純でもない。
10月26日、都内で「全国オーガニック給食フォーラム」が開かれ、自治体関係者や、市民、有機農業生産者など、会場とオンラインで約4千人が参加して、各地での事例報告や意義などを話し合った。(「農民新聞」より)
海外の報告もあり、フランスでは、学校給食を含む公共の食堂で、今年を目標に有機食材を20%取り入れることをめざすことが法制化されている。有機農業の割合は全農地の10%以上に高まっているという。
また、韓国では、学校民主化運動を進める市民と農産物自由化に反対する農民が連携して2000年代初めから給食の無償化と有機農産物の導入を推進した。その結果、昨年までに学校給食の4割が有機農産物となっている。
参政党「推進」
政府の「みどりの食料システム戦略」でも有機給食の支援はうたわれているが、めぼしい具体策はない。有機農業を拡大するために、農水省はよく「消費者の理解」を掲げるが、本気で有機農業を広げようというなら、もっと積極的に有機給食の推進に取り組むべきだろう。9月に市東孝雄さんも参加した群馬の集会でも、関係の深い地元議員から有機給食への取り組みが報告された。有機農業・有機給食を推進する動きが広がることは良いことだが、額面通りには受け取れない話もある。
7月の参議院選挙で、参政党は循環型農業の推進を政策の目玉の一つに掲げ、1議席を獲得した。有機農業を実践している人の賛同も得ていたようだ。しかし、参政党の主張は国粋主義的、排外主義的であり、有機農業推進というだけで良しとできるものではない。
宣伝文句躍らせ
成田市では12月25日に市長選が行われるが、小泉一成市長の対抗馬として44歳の市議会議長が立候補を表明している。その政策を記した「きっずパンフレット」に「有機野菜の給食提供」の文字が掲げられていた。具体的には何を主張しているのか、ウエブサイトをのぞいてみたが、どこを探しても有機野菜の文字は出てこない。
「成田新時代」を掲げバラ色の政策を満展開させているが、つまるところ空港機能強化を推し進め、成田空港をもっと上手に活かせという話だ。農業も企業の農業参入、競争力ある強い農業、もうかる農業づくりの推進など岸田農政と一体だ。
「有機野菜」は時流にのった宣伝文句か。ひとくちに有機農業・有機給食と言っても、その中身と立場が問われる。
市政で有機野菜を口にするなら、市東さんの農地を奪う強制執行をどう考えるのか表明してみよと言いたい。