10・9全国集会に総決起を 三里塚反対同盟のアピール 労働者・農民・学生の実力で市東さんの農地守りぬこう

週刊『三里塚』02頁(1096号01面01)(2022/09/26)


10・9全国集会に総決起を
 三里塚反対同盟のアピール
 労働者・農民・学生の実力で市東さんの農地守りぬこう

(写真 強制執行の対象とされた看板と市東孝雄さんの農地を囲む人間の鎖【9月4日 成田市天神峰】強制執行の対象とされた看板と市東孝雄さんの農地を囲む人間の鎖【9月4日 成田市天神峰】)

(写真 B滑走路北延伸工事予定地のデモに出発【4日】)

(写真 決戦本部のアピール【7月3日】)


 三里塚芝山連合空港反対同盟が呼びかける10・9全国集会に集まろう。国と成田空港会社(NAA)は1971年の小泉よねさんへの行政代執行攻撃以来、半世紀ぶりに農民が耕す農地(市東孝雄さんの天神峰農地)への農地取り上げ強制執行を行おうとしている。さらに、NAAは空港敷地面積を2倍化する機能強化のための工事を今秋から開始しようとしている。三里塚闘争史上最大の決戦に突入した。反対同盟は「強制執行、来るなら来い」と闘魂たぎらせ、断固迎え撃つ態勢を強化して実力闘争への決起を呼びかけている。国家暴力をうち破って成田軍事空港の完成を阻む「反戦・反核の砦」=三里塚を守りぬこう。反対同盟事務局4氏に10・9全国集会への結集アピールをいただいた。

この地で農業続ける
 敷地内天神峰 市東孝雄さん

 みなさんの日ごろからの三里塚へのご支援に、深く感謝しています。
 9月2日、東京高等裁判所の渡部勇次裁判長は、新やぐら裁判で控訴を棄却し、私の天神峰の畑の一角に建つ反対同盟の監視やぐら、看板について強制的に撤去してもよいというお墨付きを与える、不当極まりない判決を出しました。
 良い判決が出るとあらかじめ期待していたわけでもありませんが、本当に怒りに堪えません。しかも判決の確定を待たずに強制執行ができる「仮執行宣言」を付け、「付ける必要がないという理由が見当たらないから付けた」とわけのわからないことを書いています。
 私の農地とやぐら・看板は一体であり、そこに書かれている「空港反対」の主張は、私と反対同盟の心からの訴えです。
 祖父の代からこの地で百年続く農業を行っている私に向けて、後からやってきた空港・NAAが「農地を明け渡せ、出ていけ」とか「やぐら、看板をどかせ」などと迫るのはまったく理不尽で本末転倒なことです。私の父に断りもなく、空港公団が旧地主から底地を買い15年間もそれを隠してきたことこそが、とんでもない違法です。
 ましてや「判決確定まで待てないから仮執行を」などとNAAが裁判所をせかすのはまったく根拠がなく無意味です。閑古鳥が鳴く成田空港の現状を見てください。航空需要は回復の見通しもなく、「こんな空港はもう要らないのでは」という現実が彼らにこそ突きつけられているのです。
 「不当判決が出たらそれで終わり」ではありません。耕作権裁判も続いており、まだまだ闘い方はいくらでもあります。どんな攻撃が来ても私はこれまで通り、この天神峰の地で完全無農薬の有機農業を続けます。これは絶対にお金には換えられないものです。
 そして、動労千葉、関西生コン支部などの労働組合や住民運動、学生運動と連帯し、「国策」と闘う沖縄・福島と一つに結び、農民の権利を守り、戦争に反対します。
 10・9全国集会で多くのみなさんとお会いすることを楽しみにしています。

空港拡張を許さない
 敷地内東峰 萩原富夫さん

 先日、新やぐら控訴審で東京高裁第2民事部の渡部勇次裁判長は私たちの訴えを棄却し、判決確定を待たずして強制執行ができる仮執行宣言を付けました。
 これで私たちのやぐらや看板含めた天神峰農地への強制執行が可能となりました。裁判所がNAAの手先となって農民殺しの先頭に立っていることは絶対に許せません。だけど、裁判で負けようとも、「来るなら来い」の精神でとことん市東さんの生活を守るために全力を尽くして闘うだけです。
 市東さんの日々の生活・営農を丸ごと奪うような強制執行に対して、全国・全世界の人が黙って指をくわえて見ているということはありえません。必ず「ドンパチ」になります。重機が押し寄せようが、絶対に農地を奪わせない人々の波が滑走路のすぐ脇でもある畑に次々と押し寄せてくるような闘いを共につくりだしましょう。
 裁判においても正義は私たちの側にあることが証明されてきています。
 耕作権裁判では、NAA側が証拠として出した畑の位置特定に関する文書にある市東東市さん(孝雄さんの父)の署名と印鑑の偽造を暴きました。裁判所も文書作成に関連する文書が「ないはずはない」と言わざるを得ないところにまでNAAを追い込んでいます。さらに機能強化に反対する裁判も千葉地裁に新たに提訴しました。これは第3誘導路裁判に併合される予定です。
 今、米中の対立が激化し、戦争がいつ始まってもおかしくない状況に入っています。とりわけ南西諸島・沖縄が戦場にされようとしています。沖縄戦を再び繰り返させるわけにはいきません。私たちは沖縄との連帯を訴え、成田を軍事空港にさせない闘いと共に、デモでも戦争反対を訴えてがんばっていきたい。
 世界では、日本の闘いでまず最初に思い浮かべるのが三里塚闘争と言われます。英語版も作りましたが、新たに呼びかけている署名は戦争と気候変動、両方を止めようと訴えるものです。両方とも資本主義の問題であり、三里塚はその最前線で闘っているわけです。
 今まさに核戦争で人類が滅ぶのか、気候変動で滅ぶのかという情勢になってきています。こういう時代に農地をつぶして空港拡張、ましてや軍事空港なんてありえません。
 私たちは人類を破滅に導く資本主義をつぶすために農地を守り戦争反対を貫きます。10・9全国集会で署名の1次集約を行いますので全力での取り組みをお願いします。
 私たち自身の力で情勢を切り開き、改憲・戦争を阻み、岸田政権を倒しましょう。

