「文書不存在」は大うそ NAA主張の矛盾を追及
「文書不存在」は大うそ
NAA主張の矛盾を追及
11月28日、千葉地裁民事第2部(本田晃裁判長)で耕作権裁判が開かれた。
開廷に先立ち、千葉市葭川(よしかわ)公園で決起集会が開かれた。最初に東峰の萩原富夫さんが発言に立った。空港公団(のちのNAA)は「あらゆる意味で強制的手段を用いない」ことを社会的に公約したにもかかわらず、市東さんの営農と生活を奪う強制執行に手をかけていることを強く弾劾した。そして、強制執行阻止緊急署名への協力を呼びかけた。
動労千葉の佐藤正和副委員長は、軍拡と地方切り捨てを進める岸田政権を批判し、久留里線・房総廃線化反対12・4上総地域集会を呼びかけた。
反対同盟を先頭にデモに出発。宣伝カーからは、婦人行動隊の宮本麻子さんが農地強奪攻撃を弾劾するアピールを一帯にとどろかせた。
60以上の傍聴席を満席にして開廷。
この裁判は、市東さんの南台の耕作地の一部をNAAが「不法耕作」と決めつけて明け渡しを求めているものだ。だが逆に、NAAが手を染めてきた違法・不正の数々が法廷で暴かれてきた。
卑劣な常套手段
原告NAAは10月24日付で準備書面(49)を提出したが、冒頭から「文書提出命令で指摘された文書は真実存在しないので提出することはできない」と見え透いたうそをつき居直っている。「文書」とは、市東家の耕作地を旧地主から買収した87〜88年当時の交渉記録、報告書などだ。同時期に行われていた天神峰現地闘争本部の底地買収をめぐっては、多くの詳細な交渉記録が存在し別件裁判でNAAも提出している。都合に合わせて文書の存在を隠ぺいする卑劣な常套手段だ。
さらにこの準備書面の中でNAAは、当時に反対同盟法対部の元永修二氏が市東東市さん(孝雄さんの父)から南台農地の耕作現況について聞き取りを行って作成した報告書(元永メモ)について取り上げ、さまざまなケチをつけ「信用できない」と否定している。
これは逆に、南台耕作地の市東家の耕作地の位置特定にかんする争点について、元永メモの方が圧倒的に正しく、NAAが証拠提出した「同意書」「境界確認書」の添付図面が誤っている(しかも偽造である)ことを表している。NAAは何がなんでも元永メモを傷つけ否定するしかない。
そして、NAAは今回の準備書面で新たに「元永メモは同意書作成を前提として書かれた」と言い出した。つまり、東市さんは地主との間で土地の位置を正しく確認して同意書を作成したのに、それを否定するために「元永メモ」が作成された、というのだ。「市東東市は、公団の賃借地買収を混乱させ妨害するために、悪意でうそを言ったかも」などというくだりもある。とんでもない言いがかりだ!
だが、日付を確認すると、元永メモは1988年3月19日、同意書には日付の記載がないが、ほぼ同時に書かれたはずの境界確認書の日付が4月11日。したがって、「同意書を前提として元永メモが」というNAAの主張は成り立ちえない。
農民殺しやめろ
弁護団がこの点を問いただすと、NAA代理人の上野至は感情をむき出しにして反論しようと試みたが、すぐに追い詰められしどろもどろに。自ら墓穴を掘ったのだ。
傍聴席からも怒りの声が次々と飛ぶ。こんなでたらめな言い分で、こいつらは市東さんの農地を強奪しようとしている!
裁判長が閉廷を宣しても、仲間たちの怒りは収まらない。「強制執行申し立て取り下げろ!」「農民殺しをやめろ!」。萩原さんも「人の生活を何だと思っているんだ!」と追及した。
千葉県弁護士会館で報告集会が開かれた。最初に市東さんが、「今回もNAAがいかにデタラメでうそっぱちをやったか明らかになった。この耕作権裁判に絶対に負けるわけにいきません。ともにNAAをやっつけましょう」と訴えた。
続いて葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団が全員発言し、早速破綻したNAAの「新主張」を検討し、元永メモがもともとこのような裁判を想定して作成されたのでないだけに証拠価値が高く、NAAの主張を根本から打ち砕く上で重要であることを確認した。