戦争に使われる成田
 事務局員 伊藤信晴さん

 成田空港が軍事的に利用されるのではないかという懸念は、住民の間にも広がっています。尋常でない戦争の危機を多くの人が感じています。
 実際にこれほど国際線旅客数が激減して飛行機が飛んでいないのに、財政投融資4千億円も使って、なんで機能強化をしなきゃならないのか、まともには説明がつかないことです。
 中部空港が「有事の際にはバックアップ機能を担える」と言って新滑走路建設を推進していることと合わせれば、疑う余地はありません。
 私たち反対同盟は結成から半世紀以上、一貫して「軍事空港反対」を訴えてきました。しかしそのことで住民と対話すると「外国から攻撃されるのが心配」と返ってくることが多く、米日帝国主義が他国を侵略する戦争の出撃拠点、兵站(へいたん)拠点に成田がなろうとしている内容を伝えることは、単純容易ではありません。だがそこは、あいまいにはできないところです。
 成田市が国家戦略特区を活用して、「国際医療学園都市構想」を打ち出したのも、有事に身構え多数の傷病兵を診ることを考えてのことです。
 本当に重大な勝負になってきました。新やぐら裁判の仮執行宣言付きの控訴棄却判決に見られるように、敵は明らかに三里塚の闘いをつぶそうとしています。
 「50年以上もよく闘いを続けてますね」と言われることがありますが、それは反対同盟と支援が作り出してきた実力闘争の思想があるからです。この思想が根幹にあるからこそ、勝利を信じて56年闘い続けてこられました。だから反動判決が下されてもまったくへこたれない。
 私自身も芝山町民として、空港機能強化攻撃と闘う当事者の一人となり、闘いの本気度が試されています。
 この社会を根本から変えたいという革命への情熱があるから、私もこれまで闘ってこれました。
 安倍の国葬は岸田政権による改憲・戦争へ向けた一大攻撃ですが、これに真向から反対する声がどんどん高まっていますね。日本の民衆にはまだまだ闘いのエネルギーがあふれていると感じられます。
 今、支配体制がいよいよ危機に陥る中で、反動攻撃との対決はあらゆる局面で力勝負になっています。われわれがそれに勝ち抜くためには、われわれ自身がその力をつけて、数を増やし、攻勢的に打って出る時です。10・9全国集会の大結集を実現し、この社会に革命を起こしましょう。

天神峰に集い闘おう
 決戦本部長 太郎良陽一さん

 新やぐら裁判判決での仮執行宣言付き控訴棄却判決は本当に許せません。最初から結論ありきの国策裁判です。裁判所職員を大量動員しての警備体制には、敵の恐怖とあせりを感じました。2011年の天神峰現地闘争本部裁判控訴審判決の直後、東京高裁のフロアが三里塚勢力によって実力占拠された「悪夢」の再現を恐れたのでしょう。
 成田空港はまさに現代資本主義の象徴です。あらゆるものを商品に変え、金もうけの手段にし、人間が生きる上で大事な農業、家族、地域共同体がことごとく破壊されようとしている。
 かつては青年行動隊の中心で共に闘っていた相川勝重は、芝山町長として空港に町を売り渡し、変節してしまった。
 だが成田空港が巨大化することが人々を幸せにするだろうか。このコロナ禍のもとで、テナントも激減、人流物流も衰退し、地元の受ける利益は消えかけています。
 三里塚は一貫して金もうけ第一の資本主義のあり方と闘ってきました。その闘いの象徴が市東さんの農地決戦だと思います。市東さんも、「自分だけの問題ではない」と言い、自ら耕す農地が全人民の共有財産だと理解しています。
 だから三里塚には、全国の基地や原発に反対する住民運動の先頭に立って闘う責任があると感じます。そして、機能強化と騒音に反対する空港周辺住民の闘いが、県内から茨城までを結び、大きく発展しています。
 安倍の国葬は本当に許せないが、統一教会を「カルト」「反社」などと言って騒ぐだけではなく、朝鮮半島の南北分断体制のもとで、南の独裁政権が日本のブルジョアジーと結びついて、反共主義を唱えて多くの人々を殺した歴史を見すえなくてはなりません。そうした状況で統一教会も岸信介と結んで勢力を広げてきた。その岸の孫が国葬なんて、絶対に認めてはならないことです。
 決戦本部は17年の発足から5年以上が立ち、市東さんの農地に一指も触れさせず実力で守り抜いてきました。すべての人々にこの場所で一緒にスクラムを組みともに戦おうと訴えたい。
 10・9全国集会前日の8日には、天神峰で「夜カフェ」を開催します(午後5時集合)。みなさんが三里塚を闘うことで、社会を変える大きな力に必ずなります。10・9全国集会へ大結集し、岸田を打倒しよう。

このエントリーをはてなブックマークに追加